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プロローグ
伝説の終わりと、熱い始まり
「――はい、それじゃあラストセット! みなさんの体の芯に残った悪いモン、この俺が全部風に乗せて吹き飛ばしますからねぇ!」
灼熱のサウナ室。
室温計は110度を指している。
俺、轟豪(とどろき・ごう)は、満員の男たちの中心で巨大な大判タオルを旋回させていた。
50歳。
独身。
サウナ経営者にして、自称・日本一サウナを愛する熱波師(アウフグーサー)。
それが俺の人生のすべてだ。
「熱波(アウフグース)は、愛だ! 受け取ってくれぇぇぇい!」
ジュワアァァァ……!!
サウナストーンにアロマ水をかけた瞬間、爆発的な蒸気が発生する。
それを俺のタオル捌きが捉え、熱の塊として客一人ひとりに叩きつける。
「うおォォォ! 効くぅぅぅ!」
「轟さん、あんた最高だァァ!」
客たちの歓喜の叫び。
汗だくの笑顔。
最高だ。
これだからやめられねぇ。
だが、張り切りすぎたか。
寄る年波には勝てねぇってやつか。
意識が遠のく。
視界がホワイトアウトしていく中で俺は最後に思った。
(ああ……もっと、もっとたくさんの人を、気持ちよくさせてやりたかったなぁ……)
それが、俺の前世の記憶。
†
「……っ、さむっ!?」
目覚めた瞬間、俺の体を襲ったのは骨の髄まで凍りつくような冷気だった。
サウナ室じゃない。
ここはどこだ? 見渡す限りの雪原。
空は鉛色で、太陽の光すら凍りついているようだ。
「なんだこりゃ、遭難か? それにしては……」
自分の体を見る。
しなやかでエネルギーに満ち溢れた筋肉。
肌にはハリがある。
どう見ても50歳の俺じゃねぇ。
鏡がねぇから確証はねぇが、体感で18歳くらいの一番脂が乗ってた頃の肉体だ。
「まさか、流行りの異世界転生ってやつか? にしてもハードモードすぎねぇか?」
吐く息が白いどころかダイヤモンドダストになりかけている。
この世界の寒さは異常だ。
普通の人間なら数分で低体温症になるレベルだろう。
だが、不思議と俺の体は動く。
前世で鍛え上げた「耐熱性」が「耐寒性」にも応用されているのかもしれない。
と、その時。
脳内にサウナのロウリュみたいな音が響いた。
《ユニークスキル【サウナ召喚】が発現しました》
《初回ボーナス:【ログハウス式フィンランドサウナ(4人用)】が設置可能です》
「……は?」
思わず声が出た。
幻聴か?
いや、目の前に半透明のウィンドウが出ている。
俺は本能的にそれを指でタップした。
ズドォォォン!!
雪煙を上げて、目の前の何もない雪原に、突如として「それ」が現れた。
北欧産の極太丸太を組み上げた見事なログハウス。
煙突からはすでに温かそうな煙がたなびいている。
ドアを開ければ、そこには完璧にセッティングされたサウナ室があった。
薪ストーブの上には熱々に焼けたサウナストーン。
桶にはアロマ水。
壁にはヴィヒタ(白樺の枝束)まで吊るしてある。
「ハハッ! 最高じゃねぇか! 神様だか何だか知らねぇが、粋なことしてくるぜ!」
俺の血液が興奮で沸騰する。
場所が変わっても、体が変わっても、俺のやることは一つだ。
この極寒の世界を俺のサウナで温め尽くしてやる!
「おっと、その前に……最初の客(ゲスト)のお出ましだな」
サウナの準備を整え、外に出た俺の視界に雪に埋もれた何かが映った。
近づいてみるとそれは人間だった。
それもとびきりの美人だ。
全身を銀色の甲冑に包んだ騎士。
長い銀髪は霜に覆われ、美しい顔は青白く、呼吸も停止寸前だ。
「おいおい、大丈夫かお嬢ちゃん。こりゃひでぇ低体温症だ」
俺が頬に触れると氷塊に触れたような冷たさが伝わってきた。
ただの遭難じゃない。
体の内側から魔力みたいなものが暴走して凍りついている感じだ。
(……ん……だれ……? さわら、ないで……)
微かに目が開いた。
焦点が合っていないが、その瞳の奥には強い拒絶の色があった。
(わたしは、氷の騎士……だれも、わたしの熱を溶かせない……ひとりで、死ぬの……)
「へぇ、強情なお姫様だこと。だがな、俺の目の前で冷え切ってる奴を見過ごすなんて熱波師の名折れなんだよ!」
俺は彼女を軽々と姫抱きにするとログハウスへと走った。
「ちょっと乱暴だが許せよ。緊急医療措置だ!」
サウナ室の前室(脱衣所)で俺は彼女の凍りついた甲冑を力ずくで引き剥がした。
ガシャン、ガシャン!
