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第4章 天空のサウナ要塞、トトロキ号
蒸気の翼、空を焦がす ☆
湯霧の里を後にしたサウナ馬車「トトロキ号」は北へ向かって雪原を疾走していた。
目指すは黒い雲に覆われた「氷獄のカルデラ」。
世界を凍らせている元凶、氷竜が眠る場所だ。
「……気圧が下がってきたわね。耳がツーンとする」
助手席でセレーネが不快そうに耳をさする。
標高が上がっている証拠だ。
外の気温はマイナス30度を下回っているだろう。
だが、車内は快適な室温25度。
加湿器代わりのアロマポットからは柑橘系の爽やかな香りが漂っている。
「旦那様。……そろそろですわ」
後部座席で優雅にお茶を飲んでいたミズチがふとカップを置いた。
その爬虫類の瞳孔が鋭く収縮している。
「『空の女王』のテリトリーに入りました。……風の匂いが鉄錆のように変わりましたから」
「了解だ。全員、シートベルト着用!」
俺が号令をかけた、その瞬間だった。
キィィィィィンッ!!
耳をつんざくような甲高い鳴き声と共に馬車の屋根に何かが激突した。
ドォォォンッ!
重量級の馬車が紙細工のように揺れる。
「きゃあっ!?」
「なっ、何!?」
セレーネとゼファが悲鳴を上げる。
俺は天井の強化ガラス越しに、上空を見上げた。
「……出やがったな」
そこにいたのは背中に巨大な翼を生やした鳥の身体を持つ美女たちの群れ。
その中心に、一際大きく美しい虹色の翼を持つ個体が浮いていた。
魔王軍四天王が一角、「空の女王」ハルピュイアだ。
『ふふふ……。地を這う虫ケラどもが。ここから先は我が空域よ』
ハルピュイアの声は魔法によって増幅され、直接脳内に響いてくる。
『この高みまで登ろうなどと身の程知らずもいいところ。……風に切り刻まれて死になさい!』
彼女が翼をはばたかせると、カマイタチのような真空の刃が雨あられと降り注いだ。
ガガガガガッ!
馬車の装甲が削られ、スチーム・ホースが悲鳴を上げる。
地上の雪は深く、馬車の車輪では回避行動が取れない。
完全に的(マト)だ。
「くっ、上からの攻撃なんて卑怯な……! 私の氷魔法もこの強風じゃ届かないわ!」
セレーネが歯噛みする。
ゼファの毒矢も風に流されて当たらない。
一方的な蹂躙。
空を飛ぶ敵に対し、地上の敵は無力――それが戦場の常識だ。
だが。
俺はニヤリと笑い、コンソールパネルの赤いボタンに手をかけた。
「空の女王様よぉ……。一つ教えてやる」
俺はレバーを最大出力まで押し込んだ。
「サウナの基本を知ってるか? ――『熱い空気は上へ昇る』んだよッ!」
俺は叫んだ。
「変形! サウナ馬車・フライトモードッ!!」
ズゴゴゴゴゴ……プシューッ!!
馬車の側面が展開し、収納されていた巨大な帆(耐熱布)が翼のように広がった。
同時に底部の排気口から、圧縮された超高温の蒸気が噴射される。
「全員、衝撃に備えろォッ!」
ボォォォォォォォォッ!!
爆発的な推進力。
数トンの重量がある馬車がふわりと浮き上がった。
いや、浮いたなんてもんじゃない。
ロケット花火のように、垂直に空へと射出されたのだ。
「――ひゃうぁぁぁっ!?」
強烈なG(重力加速度)が俺たちを襲う。
シートに体がめり込む感覚。
そして慣性の法則により、隣に座っていたヒロインたちが俺の方へと押し寄せた。
「きゃっ、ごうさんっ!」
「んぐっ、く、苦しいっ!」
ドンッ、ムニュゥ……。
右からはセレーネの豊満な胸が、左からはゼファの引き締まった太腿が、俺の体に強烈に押し付けられる。
シートベルトをしているが、このGの前では無意味だ。
俺は二人の美女をクッションにする形で操縦桿を握りしめていた。
(すご……っ! 胸がごうさんの腕に押し潰されて……! 形が変わっちゃうくらい密着してる……!)
セレーネの心の声が聞こえる。
彼女のFカップの乳房が俺の二の腕に完全フィットし、その弾力を伝えてくる。
エンジンの振動と相まって、それは一種のマッサージのようだ。
「ミズチ! 風を読め! 上昇気流に乗せるぞ!」
「はいっ、旦那様! 右前方、乱気流の裂け目へ!」
後部座席のミズチが神の目で風の道を見極める。
彼女もまた、Gで胸を揺らしながら叫んでいる。
「そこだァッ!」
俺は馬車を急旋回させた。
ギュルンッ!
