【R18】【拠点設営】で守る乙女達の尊厳 〜世界を救うのは聖剣じゃなくて、清潔なお風呂と愛し合う夜〜

のびすけ。

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第7章 偽りの楽園・ジュエルアイランド ~地魔将軍の罠と恋するスナイパー~

地図にない宝石島 ~楽園のバーベキューと、足元に迫る石化の罠~

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水魔将軍クラーケンを撃破し死の海への航路を切り開いた私たち。 
超弩級魔法装甲クルーザー『アーク・ロイヤル』は、穏やかな波を切り裂き順調に航海を続けていた。

「風が気持ちいいネ!」

甲板の『聖水インフィニティ・プール』では、王美鈴(ワン・メイリン)がバタフライで豪快に泳ぎ回り、サイドのデッキチェアでは一ノ瀬清花(いちのせ さやか)と星奈歌恋(ほしな かれん)がトロピカルジュースを片手に優雅な時間を過ごしている。 

まさに洋上の楽園。 
船内にはエアコンの効いた快適な個室や、カジノ、シアタールームまで完備されており、異世界の過酷な旅とは思えない充実ぶりだ。

「……ん?船長、レーダーに感ありです!」

ブリッジで航海士を務める牧野樹里(まきの じゅり)が声を上げた。

「敵か?」

僕、相田ミナトがキャプテンシートから身を乗り出す。

「ううん、魔物反応じゃないよ。……島、かな?でも、海図には載ってない」
「島?」

僕がモニターを確認すると、運転席に設置された『星詠みの羅針盤』が進行方向にあるその一点を強く指し示していた。

「羅針盤が反応している。……魔王城へのルート上にあるみたいだ」
「寄ってみる?ちょうど新鮮なフルーツとか欲しかったし」

江藤くるみがデザイン画を描く手を止めて提案する。

「そうだな。補給も兼ねて調査してみよう」

アーク・ロイヤルが速度を落としその「未知の島」へと接近する。 
霧が晴れると甲板にいたヒロインたちから歓声が上がった。

「うわぁ……!綺麗!」
「すごい、宝石みたい!」

そこにあったのは絵に描いたような美しい無人島だった。 
白く輝くホワイトサンドの砂浜。 

その奥に広がる瑞々しいエメラルドグリーンの森。 
中央にはクリスタルのように輝く岩山が聳え立ち、島全体が神秘的なオーラを放っている。

「『ジュエルアイランド』……勝手にそう呼びたくなるくらいの美しさね」
清花が感嘆の息を漏らす。 
樹里のスキル【素材探知】も島全体から「希少な果実」「清水」の反応を示していた。

「よし、上陸しよう!たまには陸地で息抜きだ!」

僕の提案に全員が諸手を挙げて賛成した。

「賛成ーっ!BBQしよ、BBQ!」
「ビーチバレーもするアル!」
「新しい水着、またお披露目できるね♡」

ボートを下ろし僕たちは白い砂浜へと上陸した。 
砂はパウダーのように細かく、裸足で踏むとキュッキュッと心地よい音がする。

「最高だね!設営準備、開始!」

僕のスキル【拠点設営】で、簡易的なテントやテーブル、バーベキューコンロを一瞬で展開する。

「わぁ、相田さんのスキル、相変わらず便利すぎますぅ~」

篠原真美(しのはら まみ)がクーラーボックスから食材を取り出す。

「今日は私が腕を振るいますね!特製ダレに漬け込んだお肉、楽しみにしててください!」

彼女の巨乳が料理をするたびにたぷんたぷんと揺れる。
エプロン姿の水着美女、眼福だ。

ジュウゥゥゥ……! 

