超短編小説集 2024

いとくめ

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どこにもいない

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知恵があり経験豊富で頼れる誰かが隣にいて
なにかあったら必ず守ってくれて
わからないことは尋ねれば
すぐに教えてくれるのではないかと
うっすら期待していたが
そんな人は存在せず

危険を冒し恥をかくことで
ようやく手に入る答えがあり
苦労の末に手にしたはずの答えも万能ではなく
間違いに気づいたらまた探しにいくしかない
なんでも知っていて頼りになって
間違えることなく正しく最終判断してくれる、
そんな都合の良い人はいない
わかっていてもつい楽したくて探してしまうのだけれど

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