(やめ……て……! わたしの肌を見ないで……っ!)
現れたのは、雪よりも白い滑らかな肌だった。
極限の寒さで鳥肌が立っているが、その素材の良さは隠せない。
引き締まった腰つき、形の良い乳房。
先端の突起は寒さでカチカチに尖っている。
「いい体してんじゃねぇか。だが、冷えすぎだ。これじゃ血も巡らねぇ」
(なにを言って……この男、目が、熱すぎる……!)
俺は彼女の下着――麻布のような粗末なものだ――だけを残し、バスタオルでくるむと、90度に設定したサウナ室へと運び込んだ。
「――ッ!?」
(なに、ここ……!? 熱い……息ができない……!)
入った瞬間、彼女は熱気に驚いて身をよじった。
無理もない。
氷の世界からいきなり灼熱の楽園だ。
「暴れるなよ。最初はキツイがすぐに気持ちよくなってくる」
俺は彼女を上段のベンチに座らせると、自分は腰にタオル一丁の姿になり、ストーブの前に立った。
手にはこの部屋に備え付けられていた巨大なバスタオル。
前世で愛用していた特注品と同じ手触りだ。
「さあ、お嬢ちゃん。君のその凍りついた頑固な心臓、俺が溶かしてやるよ」
俺は桶のアロマ水を柄杓ですくった。
(やめて……熱いのは、嫌いなの……! 私の氷が、溶けちゃう……!)
「嫌いじゃないさ。体は正直だぜ?」
ジュウウゥゥゥゥ……!!
焼け石に水が弾け、部屋中に鮮烈な白樺の香りと熱い蒸気が充満する。
俺はタオルを振り上げた。
「いくぞ! 轟(とどろき)流アウフグース、一番熱いのを食らいなッ!」
ブンッ!!
空気を切り裂く音と共に熱の塊が彼女に襲いかかる。
それは暴力的な熱風ではない。
計算し尽くされた、肌を撫でるような、それでいて芯まで届く、愛の熱波だ。
「――ひゃうっ!?」
(なに、これ……っ! 熱い風が、体に、まとわりついて……!)
彼女の喉から可愛らしい悲鳴が漏れた。
熱風が当たるたびに白い肌がみるみるうちに桜色に染まっていく。
冷え切っていた毛穴が強制的に開かれ、凍りついていた汗腺が活動を始める。
「ほらほら、いい汗が出てきたじゃねぇか!」
「あ、つぃ……! ダメ、そんなに煽いだら、わたし……っ!」
(体の奥が、熱い……! 氷が溶けてドロドロになっていく……! なんでこんなに見知らぬ男の前で、汗だくになって……恥ずかしい、のに……!)
彼女の全身から玉のような汗が噴き出していた。
それは彼女の中に溜まっていた「冷え」という名の呪いが、体外へ排出されている証拠だ。
汗に濡れた肌はサウナ室の照明を浴びて、とろけるような艶めきを放っている。
「んくぅっ、ふあぁっ……! 熱い、熱いのに……気持ち、いいぃ……っ!」
(頭が、ボーッとする……。この熱い風に、もっと、犯されたい……なんて、私……!)
彼女の理性が熱気と共に蒸発していくのがわかる。
氷の騎士の仮面が剥がれ、ただの「熱さに悶える一人の女」の顔になっていく。
その無防備な表情はどんなエロ動画よりも俺のペニスを硬くさせた。
だが、俺はプロだ。
ここで手を出すような野暮はしねぇ。
最高の「整い」を提供してこそ、熱波師だろ?