鉄板の上で肉が焼ける香ばしい匂いが潮風に乗って広がる。

「焼けたよー!どんどん食べて!」
「わーい!お肉大好き!」

相崎莉奈(あいざき りな)とくるみが紙皿を持ってはしゃぐ

 「んぐっ、んぐっ……おいしーっ!外で食べると格別だね!」
「冷えたビールもあるわよ。……相田くんもどう?」

清花が缶ビール(もちろん拠点産の地球製)を渡してくれる。

「ありがとう。……平和だなぁ」

日向莉央(ひなた りお)と美鈴は波打ち際で激しいビーチバレーを繰り広げている。

「そりゃっ!【ソニック・スパイク】!」
「甘いネ!【剛掌レシーブ】!」 

ドォォォン!と砂柱が上がるレベルの攻防だが、楽しそうだ。

そんな喧騒から少し離れた場所。 
砂浜を見下ろす岩場の上に一人の少女が座っていた。 
滝川ののかだ。 

彼女は黒いビキニにパレオを巻いた大人びた水着姿で膝を抱えて海を眺めていた。 
ポニーテールが風に揺れ、長いまつ毛が憂いを帯びた影を落としている。

「……ののか」

僕が声をかけて岩場を登ると彼女はビクリと肩を震わせ、振り返った。

「あ、相田……」
「みんなと混ざらないの?焼きそば、持ってきたよ」

僕は二つ持っていた皿の一つを差し出した。

「……ありがと」

彼女は受け取ると、少し恥ずかしそうに視線を逸らした。

「別に、ハブられてるわけじゃないから。……ただ、少し酔い覚まし」
「酔い覚まし?」
「うん。……あいつらのテンションに酔った」

彼女はふふっと自嘲気味に笑い、焼きそばを一口食べた。

「ん、美味しい」
「よかった。……でも本当は?」

僕が隣に腰掛けると、彼女は少し沈黙してからポツリと言った。

「……私は、ここから見てるのが好きなの」
「見てるのが?」
「うん。全体を俯瞰して、何か変なことがないか見張るの。……アーチェリーやってるせいかな。一点に集中するより、風とか、距離とか、周りを見る癖がついちゃってて」

彼女の瞳は楽しそうに遊ぶ莉奈たちを見つめ、そして――僕の顔で止まった。

「それに……ここからならあんたのこともよく見えるし」
「え?」
「な、なんでもないっ!……あー、焼きそば美味しいなぁー!」

彼女は慌てて焼きそばを掻き込み、耳まで赤くしていた。 
クールビューティな彼女の年相応の可愛らしい一面。 
僕は思わず微笑んでしまった。

「……でも、相田」 

ふと、ののかの声色が真剣なものに変わった。 
彼女は箸を止め、鋭い視線で足元の「島」を見つめた。

「なんか……変なんだよね」
「変?」
「うん。……この島、静かすぎる」

彼女は自身のスキル【必中(ホークアイ)】を無意識に発動させていたのだろうか。

「鳥もいないし、虫の声もしない。……それに、さっきから微妙に『振動』してる気がする」
「振動?」

言われてみれば、お尻の下の岩盤から微弱な低周波のような震えが伝わってくるような……。

「それに樹里の探知だと『果実』の反応があったはずなのに……森の木、よく見ると全部『石』じゃない?」

彼女が指差した森の木々。
遠目には緑に見えていたが、よく見るとそれは精巧に作られた翡翠(ヒスイ)や孔雀石(マラカイト)の結晶だった。

「……まさか」

僕の背筋に冷たいものが走った。 
こは楽園なんかじゃない。
作り物だ。

「みんな!撤収だ!船に戻れ!」

僕は岩場から立ち上がり砂浜に向けて叫んだ。

「え?相田くん、どうしたのー?」
「まだお肉残ってるよ?」

莉奈たちがキョトンとしてこちらを見る。

その瞬間だった。

ズズズズズズズズッ……!!! 

微弱だった振動が突如として激震に変わった。

「きゃあっ!?」
「じ、地震!?」

砂浜にいたヒロインたちがバランスを崩して倒れ込む。

「違う!地面が……!」

ののかが叫ぶ。
白く美しかった砂浜が、まるで生き物のように蠢き液状化を始めたのだ。

「うそ、足が抜けない!」
「土が……固まって……!?」

莉奈が叫ぶ。
彼女の足首に絡みついた砂が瞬時に硬化し、セメントのように彼女を拘束した。

「やだ、沈む!美鈴ちゃん、助けて!」

くるみが美鈴に手を伸ばすが美鈴自身も腰まで砂に飲まれていた。

「くっ……力が入らないネ!踏ん張ろうとすると余計に沈むアル!」

美鈴の怪力も足場がなければ発揮できない。
流砂の蟻地獄が彼女たちを飲み込んでいく。

「【浄化(ピュリフィケーション)】!」

莉奈がとっさにスキルを発動する。
金色の光が砂を照らすが――何も起きない。

「なんで!?効かない!?」
「これは『汚れ』じゃない……ただの『質量』だ!」

僕が叫ぶ。
莉奈のスキルは状態異常や毒には無敵だが、純粋な物理現象である「大量の土砂」を消し去ることはできない。

「きゃあああああっ!動けないぃぃッ!」

歌恋、清花、莉央、真美……全員が、瞬く間に腰から胸まで硬化した土砂に埋められてしまった。

「ようこそ、我が庭へ」

ドォォォォォォォォン!!!

