神様のひとさじ

いんげん

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夢を見た

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 ヘビは、不思議な夢を見ていた。

 鷹になった夢だった。

 大空を飛び回り、獲物を探し、狩って食べる。速いスピードで流れる景色は、どこも目を惹かれない。なのに、大きく違った箇所があった。獲物を見つけ、降下し口にした。ソレを咥え、大きな木で羽根を休めた。しかし、獲物は口からこぼれ落ち、俺自身も落ちていった。枝に垂れ下がった俺の体から血が滴って……食われた。

「……」
 熱が出ると変な夢をみる。熱譫妄か? 目を見開いて、溜め息をついた。
「治ったな」
 ダルさも、喉の痛みも、頭痛も何もなくなった。心なしか何時もより視界が鮮明に感じ、ヘビは目を見開いて、起き上がった。

「なっ……なぜだ」
 ベットにうつ伏せて寝ているラブを見下ろして、ヘビは頭に手を当てた。

 紐解くように記憶を探ると、扉を開けてラブと目を合わせたこと、世話された事を思い出した。そっとラブの頭に手を伸ばし、ベッドサイドの、赤い実の欠片に気がついた。

「これが……」
 手にして、よく観察した。確かに資料の林檎とは少し違う。外側が赤く、中はクリーム色で、林檎とサクランボの中間のような印象を受けた。

「甘かった……気がする」

 ヘビは、視線を部屋の中に走らせ、保存する容器はないかと考えた。直ぐに部屋を出て、分析に回すか……ベッドから抜け出そうと、布団に手を伸ばした。
この布団は、俺の物じゃない、ヘビが動きを止めた。サイズも使用感も違う。自分の布団は、ベッドの下に畳まれているのを発見した。

「お前のか……」
 ラブを見下ろすと、素肌を晒して座り込んでいる足が目に入って、ヘビは焦った。頬が赤くなる。剥いだ布団をそっと、ラブに掛けた。
 そして、手にした実を、じっと眺めてから自嘲し、元に戻した。

「おい、お前も風邪引くぞ」
 ヘビがラブの肩を揺すった。ラブは、目を瞑ったまま、ヘビの手を振り払った。

「おい」
「んー」
「目を覚ませ」
「んー」

 起きる様子のないラブに、ヘビは困った。一晩一緒だったなら、今更かも知れないが、自分のベットに寝かせるには感染の心配がある。

 とりあえず、シャワーを浴びて、小綺麗になってから運ぶか、ヘビの足がシャワールームに向かった。

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