「よし、十分に蒸されたな。仕上げだ!」
俺はフラフラになった彼女を抱き上げると、サウナ室の外へ出た。
そこには召喚と同時に出現していた、キンキンに冷えた天然水の水風呂が待っている。
「え、ちょっ、なにするの……!?」
「クールダウンだ。これをしなきゃサウナは終わらねぇ!」
俺はためらうことなく、熱りきった彼女の体を冷水の中へと沈めた。
ザブゥン……ッ!
「――んひぃぃぃっ!?」
(つっ、冷たっ!? 心臓が、止まる……っ!)
「力を抜け! 身を委ねるんだ!」
急激な温度変化に、彼女の血管がキュッと収縮する。
だが数秒後、冷たさの痛覚が麻痺し、代わりに体の表面に温かい膜ができたような、不思議な感覚が彼女を包み込んだ。
(あれ……? 冷たいのに、温かい……? 体がフワフワする……)
「よし、上がれ。ここからが本番だぜ」
俺は彼女を水風呂から引き上げると、バスタオルで優しく水滴を拭き取りテラスに設置されたリクライニングチェア(通称・ととのい椅子)に寝かせた。
外気は氷点下だが、サウナと水風呂で極限状態になった体にはこの冷気が最高の御馳走になる。
彼女は大きく息を吐き出し空を見上げた。
鉛色だった空が、彼女の目には虹色に輝いて見えているはずだ。
「……ぁ……」
(世界が……回る……。体の力が全部抜けて……頭の中が真っ白になっていく……)
血管が拡張し、脳に大量の酸素とエンドルフィンが駆け巡る。
これがサウナの到達点。
【整う(トランス)】の瞬間だ。
「……ふぁ、あぁ……きもち、いい……。わたし、とけちゃった……」
彼女の口から、理性のかけらもない蕩けたような声が漏れた。
完全にキマっている。
焦点の合わない目でだらしなく口を開け恍惚の表情を浮かべる彼女は、最高にエロティックで、そして神々しかった。
俺は満足げに頷き、自分の腰タオルを巻き直した。
さて、異世界での最初の仕事は完璧だ。
だが、俺のペニスはまだ、この極上の光景を前にして熱く脈打ったままだった。
(さて、お嬢ちゃんが「整った」後は……俺の番、ってことでいいのかな?)
冷え切った世界で俺たちのいる場所だけが、熱く、熱く、燃え上がろうとしていた。
灼熱のサウナ室。
室温計は110度を指している。
俺、轟豪(とどろき・ごう)は、満員の男たちの中心で巨大な大判タオルを旋回させていた。
50歳。
独身。
サウナ経営者にして、自称・日本一サウナを愛する熱波師(アウフグーサー)。
それが俺の人生のすべてだ。
「熱波(アウフグース)は、愛だ! 受け取ってくれぇぇぇい!」
ジュワアァァァ……!!
サウナストーンにアロマ水をかけた瞬間、爆発的な蒸気が発生する。
それを俺のタオル捌きが捉え、熱の塊として客一人ひとりに叩きつける。
「うおォォォ! 効くぅぅぅ!」
「轟さん、あんた最高だァァ!」
客たちの歓喜の叫び。
汗だくの笑顔。
最高だ。
これだからやめられねぇ。
だが、張り切りすぎたか。
寄る年波には勝てねぇってやつか。
意識が遠のく。
視界がホワイトアウトしていく中で俺は最後に思った。
(ああ……もっと、もっとたくさんの人を、気持ちよくさせてやりたかったなぁ……)
それが、俺の前世の記憶。
†
「……っ、さむっ!?」
目覚めた瞬間、俺の体を襲ったのは骨の髄まで凍りつくような冷気だった。
サウナ室じゃない。
ここはどこだ? 見渡す限りの雪原。
空は鉛色で、太陽の光すら凍りついているようだ。
「なんだこりゃ、遭難か? それにしては……」
自分の体を見る。
しなやかでエネルギーに満ち溢れた筋肉。
肌にはハリがある。
どう見ても50歳の俺じゃねぇ。
鏡がねぇから確証はねぇが、体感で18歳くらいの一番脂が乗ってた頃の肉体だ。
「まさか、流行りの異世界転生ってやつか? にしてもハードモードすぎねぇか?」
吐く息が白いどころかダイヤモンドダストになりかけている。
この世界の寒さは異常だ。
普通の人間なら数分で低体温症になるレベルだろう。
だが、不思議と俺の体は動く。
前世で鍛え上げた「耐熱性」が「耐寒性」にも応用されているのかもしれない。
と、その時。
脳内にサウナのロウリュみたいな音が響いた。
《ユニークスキル【サウナ召喚】が発現しました》
《初回ボーナス:【ログハウス式フィンランドサウナ(4人用)】が設置可能です》
「……は?」
思わず声が出た。
幻聴か?