島の中央にあったクリスタルの岩山が炸裂した。 
舞い上がる土煙の中から現れたのはとてつもない巨体だった。

全長はアーク・ロイヤルに匹敵するだろうか。 
全身がごつごつとした岩石と鉱物で構成された巨人のような姿。 
その頭部には、宝石でできた無数の目が不気味に輝いている。

『我は地魔将軍(ちましょうぐん)・グランギガス』 

重低音の声が大気を震わせる。

『この『ジュエルアイランド』は我が体そのもの……貴様らを誘い込むための捕食要塞よ』
「島そのものが……四天王だって!?」

僕はののかを庇いながらその威容を見上げた。

『海を渡る船……そして、ふくよかな魔力を持った女たち。……極上の養分だ』

グランギガスが巨大な腕を振り上げる。 
地面が隆起し捕らわれた莉奈たちをさらに締め上げる。

「ぐぅっ……苦しぃ……!」
「あ、足が……石になっちゃう……!」

土砂に埋まった部分から彼女たちの皮膚が灰色に変色し始めていた。 
石化の呪いだ。 
生きたまま石像に変えられ、この島の養分として吸収されてしまうのだ。

「みんな!」

僕が飛び出そうとするとののかが僕の腕を掴んだ。

「ダメ!相田、行ってはダメ!」
「でも!」
「あそこに行ったらあんたも沈む!……今は、引くしかない!」

彼女の判断は冷静だった。 
僕たちがいるこの岩場だけは、グランギガスの支配下にある「砂」ではなく、独立した硬い岩盤だったため流砂化を免れていたのだ。

「……クソッ!」

僕は歯を食いしばり仲間たちが埋もれていく光景を目に焼き付けた。

「アーク・ロイヤルへ戻るぞ!……体勢を立て直すんだ!」

「逃がしはせんぞ、羽虫どもが!」

グランギガスが岩塊を投げつけてくる。

「【必中】!」

ののかが即座に弓を構え飛来する岩の軌道を読み切る。

「相田、右!3秒後に着弾!」
「くっ!」

彼女の指示に従い僕は岩陰に飛び込んだ。 

ドゴォォォォン! 
間一髪、僕たちがいた場所が粉砕される。

僕たちは岩場を駆け抜け、停泊していたボート(これも岩場に係留していたため無事だった)に飛び乗った。

「出すよ!」

エンジン全開で呪われた島から離脱する。 
背後では、ヒロインたちの悲鳴とグランギガスの哄笑が響いていた。

アーク・ロイヤルの甲板に辿り着いた時僕たちは息も絶え絶えだった。

「……はぁ、はぁ……」
「助かった……のか?」

ののかが弓を下ろし膝をつく。 
モニターには無情な光景が映し出されていた。 
美しい楽園だった島はいまや棘だらけの荒野と化し、その中心で莉奈たちが首から下を土に埋められ、石化の進行に怯えている姿があった。

「……許さない」

僕はコンソールを叩いた。

「絶対に助け出す。……グランギガス、お前を砕いて砂利にしてやる!」

だが相手は大地そのもの。 
こちらの攻撃(通常兵器)はあの分厚い岩盤装甲に阻まれるだろう。 
そして、人質を取られている以上、主砲『ラブ・バスター』のような広範囲殲滅兵器は使えない。 
必要なのは――圧倒的な貫通力を持つ、一点突破の攻撃。

僕は横にいるののかを見た。 
彼女は悔しそうに唇を噛み締めながらも、その鋭い瞳でモニターの敵を睨みつけていた。

「……相田」
「なんだ?」
「あいつの……胸のあたり。装甲の隙間に光るものが見える」

彼女の【必中】スキルが敵の弱点を捉えていた。

「核(コア)だわ。……あそこを撃ち抜けば倒せるかもしれない」
「でも、距離がある。それにあの装甲を貫くには……」
「私の弓じゃ、威力不足。……あんたの船の主砲も拡散しちゃうからダメ」

彼女は立ち上がり僕を真っ直ぐに見つめた。 
その瞳には、今まで隠していた熱い情熱が揺らめいていた。

「……相田。私に力を貸して」
「力?」
「あんたの『愛』のエネルギーで……私の矢を最強の貫通弾に変えてほしいの」

彼女は自分の胸元――水着の紐に手をかけた。

「そのために……私の全てを、あんたにあげる」
「ののか……」
「文化祭の時から……ずっと見てたんだから。……今度はあんたが私を見て」

彼女の顔が夕焼けのように赤く染まる。

「私の『芯』を……射抜いてほしいの」

絶体絶命のピンチ。 
残されたのは僕とクールな弓使いの二人だけ。 
大地を砕くための、静かで熱い夜が始まろうとしていた。
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