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第3章 秘湯の守り神と、白濁の湯けむり旅情
凍える白蛇、枯渇する源泉
サウナ馬車「トトロキ号」は険しい山道を越え、湯気の匂いを頼りに進んでいた。
だが、目的地に近づくにつれて俺の「熱波師の勘」が違和感を訴え始めた。
「……おかしいな。硫黄の匂いはするが湿度が低すぎる」
俺が呟くと助手席のゼファが鼻をひくつかせた。
「うん。……それに、死の匂いがする。ここも『冬』に殺されかけてるわ」
視界が開けた先に現れたのは、かつては賑わっていたであろう温泉郷「湯霧(ゆぎり)の里」だった。
だが、今の姿は惨憺たるものだ。
温泉宿の屋根は雪に埋もれ、本来なら湯気が立ち上るはずの湯畑は凍りつき氷柱が垂れ下がっている。
人の気配はない。
寒さに耐えきれず住民は避難したのだろう。
「ひどい……。温泉街なのに一番寒いなんて」
セレーネが窓ガラスを撫でながら悲しげに言う。
俺はハンドルを切り、村の一番奥――微かにだがまだ温かい気配が残る「源泉」の方角へと馬車を進めた。
「とにかく源泉を確認するぞ。俺たちの旅の疲れを癒やすためにも、馬車の修理のためにもお湯は必須だ」
それに俺の勘が告げている。
そこに、「呼んでいる」何かがいると。
†
村の最奥部。
そこには、巨大な注連縄(しめなわ)が飾られた古びた神社があった。
鳥居の奥には岩の間からチョロチョロと頼りないお湯が湧き出ている「御神湯」がある。
だが、その湯溜まりも周囲からの冷気で今にも凍りつきそうだ。
「……誰かいるわ」
ゼファが短剣に手をかけ警戒する。
湯溜まりの中心にある岩場。
そこに白い影があった。
俺たちは馬車を降り慎重に近づいた。
そこにいたのは人間ではなかった。
下半身は巨大な白い蛇。
上半身は透き通るような白い肌を持つ、長い黒髪の美女。
彼女は自身の長い尾で体を幾重にも巻きつけ、トグロの中でガタガタと震えていた。
「……う、ぅぅ……。さむ、い……。もう、だめ……」
美しくも儚い顔立ち。
切れ長の瞳は閉じられ、長いまつ毛に霜が降りている。
彼女こそがこの温泉郷の守り神にして、土地神の化身なのだろう。
「おい、大丈夫か!」
俺が声をかけると彼女は重い瞼をゆっくりと開いた。
その瞳は爬虫類特有の縦に割れた瞳孔を持っていたが、今は濁って生気がない。
「……人の、子……? 立ち去りなさい……。ここはもう……終わる場所……」
「終わらせねぇよ。俺は温泉に入りに来たんだ」
俺は彼女の目の前に膝をつきその白い肌に触れた。
「――ッ!?」
触れた瞬間、俺の手が凍りつくかと思った。
冷たい。死体の一歩手前だ。
彼女は「変温動物」だ。
外気温が下がれば、体温も下がる。
この異常気象の中、自ら熱を作り出せない彼女はまさに冬眠という名の緩やかな死に向かっている状態だった。
「……あったかい……」
(なに……この手……? 石焼き芋みたいに熱い……。私、もう体温がなくて……感覚が消えかけてたのに……)
彼女が無意識に俺の手に頬を擦り寄せてきた。
その仕草は熱を求める本能そのものだ。
「ごうさん、この人……ただの魔物じゃないわ」
後ろで見ていたセレーネがハッとしたように声を上げた。
「この神気……間違いないわ。『白蛇のミズチ』様よ! 北の山脈への門番にして、天候を操る神獣!」
「天候を操る?」
「ええ! 私たちが目指す『氷獄のカルデラ』は、常に猛吹雪で閉ざされているの。空を飛ぼうが、魔法を使おうが、ミズチ様の許可がなければ絶対にたどり着けない!」
なるほど。
ゼファの持つ種を植えるにはこの蛇神様の協力が不可欠というわけか。
世界を救う鍵はこの凍えかけた美女が握っている。
「……でも、私にはもう……門を開く力なんて……ない……」
ミズチ――白蛇の神は自嘲気味に笑った。
「この里の源泉は私の命そのもの……。それが、あの『冬将軍』の呪いで枯れかけている……。湯が枯れれば、私も枯れる……。もう冬眠することすら……できない……」
彼女の体がビクリと痙攣した。
限界だ。
このままでは彼女が死に、世界を救う道も閉ざされる。
「……ゼファ、セレーネ。準備だ」
俺は立ち上がりマント(バスタオル)を翻した。
「えっ? 準備って……」
「まさか、ここでサウナを?」
「ああ。神様だろうが何だろうが、冷えてる奴を放っておくのは俺の主義に反する!」
俺は両手を広げ、源泉の岩場全体を覆うように叫んだ。
「スキル発動!【岩盤浴式・蒸気神殿(スチーム・テンプル)】!」
ゴゴゴゴゴッ……!
