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はじまり
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「……ふぁ……」
小さなあくびがもれる。
昨日は緊張して眠れなかったせいだ。
今日は、はじめての大きな仕事だ。
モデルとして働く僕は、身長が低く需要は少ないと事務所にも言われていたけれど、チャンスは突然訪れた。
人気のゲームキャラクターのイメージと合い、CMに起用されたのだ。
超本格シミュレーションRPGのキャラクターの聖霊役だ。
ひょろっとしている自覚はあったが戦士でもなく魔法使いでもなく、吟遊詩人でもなく、まさかの聖霊。
「二十歳の男に聖霊って……」
まぁ男らしくなく綺麗すぎると言われる容姿のせいか、モデルなんてやっている割に奥手な性格の為か、未だに清らかな体だけど……。
そして今はその清らかさにも磨きががかった。
もともと薄かった体毛は大体永久脱毛され全身ピカピカに磨かれ、トリートメントにトリートメントをかさね艶めいた美しい黒髪に仕上げられた。爪も研かれうっすらとラメ入りのマニキュアを塗られた。
古代ローマの女性が着ていた様な白い衣装と、華奢なデザインのネックレスとブレスレット。
まぁそこそこキャラに似ている気もする。
でも聖霊とまでは仕上がっているのだろうか若干不安が残ったが、仕上がった僕を見た人たちは、
興奮気味に「聖霊さまがいらっしゃる!」と喜び、イメージ通りだと言ってくれて安心した。
まずは販促に使うカットを撮影するべく、都内のちょっとした自然がある神社へやってきた。
他にも似たような衣装を着ているモデルがいる。聖霊さまの横に控えてる神官らしい。
「撮影の準備しますんで、声かけるまで待ってて下さい。あー、これ今度発売予定のゲームの攻略本です。よかったらどうぞ」
「ありがとうございます!」
スタッフさんに渡された本を手にしフラフラとその場を離れる。
ゲームについて深い話をされては困る。
何故なら僕は全然分からないからだ。
この話が決まって早速事務所が携帯ゲーム機とソフトを買ってくれたがさすが超本格シミュレーション、さっぱり進まなかった。
勉強嫌いで中卒でモデル続けてる僕にはイージーモードすらクリアできない。
攻略本もきっと広げただけでぐったりしそうだ。
あとで事務所のゲーム好きの人にあげてまた色々説明してもらおう。
「あっ……」
逃げるように歩いていくと、なだらかな坂の上には、なんだか小さい鳥居がある。
「不思議な雰囲気」
誘われるように近づくと思ったよりも小さかった。木でできているそれは大分朽ちていて赤い塗装もかなりはがれている。
かがんだらやっと通れる位だろうか。
鳥居の先は大人が1人立てるくらいスペースがあり、2メートルくらいの崖になっている。
「この聖霊のお仕事がうまく行きますように」
衣装を汚したり引っ掛けたりしないようにまくって抱え込んで鳥居をくぐる。
そして頭を上げた瞬間、寝不足のせいかふらっと目眩が起きる。
まずい、倒れたらこの先は崖だ!
「ふうぁあ!」
小さなあくびがもれる。
昨日は緊張して眠れなかったせいだ。
今日は、はじめての大きな仕事だ。
モデルとして働く僕は、身長が低く需要は少ないと事務所にも言われていたけれど、チャンスは突然訪れた。
人気のゲームキャラクターのイメージと合い、CMに起用されたのだ。
超本格シミュレーションRPGのキャラクターの聖霊役だ。
ひょろっとしている自覚はあったが戦士でもなく魔法使いでもなく、吟遊詩人でもなく、まさかの聖霊。
「二十歳の男に聖霊って……」
まぁ男らしくなく綺麗すぎると言われる容姿のせいか、モデルなんてやっている割に奥手な性格の為か、未だに清らかな体だけど……。
そして今はその清らかさにも磨きががかった。
もともと薄かった体毛は大体永久脱毛され全身ピカピカに磨かれ、トリートメントにトリートメントをかさね艶めいた美しい黒髪に仕上げられた。爪も研かれうっすらとラメ入りのマニキュアを塗られた。
古代ローマの女性が着ていた様な白い衣装と、華奢なデザインのネックレスとブレスレット。
まぁそこそこキャラに似ている気もする。
でも聖霊とまでは仕上がっているのだろうか若干不安が残ったが、仕上がった僕を見た人たちは、
興奮気味に「聖霊さまがいらっしゃる!」と喜び、イメージ通りだと言ってくれて安心した。
まずは販促に使うカットを撮影するべく、都内のちょっとした自然がある神社へやってきた。
他にも似たような衣装を着ているモデルがいる。聖霊さまの横に控えてる神官らしい。
「撮影の準備しますんで、声かけるまで待ってて下さい。あー、これ今度発売予定のゲームの攻略本です。よかったらどうぞ」
「ありがとうございます!」
スタッフさんに渡された本を手にしフラフラとその場を離れる。
ゲームについて深い話をされては困る。
何故なら僕は全然分からないからだ。
この話が決まって早速事務所が携帯ゲーム機とソフトを買ってくれたがさすが超本格シミュレーション、さっぱり進まなかった。
勉強嫌いで中卒でモデル続けてる僕にはイージーモードすらクリアできない。
攻略本もきっと広げただけでぐったりしそうだ。
あとで事務所のゲーム好きの人にあげてまた色々説明してもらおう。
「あっ……」
逃げるように歩いていくと、なだらかな坂の上には、なんだか小さい鳥居がある。
「不思議な雰囲気」
誘われるように近づくと思ったよりも小さかった。木でできているそれは大分朽ちていて赤い塗装もかなりはがれている。
かがんだらやっと通れる位だろうか。
鳥居の先は大人が1人立てるくらいスペースがあり、2メートルくらいの崖になっている。
「この聖霊のお仕事がうまく行きますように」
衣装を汚したり引っ掛けたりしないようにまくって抱え込んで鳥居をくぐる。
そして頭を上げた瞬間、寝不足のせいかふらっと目眩が起きる。
まずい、倒れたらこの先は崖だ!
「ふうぁあ!」
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