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ついに旅立ちの朝、少し早めに目が覚めてしまった僕は顔を身支度を整えて準備万端だ。いつも通りノックに返事をし、ラトさんが朝ごはんを持ってきて……ない。ラトさんの手に朝ごはんは無く、その代わりに胃もたれ必須のヘビーな案件を持ってきた。
「陛下が旅立つ前に家族水入らずで朝食をと。」
そういえば王族もできるだけ一緒にご飯食べよう!みたいなやつあったな……何代か前の王様が作ったものらしいけど。今までずっとすっぽかしてたってこと……行くしかないかあ。
始めて通る長い廊下を進むと豪奢な細工がされた扉の前にたどり着いた。ここからは僕一人で行かなくてはならない。扉を押し開けるともう既に僕以外の3人は席についていた。
「よく来たな。その席に座るといい。」
めちゃくちゃに長ーくてもう声聞こえてないでしょみたいなテーブルを想像していたけど、意外とこじんまりとしていてメニューもいつも部屋で食べているようなものだ。
それにしてもこの空間のロイヤル濃度が高すぎる……3ロイヤル、一応僕含め4ロイヤルか。
「ルイスはコーンスープが好きなのかい?」
緊張してコーンスープしか啜っていなかった僕にアーサー様が話しかけてきた。さすが王宮、といった感じでここの料理はどれも美味しいのだけれど、僕はコーンスープが1番お気に入り。
「う、はい。好きです。」
「そうか、好きなだけ食べるんだよ」
「ありがとうございます。」
その会話を最後に食卓に沈黙が漂った。き、気まずい……気まずすぎる。なにか話した方がいいのかな、何話せばいいんだろう……
「……ルイス」
怖い顔のリオン様が僕に声をかけた。
「すまなかった」
いきなりどうしちゃったのだろうか、僕リオン様に謝られるようなことされたっけ。
「お前がめずらしく王宮の中央辺りに来た時のだな……泣いていただろう。」
ああ!僕が転生して最初の日のことか……確かに言い方はきつかったしズバッと言われたけどルイスの今までの行動的に言われてもしょうがないところは無きにしも非ずだったし、初日で大混乱だったから半泣きになってしまったけど今となってはあまり気にしてない。
「もう気にしてませんから、大丈夫です。」
僕がそう返すと複雑そうな顔でリオン様は頷いた。と、今までずっと黙っていた王様が口を開いた。
「私からもいいか。」
僕の方に向き直り、目を合わせてくる。
「気づけなくてすまなかった。お前はずっと苦しんでいたのに。」
もう……痛くないし命に別状はないのに、ラトさんも大袈裟だけど王様もだ。
「いいえ、本当に大丈夫です。」
「ルイス……不甲斐ない父ですまない。」
「それを言うなら私だって不甲斐ない兄で……」
「俺も……もっと早く気づけていれば」
揃いも揃って大袈裟すぎるよ……なんとさこの湿っぽい空気を払拭しなければ。
「気にしないでください。そうだ、僕西領行くの初めてなんですけどなにか気をつけた方がいいこととかありますか?」
「あ、ああ、強いて言うなら……」
少しぎこちなさはありながらその後は会話が弾み、食事が終わる頃には3人とも少しだけ笑うようになり、いい雰囲気のまま終わることができた。
そろそろ出発の時間、用意された馬車に乗り込む、のだけれど……見送りが多すぎやしませんか?表彰式リターンズだ。招集がかかったのかな、朝早いのに……お疲れ様です。
お別れの言葉もそこそこに乗り込み、御者さんが手綱を操って馬車はついに西領へ走り出した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
なかなか西領編にたどり着けない……次は到着する予定です
。
「陛下が旅立つ前に家族水入らずで朝食をと。」
そういえば王族もできるだけ一緒にご飯食べよう!みたいなやつあったな……何代か前の王様が作ったものらしいけど。今までずっとすっぽかしてたってこと……行くしかないかあ。
始めて通る長い廊下を進むと豪奢な細工がされた扉の前にたどり着いた。ここからは僕一人で行かなくてはならない。扉を押し開けるともう既に僕以外の3人は席についていた。
「よく来たな。その席に座るといい。」
めちゃくちゃに長ーくてもう声聞こえてないでしょみたいなテーブルを想像していたけど、意外とこじんまりとしていてメニューもいつも部屋で食べているようなものだ。
それにしてもこの空間のロイヤル濃度が高すぎる……3ロイヤル、一応僕含め4ロイヤルか。
「ルイスはコーンスープが好きなのかい?」
緊張してコーンスープしか啜っていなかった僕にアーサー様が話しかけてきた。さすが王宮、といった感じでここの料理はどれも美味しいのだけれど、僕はコーンスープが1番お気に入り。
「う、はい。好きです。」
「そうか、好きなだけ食べるんだよ」
「ありがとうございます。」
その会話を最後に食卓に沈黙が漂った。き、気まずい……気まずすぎる。なにか話した方がいいのかな、何話せばいいんだろう……
「……ルイス」
怖い顔のリオン様が僕に声をかけた。
「すまなかった」
いきなりどうしちゃったのだろうか、僕リオン様に謝られるようなことされたっけ。
「お前がめずらしく王宮の中央辺りに来た時のだな……泣いていただろう。」
ああ!僕が転生して最初の日のことか……確かに言い方はきつかったしズバッと言われたけどルイスの今までの行動的に言われてもしょうがないところは無きにしも非ずだったし、初日で大混乱だったから半泣きになってしまったけど今となってはあまり気にしてない。
「もう気にしてませんから、大丈夫です。」
僕がそう返すと複雑そうな顔でリオン様は頷いた。と、今までずっと黙っていた王様が口を開いた。
「私からもいいか。」
僕の方に向き直り、目を合わせてくる。
「気づけなくてすまなかった。お前はずっと苦しんでいたのに。」
もう……痛くないし命に別状はないのに、ラトさんも大袈裟だけど王様もだ。
「いいえ、本当に大丈夫です。」
「ルイス……不甲斐ない父ですまない。」
「それを言うなら私だって不甲斐ない兄で……」
「俺も……もっと早く気づけていれば」
揃いも揃って大袈裟すぎるよ……なんとさこの湿っぽい空気を払拭しなければ。
「気にしないでください。そうだ、僕西領行くの初めてなんですけどなにか気をつけた方がいいこととかありますか?」
「あ、ああ、強いて言うなら……」
少しぎこちなさはありながらその後は会話が弾み、食事が終わる頃には3人とも少しだけ笑うようになり、いい雰囲気のまま終わることができた。
そろそろ出発の時間、用意された馬車に乗り込む、のだけれど……見送りが多すぎやしませんか?表彰式リターンズだ。招集がかかったのかな、朝早いのに……お疲れ様です。
お別れの言葉もそこそこに乗り込み、御者さんが手綱を操って馬車はついに西領へ走り出した。
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なかなか西領編にたどり着けない……次は到着する予定です
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