地面から熱した岩盤が隆起し、神社の境内ごと包み込む巨大なドームが形成された。
枯れかけていた源泉に俺の魔力で沸かした高温の蒸気を送り込む。
「まずは室温を上げる! ミズチ様、少し楽になるはずだ!」
ドーム内が一気に蒸し暑くなる。
だが、ミズチの震えは止まらない。
「……う、ぅぅ……。だめ……。外側だけ温かくても……中の氷が溶けない……」
(気持ちいいけど……足りない……。私の体は冷たい血が流れる蛇……。一度冷え切った芯(コア)は外からの熱じゃ届かないの……)
彼女はトグロをさらに強く巻き、俺の腕にしがみついてきた。
「……ほしい……。もっと、直接……」
「直接?」
「……あなたは、熱の塊……。あなたの『陽の気』を私の中に……入れて……」
彼女の縦に割れた瞳が妖艶に細められた。
それは神の威厳というより、生存本能に突き動かされた「メス」の目だった。
「ごうさん……爬虫類の魔物は体温調節ができないの」
ゼファが深刻な顔で解説する。
「一度ここまで弱ってしまうと、ただ温めるだけじゃ回復しない。……『交尾』に近い方法で他者の生命エネルギーを直接体内に取り込まないと代謝機能が戻らないのよ」
「つまり……俺が『人間カイロ』になって、中から温めてやる必要があるってことか?」
「……もっと言うと、『粘膜摂取』が一番効率がいいわ。……精液とか、ね」
ゼファが少し顔を赤らめて付け加えた。
なるほど。
話は早い。
世界を救うためにも、この美女を救うためにも、俺の全精力を注ぎ込む必要があるわけだ。
「……人の子よ……。お願い……」
ミズチが冷たく滑らかな手で、俺のタオルの結び目に触れた。
その指先は解凍を待つ冷凍食品のように冷え切っている。
「……私を、温めて……。あなたのその、滾るような熱い杭で……私の冷え切った子宮(なか)を串刺しにして……」
(じゃないと、死んじゃう……。ううん、死にたくない。この温かい雄(オス)に抱かれて溶けるように眠りたい……)
彼女の下半身――蛇の部分が、しゅるりと変化し始めた。
白い鱗が光に包まれ、徐々に人間の、滑らかで肉感的な二本の脚へと変わっていく。
交尾の準備態勢に入った証拠だ。
股間にはまだ濡れることすらできない、冷たく乾いた秘裂が露わになっていた。
「……分かった。神様の願いだ、断る理由はねぇ」
俺は彼女を抱き上げ、湯気の立ち込める岩盤の上へと寝かせた。
冷え切った神の体。
これを俺の熱で茹で上げ、トロトロに溶かす。
難易度は高いが、熱波師の腕が鳴る仕事だ。
「セレーネ、ゼファ。お湯をかけ続けてくれ。乾燥は大敵だ」
「了解! ……ミズチ様、頑張って!」
「蛇の交尾は長いって聞くけど……ごうさんなら大丈夫ね」
二人のサポートを受け、俺はミズチの冷たい脚の間へと体を滑り込ませた。
そこは雪女のように冷たく、しかし吸い付くような極上の肌触りをしていた。
「さあ、ミズチ様。冬眠の前にとびきり熱い『春』を教えてやるよ」
俺の言葉にミズチは凍えた唇をわずかに緩め、期待に舌を這わせた。
その舌先は二股に分かれていた。
だが、目的地に近づくにつれて俺の「熱波師の勘」が違和感を訴え始めた。
「……おかしいな。硫黄の匂いはするが湿度が低すぎる」
俺が呟くと助手席のゼファが鼻をひくつかせた。
「うん。……それに、死の匂いがする。ここも『冬』に殺されかけてるわ」
視界が開けた先に現れたのは、かつては賑わっていたであろう温泉郷「湯霧(ゆぎり)の里」だった。
だが、今の姿は惨憺たるものだ。
温泉宿の屋根は雪に埋もれ、本来なら湯気が立ち上るはずの湯畑は凍りつき氷柱が垂れ下がっている。
人の気配はない。
寒さに耐えきれず住民は避難したのだろう。