いや、目の前に半透明のウィンドウが出ている。
俺は本能的にそれを指でタップした。
ズドォォォン!!
雪煙を上げて、目の前の何もない雪原に、突如として「それ」が現れた。
北欧産の極太丸太を組み上げた見事なログハウス。
煙突からはすでに温かそうな煙がたなびいている。
ドアを開ければ、そこには完璧にセッティングされたサウナ室があった。
薪ストーブの上には熱々に焼けたサウナストーン。
桶にはアロマ水。
壁にはヴィヒタ(白樺の枝束)まで吊るしてある。
「ハハッ! 最高じゃねぇか! 神様だか何だか知らねぇが、粋なことしてくるぜ!」
俺の血液が興奮で沸騰する。
場所が変わっても、体が変わっても、俺のやることは一つだ。
この極寒の世界を俺のサウナで温め尽くしてやる!
「おっと、その前に……最初の客(ゲスト)のお出ましだな」
サウナの準備を整え、外に出た俺の視界に雪に埋もれた何かが映った。
近づいてみるとそれは人間だった。
それもとびきりの美人だ。
全身を銀色の甲冑に包んだ騎士。
長い銀髪は霜に覆われ、美しい顔は青白く、呼吸も停止寸前だ。
「おいおい、大丈夫かお嬢ちゃん。こりゃひでぇ低体温症だ」
俺が頬に触れると氷塊に触れたような冷たさが伝わってきた。
ただの遭難じゃない。
体の内側から魔力みたいなものが暴走して凍りついている感じだ。
(……ん……だれ……? さわら、ないで……)
微かに目が開いた。
焦点が合っていないが、その瞳の奥には強い拒絶の色があった。
(わたしは、氷の騎士……だれも、わたしの熱を溶かせない……ひとりで、死ぬの……)
「へぇ、強情なお姫様だこと。だがな、俺の目の前で冷え切ってる奴を見過ごすなんて熱波師の名折れなんだよ!」
俺は彼女を軽々と姫抱きにするとログハウスへと走った。
「ちょっと乱暴だが許せよ。緊急医療措置だ!」
サウナ室の前室(脱衣所)で俺は彼女の凍りついた甲冑を力ずくで引き剥がした。
ガシャン、ガシャン!
(やめ……て……! わたしの肌を見ないで……っ!)
現れたのは、雪よりも白い滑らかな肌だった。
極限の寒さで鳥肌が立っているが、その素材の良さは隠せない。
引き締まった腰つき、形の良い乳房。
先端の突起は寒さでカチカチに尖っている。
「いい体してんじゃねぇか。だが、冷えすぎだ。これじゃ血も巡らねぇ」
(なにを言って……この男、目が、熱すぎる……!)
俺は彼女の下着――麻布のような粗末なものだ――だけを残し、バスタオルでくるむと、90度に設定したサウナ室へと運び込んだ。
「――ッ!?」
(なに、ここ……!? 熱い……息ができない……!)
入った瞬間、彼女は熱気に驚いて身をよじった。
無理もない。
氷の世界からいきなり灼熱の楽園だ。
「暴れるなよ。最初はキツイがすぐに気持ちよくなってくる」
俺は彼女を上段のベンチに座らせると、自分は腰にタオル一丁の姿になり、ストーブの前に立った。
手にはこの部屋に備え付けられていた巨大なバスタオル。
前世で愛用していた特注品と同じ手触りだ。
「さあ、お嬢ちゃん。君のその凍りついた頑固な心臓、俺が溶かしてやるよ」
俺は桶のアロマ水を柄杓ですくった。
(やめて……熱いのは、嫌いなの……! 私の氷が、溶けちゃう……!)
「嫌いじゃないさ。体は正直だぜ?」
ジュウウゥゥゥゥ……!!
