超短編小説集 2024

いとくめ

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解剖

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じつくりと観察し

バラバラにして並べていき

ひとつずつ無惨に潰していくつもりだ


茶色のまんじゅうをふたつ重ねたような顔と胴体で

でっぷり太っていつも場所ばかり取るくせに

中身はないも同然

空っぽの頭から振り出されのは

薄っぺらで陳腐な言葉ばかり

嘘つきで見栄っぱりで

安っぽいものを買い集めては見せびらかし

意地汚く食べていつも他人の悪口ばかり


あんたなんか大嫌い

面と向かって言いたかったけれど

どうせ届くはずはないのだから

ここでひとり気が済むまで切り刻み解剖したら

土に埋めてもう二度と思い出さない

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