「ひどい……。温泉街なのに一番寒いなんて」
セレーネが窓ガラスを撫でながら悲しげに言う。
俺はハンドルを切り、村の一番奥――微かにだがまだ温かい気配が残る「源泉」の方角へと馬車を進めた。
「とにかく源泉を確認するぞ。俺たちの旅の疲れを癒やすためにも、馬車の修理のためにもお湯は必須だ」
それに俺の勘が告げている。
そこに、「呼んでいる」何かがいると。
†
村の最奥部。
そこには、巨大な注連縄(しめなわ)が飾られた古びた神社があった。
鳥居の奥には岩の間からチョロチョロと頼りないお湯が湧き出ている「御神湯」がある。
だが、その湯溜まりも周囲からの冷気で今にも凍りつきそうだ。
「……誰かいるわ」
ゼファが短剣に手をかけ警戒する。
湯溜まりの中心にある岩場。
そこに白い影があった。
俺たちは馬車を降り慎重に近づいた。
そこにいたのは人間ではなかった。
下半身は巨大な白い蛇。
上半身は透き通るような白い肌を持つ、長い黒髪の美女。
彼女は自身の長い尾で体を幾重にも巻きつけ、トグロの中でガタガタと震えていた。
「……う、ぅぅ……。さむ、い……。もう、だめ……」
美しくも儚い顔立ち。
切れ長の瞳は閉じられ、長いまつ毛に霜が降りている。
彼女こそがこの温泉郷の守り神にして、土地神の化身なのだろう。
「おい、大丈夫か!」
俺が声をかけると彼女は重い瞼をゆっくりと開いた。
その瞳は爬虫類特有の縦に割れた瞳孔を持っていたが、今は濁って生気がない。
「……人の、子……? 立ち去りなさい……。ここはもう……終わる場所……」
「終わらせねぇよ。俺は温泉に入りに来たんだ」
俺は彼女の目の前に膝をつきその白い肌に触れた。
「――ッ!?」
触れた瞬間、俺の手が凍りつくかと思った。
冷たい。死体の一歩手前だ。
彼女は「変温動物」だ。
外気温が下がれば、体温も下がる。
この異常気象の中、自ら熱を作り出せない彼女はまさに冬眠という名の緩やかな死に向かっている状態だった。
「……あったかい……」
(なに……この手……? 石焼き芋みたいに熱い……。私、もう体温がなくて……感覚が消えかけてたのに……)
彼女が無意識に俺の手に頬を擦り寄せてきた。
その仕草は熱を求める本能そのものだ。
「ごうさん、この人……ただの魔物じゃないわ」
後ろで見ていたセレーネがハッとしたように声を上げた。
「この神気……間違いないわ。『白蛇のミズチ』様よ! 北の山脈への門番にして、天候を操る神獣!」
「天候を操る?」
「ええ! 私たちが目指す『氷獄のカルデラ』は、常に猛吹雪で閉ざされているの。空を飛ぼうが、魔法を使おうが、ミズチ様の許可がなければ絶対にたどり着けない!」
なるほど。
ゼファの持つ種を植えるにはこの蛇神様の協力が不可欠というわけか。
世界を救う鍵はこの凍えかけた美女が握っている。
「……でも、私にはもう……門を開く力なんて……ない……」
ミズチ――白蛇の神は自嘲気味に笑った。
「この里の源泉は私の命そのもの……。それが、あの『冬将軍』の呪いで枯れかけている……。湯が枯れれば、私も枯れる……。もう冬眠することすら……できない……」
彼女の体がビクリと痙攣した。
限界だ。
このままでは彼女が死に、世界を救う道も閉ざされる。
「……ゼファ、セレーネ。準備だ」
俺は立ち上がりマント(バスタオル)を翻した。
「えっ? 準備って……」
「まさか、ここでサウナを?」
「ああ。神様だろうが何だろうが、冷えてる奴を放っておくのは俺の主義に反する!」
俺は両手を広げ、源泉の岩場全体を覆うように叫んだ。
「スキル発動!【岩盤浴式・蒸気神殿(スチーム・テンプル)】!」
ゴゴゴゴゴッ……!