焼け石に水が弾け、部屋中に鮮烈な白樺の香りと熱い蒸気が充満する。
俺はタオルを振り上げた。
「いくぞ! 轟(とどろき)流アウフグース、一番熱いのを食らいなッ!」
ブンッ!!
空気を切り裂く音と共に熱の塊が彼女に襲いかかる。
それは暴力的な熱風ではない。
計算し尽くされた、肌を撫でるような、それでいて芯まで届く、愛の熱波だ。
「――ひゃうっ!?」
(なに、これ……っ! 熱い風が、体に、まとわりついて……!)
彼女の喉から可愛らしい悲鳴が漏れた。
熱風が当たるたびに白い肌がみるみるうちに桜色に染まっていく。
冷え切っていた毛穴が強制的に開かれ、凍りついていた汗腺が活動を始める。
「ほらほら、いい汗が出てきたじゃねぇか!」
「あ、つぃ……! ダメ、そんなに煽いだら、わたし……っ!」
(体の奥が、熱い……! 氷が溶けてドロドロになっていく……! なんでこんなに見知らぬ男の前で、汗だくになって……恥ずかしい、のに……!)
彼女の全身から玉のような汗が噴き出していた。
それは彼女の中に溜まっていた「冷え」という名の呪いが、体外へ排出されている証拠だ。
汗に濡れた肌はサウナ室の照明を浴びて、とろけるような艶めきを放っている。
「んくぅっ、ふあぁっ……! 熱い、熱いのに……気持ち、いいぃ……っ!」
(頭が、ボーッとする……。この熱い風に、もっと、犯されたい……なんて、私……!)
彼女の理性が熱気と共に蒸発していくのがわかる。
氷の騎士の仮面が剥がれ、ただの「熱さに悶える一人の女」の顔になっていく。
その無防備な表情はどんなエロ動画よりも俺のペニスを硬くさせた。
だが、俺はプロだ。
ここで手を出すような野暮はしねぇ。
最高の「整い」を提供してこそ、熱波師だろ?
「よし、十分に蒸されたな。仕上げだ!」
俺はフラフラになった彼女を抱き上げると、サウナ室の外へ出た。
そこには召喚と同時に出現していた、キンキンに冷えた天然水の水風呂が待っている。
「え、ちょっ、なにするの……!?」
「クールダウンだ。これをしなきゃサウナは終わらねぇ!」
俺はためらうことなく、熱りきった彼女の体を冷水の中へと沈めた。
ザブゥン……ッ!
「――んひぃぃぃっ!?」
(つっ、冷たっ!? 心臓が、止まる……っ!)
「力を抜け! 身を委ねるんだ!」
急激な温度変化に、彼女の血管がキュッと収縮する。
だが数秒後、冷たさの痛覚が麻痺し、代わりに体の表面に温かい膜ができたような、不思議な感覚が彼女を包み込んだ。
(あれ……? 冷たいのに、温かい……? 体がフワフワする……)
「よし、上がれ。ここからが本番だぜ」
俺は彼女を水風呂から引き上げると、バスタオルで優しく水滴を拭き取りテラスに設置されたリクライニングチェア(通称・ととのい椅子)に寝かせた。
外気は氷点下だが、サウナと水風呂で極限状態になった体にはこの冷気が最高の御馳走になる。
彼女は大きく息を吐き出し空を見上げた。
鉛色だった空が、彼女の目には虹色に輝いて見えているはずだ。
「……ぁ……」
(世界が……回る……。体の力が全部抜けて……頭の中が真っ白になっていく……)
血管が拡張し、脳に大量の酸素とエンドルフィンが駆け巡る。
これがサウナの到達点。
【整う(トランス)】の瞬間だ。
「……ふぁ、あぁ……きもち、いい……。わたし、とけちゃった……」
彼女の口から、理性のかけらもない蕩けたような声が漏れた。
完全にキマっている。
焦点の合わない目でだらしなく口を開け恍惚の表情を浮かべる彼女は、最高にエロティックで、そして神々しかった。
俺は満足げに頷き、自分の腰タオルを巻き直した。
さて、異世界での最初の仕事は完璧だ。
だが、俺のペニスはまだ、この極上の光景を前にして熱く脈打ったままだった。
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( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )