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14 ずっと一緒のおまじない
しおりを挟む少し暑さを感じる季節になってきたポカポカの昼下がり。依頼の帰りに見つけた花畑でコハクと一緒にピクニックを決行した。マジックバッグを活用してアイスクリームも持っていく。
かなり見つけにくい場所なので人はおらず、2人のゆっくりとした時間が流れていた。
大きな布にちょこんと座り、サンドイッチを頬張ってアイスクリームに目を輝かせるコハクを眺めながら、襲ってくる微睡みに目を細める。
爽やかな風に乗った草の香りに、ふと懐かしい記憶を思い出した。いくつかの花を摘んでするすると編んでいく。編んでいく度に思い出が蘇り、差し込んでいく花が増えていく。随分豪華な花かんむりが出来上がってしまったな……
「コハク~」
「はーい!なぁにー!」
ちょうちょを追いかけていたコハクがぱたぱたと戻ってきた。その頭にぽすっと花かんむりを着地させると、ぽかんと首を傾げるコハク。んんんんん……!可愛すぎる……!
「ふふ、花かんむりだよ」
「わぁ……!ねえレイ、俺にも作れる?」
「そうだなぁ、かんむりはちょっと大きいから、まずは指輪からチャレンジするのはどうだ?」
「指輪?作りたい!」
教えて教えてー!っとせがむコハクのぴこぴこ耳とブンブンしっぽに悶えながら俺も一緒に編んでいく。
「ふふ、上手い上手い、コハクは器用だな~」
「ほんと?もっと作るね!」
ハマってしまったようで真剣な顔で作るコハクの横には店を開けるくらいずらりと指輪が並んだ。
今しがた出来上がった最新作を色んな角度から確認している……ふふ、楽しそうでなによりだ。
「うーん、よし!できた!レイ~手貸して?」
「はいはーい」
「んーと、こっちじゃなくて左!」
右手を差し出したものの、左手をむきゅりと握られた。ゆっくりと薬指にはめられていく指輪……サイズもぴったりに綺麗にはまった指輪を見て、コハクは満足気に頷いた。
「ん!よし!」
「コハク、なんで左手が良かったんだ?」
「だって、左手の薬指の指輪は大切な人にあげるものなんでしょ?大切な人とずっと一緒にいられるんだって、アンナさんが言ってた!」
ずっと一緒か……間違ってないけど、本当の意味を知るのはもうちょっとだけ先になるかもしれないな。
可愛らしい誤解にほこほこと心が暖かくなると同時に少しだけじん……とする。
「ふふ、大事にするね、ありがとう!」
「うん!」
その後もはしゃぎ回って草だらけになったコハクに笑いが止まらなくなったり、大興奮で持ってきたでっかい虫と必死にディスタンスを取ったりしていたらあっという間に帰る時間だ。
このピクニックもコハクの幸せな記憶になりますように……手を繋ぎ帰る夕暮れの道でそっと願った。
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