遠心力で今度はゼファが俺の膝の上に乗り上げる形になった。
「あひっ、そこっ、固いのが当たってるぅっ!」
(お尻に……ごうさんの膝小僧が食い込んで……! んぅ、振動がすごくて変な声出ちゃう……!)
「悪いなゼファ、我慢してくれ! 今はこれが命綱だ!」
俺たちは四人で一つの塊となり、空へと舞い上がった。
『な、何ッ!? 馬車が……飛んだだと!?』
上空で高笑いしていたハルピュイアが驚愕で目を見開く。
蒸気ジェットを纏ったトトロキ号は、一瞬で彼女と同じ高度まで到達していた。
「驚くのはまだ早いぜ! ここからは『空中サウナ戦』だ!」
俺は外部スピーカーで言い放ち、攻撃用のバルブを開いた。
「食らいな! 特濃・湿気(ミスト)ミサイル!」
シュババババッ!
馬車の砲門から放たれたのは、砲弾ではなく高密度に圧縮された「熱湯の霧」だ。
『ふん、ただの水など!』
ハルピュイアたちは避けようともしなかった。
だが、それが命取りだった。
ジュワァァァ……!
霧に触れた瞬間、彼女たちの自慢の羽毛が水分を吸って重く垂れ下がった。
鳥にとって濡れることは死活問題。
しかも、これはただの水ではない。
アロマオイルを含んだ粘着質の蒸気だ。
『きゃぁっ!? 羽が、重い……! うまく飛べない!?』
『熱っ、なにこれ、ベタベタして……!』
ハーピーたちがバランスを崩し次々と高度を落としていく。
「追撃よ! 凍りつきなさい!」
セレーネが窓を開け、濡れたハーピーたちに向けて氷結魔法を放つ。
水分を含んだ翼は瞬時に凍りつき、氷の塊となって落下していった。
「ナイスだセレーネ!」
『お、おのれぇぇっ! 私の可愛い部下たちを!』
激昂したハルピュイアが自ら突っ込んでくる。
さすがは四天王、多少の湿気では墜落しないようだ。
彼女の鉤爪が、馬車のガラスに迫る。
「させるかよ!」
俺はさらに蒸気圧を上げた。
サウナ馬車の周囲に陽炎のような熱の膜(ヒートシールド)が展開される。
「熱波防御(アウフグース・シールド)!」
ジュッ!!
『あつゥゥィッ!?』
ハルピュイアが触れた瞬間、彼女の爪から煙が上がった。
高温の蒸気膜は、触れるもの全てを火傷させる。
「どうだ! サウナの中じゃ迂闊に金属(ツメ)に触ると火傷するんだよ!」
『ぐぬぬ……! 覚えていなさい!』
攻め手を失ったハルピュイアは、悔しげに睨みつけると黒雲の彼方へと撤退していった。
空の女王を蒸気の力だけで追い払ったのだ。
「やった……! 撃退したわ!」
「すごい! 本当に飛んじゃった!」
セレーネとゼファが歓声を上げる。
緊張が解け、二人の体がふにゃりと俺に寄りかかってくる。
「……ふぅ。なんとか乗り切ったな」
俺は操縦桿から手を離し乱れた息を整えた。
両腕にはまだ二人の柔らかい感触と温かい体温が残っている。
Gによる密着プレスのおかげで俺の股間も戦闘中だというのに元気に反応してしまっていた。
「……あら? 旦那様、あちらをご覧ください」
ミズチが窓の外を指差した。
雲を抜けた先。
そこに目的の場所が見えてきた。
巨大な山脈の中心にぽっかりと空いた巨大な穴。
そこから禍々しいほどの冷気と、青白い光が漏れ出している。
『氷獄のカルデラ』。
世界の中心にして、ラストダンジョンの入り口だ。
「……あそこね。氷竜がいる場所」
セレーネがゴクリと喉を鳴らす。
「あの中に、種を植える土壌があるはず」
ゼファがお腹をさすりながら呟く。
「行きましょう、旦那様。……あの寒さ、私の神通力でも防ぎきれません。ここからはあなたの『熱』だけが頼りです」
ミズチが真剣な眼差しで俺を見る。
俺は頷き、再び操縦桿を握った。
眼下に広がる絶対零度の地獄。
だがこの狭い箱の中には、世界で一番熱い情熱と愛すべき女たちがいる。
「ああ、行こうぜ。……最後のサウナを作りにな!」
トトロキ号は白い蒸気の尾を引きながら、氷の地獄へと降下を開始した。
その先に待つのが、さらなる激闘か、それとも極上の快楽か。
どちらにせよ、俺たちの旅はもう止まらない。
目指すは黒い雲に覆われた「氷獄のカルデラ」。
世界を凍らせている元凶、氷竜が眠る場所だ。
「……気圧が下がってきたわね。耳がツーンとする」
助手席でセレーネが不快そうに耳をさする。
標高が上がっている証拠だ。
外の気温はマイナス30度を下回っているだろう。
だが、車内は快適な室温25度。
加湿器代わりのアロマポットからは柑橘系の爽やかな香りが漂っている。
「旦那様。……そろそろですわ」
後部座席で優雅にお茶を飲んでいたミズチがふとカップを置いた。
その爬虫類の瞳孔が鋭く収縮している。
「『空の女王』のテリトリーに入りました。……風の匂いが鉄錆のように変わりましたから」
「了解だ。全員、シートベルト着用!」
俺が号令をかけた、その瞬間だった。
キィィィィィンッ!!
耳をつんざくような甲高い鳴き声と共に馬車の屋根に何かが激突した。
ドォォォンッ!
重量級の馬車が紙細工のように揺れる。
「きゃあっ!?」
「なっ、何!?」
セレーネとゼファが悲鳴を上げる。
俺は天井の強化ガラス越しに、上空を見上げた。
「……出やがったな」
そこにいたのは背中に巨大な翼を生やした鳥の身体を持つ美女たちの群れ。
その中心に、一際大きく美しい虹色の翼を持つ個体が浮いていた。
魔王軍四天王が一角、「空の女王」ハルピュイアだ。
『ふふふ……。地を這う虫ケラどもが。ここから先は我が空域よ』
ハルピュイアの声は魔法によって増幅され、直接脳内に響いてくる。
『この高みまで登ろうなどと身の程知らずもいいところ。……風に切り刻まれて死になさい!』
彼女が翼をはばたかせると、カマイタチのような真空の刃が雨あられと降り注いだ。
ガガガガガッ!
馬車の装甲が削られ、スチーム・ホースが悲鳴を上げる。
地上の雪は深く、馬車の車輪では回避行動が取れない。
完全に的(マト)だ。
「くっ、上からの攻撃なんて卑怯な……! 私の氷魔法もこの強風じゃ届かないわ!」
セレーネが歯噛みする。
ゼファの毒矢も風に流されて当たらない。
一方的な蹂躙。
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だが。
俺はニヤリと笑い、コンソールパネルの赤いボタンに手をかけた。
「空の女王様よぉ……。一つ教えてやる」
俺はレバーを最大出力まで押し込んだ。
「サウナの基本を知ってるか? ――『熱い空気は上へ昇る』んだよッ!」
俺は叫んだ。
「変形! サウナ馬車・フライトモードッ!!」
ズゴゴゴゴゴ……プシューッ!!
馬車の側面が展開し、収納されていた巨大な帆(耐熱布)が翼のように広がった。
同時に底部の排気口から、圧縮された超高温の蒸気が噴射される。
「全員、衝撃に備えろォッ!」
ボォォォォォォォォッ!!
爆発的な推進力。
数トンの重量がある馬車がふわりと浮き上がった。
いや、浮いたなんてもんじゃない。
ロケット花火のように、垂直に空へと射出されたのだ。
「――ひゃうぁぁぁっ!?」
強烈なG(重力加速度)が俺たちを襲う。
シートに体がめり込む感覚。
そして慣性の法則により、隣に座っていたヒロインたちが俺の方へと押し寄せた。
「きゃっ、ごうさんっ!」
「んぐっ、く、苦しいっ!」
ドンッ、ムニュゥ……。
右からはセレーネの豊満な胸が、左からはゼファの引き締まった太腿が、俺の体に強烈に押し付けられる。
シートベルトをしているが、このGの前では無意味だ。
俺は二人の美女をクッションにする形で操縦桿を握りしめていた。
(すご……っ! 胸がごうさんの腕に押し潰されて……! 形が変わっちゃうくらい密着してる……!)