地面から熱した岩盤が隆起し、神社の境内ごと包み込む巨大なドームが形成された。
枯れかけていた源泉に俺の魔力で沸かした高温の蒸気を送り込む。
「まずは室温を上げる! ミズチ様、少し楽になるはずだ!」
ドーム内が一気に蒸し暑くなる。
だが、ミズチの震えは止まらない。
「……う、ぅぅ……。だめ……。外側だけ温かくても……中の氷が溶けない……」
(気持ちいいけど……足りない……。私の体は冷たい血が流れる蛇……。一度冷え切った芯(コア)は外からの熱じゃ届かないの……)
彼女はトグロをさらに強く巻き、俺の腕にしがみついてきた。
「……ほしい……。もっと、直接……」
「直接?」
「……あなたは、熱の塊……。あなたの『陽の気』を私の中に……入れて……」
彼女の縦に割れた瞳が妖艶に細められた。
それは神の威厳というより、生存本能に突き動かされた「メス」の目だった。
「ごうさん……爬虫類の魔物は体温調節ができないの」
ゼファが深刻な顔で解説する。
「一度ここまで弱ってしまうと、ただ温めるだけじゃ回復しない。……『交尾』に近い方法で他者の生命エネルギーを直接体内に取り込まないと代謝機能が戻らないのよ」
「つまり……俺が『人間カイロ』になって、中から温めてやる必要があるってことか?」
「……もっと言うと、『粘膜摂取』が一番効率がいいわ。……精液とか、ね」
ゼファが少し顔を赤らめて付け加えた。
なるほど。
話は早い。
世界を救うためにも、この美女を救うためにも、俺の全精力を注ぎ込む必要があるわけだ。
「……人の子よ……。お願い……」
ミズチが冷たく滑らかな手で、俺のタオルの結び目に触れた。
その指先は解凍を待つ冷凍食品のように冷え切っている。
「……私を、温めて……。あなたのその、滾るような熱い杭で……私の冷え切った子宮(なか)を串刺しにして……」
(じゃないと、死んじゃう……。ううん、死にたくない。この温かい雄(オス)に抱かれて溶けるように眠りたい……)
彼女の下半身――蛇の部分が、しゅるりと変化し始めた。
白い鱗が光に包まれ、徐々に人間の、滑らかで肉感的な二本の脚へと変わっていく。
交尾の準備態勢に入った証拠だ。
股間にはまだ濡れることすらできない、冷たく乾いた秘裂が露わになっていた。
「……分かった。神様の願いだ、断る理由はねぇ」
俺は彼女を抱き上げ、湯気の立ち込める岩盤の上へと寝かせた。
冷え切った神の体。
これを俺の熱で茹で上げ、トロトロに溶かす。
難易度は高いが、熱波師の腕が鳴る仕事だ。
「セレーネ、ゼファ。お湯をかけ続けてくれ。乾燥は大敵だ」
「了解! ……ミズチ様、頑張って!」
「蛇の交尾は長いって聞くけど……ごうさんなら大丈夫ね」
二人のサポートを受け、俺はミズチの冷たい脚の間へと体を滑り込ませた。
そこは雪女のように冷たく、しかし吸い付くような極上の肌触りをしていた。
「さあ、ミズチ様。冬眠の前にとびきり熱い『春』を教えてやるよ」
俺の言葉にミズチは凍えた唇をわずかに緩め、期待に舌を這わせた。
その舌先は二股に分かれていた。
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