セレーネの心の声が聞こえる。
彼女のFカップの乳房が俺の二の腕に完全フィットし、その弾力を伝えてくる。
エンジンの振動と相まって、それは一種のマッサージのようだ。
「ミズチ! 風を読め! 上昇気流に乗せるぞ!」
「はいっ、旦那様! 右前方、乱気流の裂け目へ!」
後部座席のミズチが神の目で風の道を見極める。
彼女もまた、Gで胸を揺らしながら叫んでいる。
「そこだァッ!」
俺は馬車を急旋回させた。
ギュルンッ!
遠心力で今度はゼファが俺の膝の上に乗り上げる形になった。
「あひっ、そこっ、固いのが当たってるぅっ!」
(お尻に……ごうさんの膝小僧が食い込んで……! んぅ、振動がすごくて変な声出ちゃう……!)
「悪いなゼファ、我慢してくれ! 今はこれが命綱だ!」
俺たちは四人で一つの塊となり、空へと舞い上がった。
『な、何ッ!? 馬車が……飛んだだと!?』
上空で高笑いしていたハルピュイアが驚愕で目を見開く。
蒸気ジェットを纏ったトトロキ号は、一瞬で彼女と同じ高度まで到達していた。
「驚くのはまだ早いぜ! ここからは『空中サウナ戦』だ!」
俺は外部スピーカーで言い放ち、攻撃用のバルブを開いた。
「食らいな! 特濃・湿気(ミスト)ミサイル!」
シュババババッ!
馬車の砲門から放たれたのは、砲弾ではなく高密度に圧縮された「熱湯の霧」だ。
『ふん、ただの水など!』
ハルピュイアたちは避けようともしなかった。
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ジュワァァァ……!
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鳥にとって濡れることは死活問題。
しかも、これはただの水ではない。
アロマオイルを含んだ粘着質の蒸気だ。
『きゃぁっ!? 羽が、重い……! うまく飛べない!?』
『熱っ、なにこれ、ベタベタして……!』
ハーピーたちがバランスを崩し次々と高度を落としていく。
「追撃よ! 凍りつきなさい!」
セレーネが窓を開け、濡れたハーピーたちに向けて氷結魔法を放つ。
水分を含んだ翼は瞬時に凍りつき、氷の塊となって落下していった。
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『お、おのれぇぇっ! 私の可愛い部下たちを!』
激昂したハルピュイアが自ら突っ込んでくる。
さすがは四天王、多少の湿気では墜落しないようだ。
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「させるかよ!」
俺はさらに蒸気圧を上げた。
サウナ馬車の周囲に陽炎のような熱の膜(ヒートシールド)が展開される。
「熱波防御(アウフグース・シールド)!」
ジュッ!!
『あつゥゥィッ!?』
ハルピュイアが触れた瞬間、彼女の爪から煙が上がった。
高温の蒸気膜は、触れるもの全てを火傷させる。
「どうだ! サウナの中じゃ迂闊に金属(ツメ)に触ると火傷するんだよ!」
『ぐぬぬ……! 覚えていなさい!』
攻め手を失ったハルピュイアは、悔しげに睨みつけると黒雲の彼方へと撤退していった。
空の女王を蒸気の力だけで追い払ったのだ。
「やった……! 撃退したわ!」
「すごい! 本当に飛んじゃった!」
セレーネとゼファが歓声を上げる。
緊張が解け、二人の体がふにゃりと俺に寄りかかってくる。
「……ふぅ。なんとか乗り切ったな」
俺は操縦桿から手を離し乱れた息を整えた。
両腕にはまだ二人の柔らかい感触と温かい体温が残っている。
Gによる密着プレスのおかげで俺の股間も戦闘中だというのに元気に反応してしまっていた。
「……あら? 旦那様、あちらをご覧ください」
ミズチが窓の外を指差した。
雲を抜けた先。
そこに目的の場所が見えてきた。
巨大な山脈の中心にぽっかりと空いた巨大な穴。
そこから禍々しいほどの冷気と、青白い光が漏れ出している。
『氷獄のカルデラ』。
世界の中心にして、ラストダンジョンの入り口だ。
「……あそこね。氷竜がいる場所」
セレーネがゴクリと喉を鳴らす。
「あの中に、種を植える土壌があるはず」
ゼファがお腹をさすりながら呟く。
「行きましょう、旦那様。……あの寒さ、私の神通力でも防ぎきれません。ここからはあなたの『熱』だけが頼りです」
ミズチが真剣な眼差しで俺を見る。
俺は頷き、再び操縦桿を握った。
眼下に広がる絶対零度の地獄。
だがこの狭い箱の中には、世界で一番熱い情熱と愛すべき女たちがいる。
「ああ、行こうぜ。……最後のサウナを作りにな!」
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