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揺れる道

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「小晴、約束だからな」
「うん、約束」
『いつか大人になったら―』

そう約束した伊佐内小晴。

「また、この夢か」

ある研修の知らせが届いた次の日、ある装置を肩に乗せるように置いたリンクリング。
あの夢は3年に一度見ているくらい不思議と疑問に満ちていた。
3年も経過しない内に見たのは初めてである。
それもリンクリングによって引き起こされたのかもしれない。

【リンクリング】
身に着けている人物は全て高校生の姿に見せる事ができる。
これを外したとしても、24時間経過しないと元の姿には戻れない。
身に着けていない人からは、リンクリングを目視できないという優れたる技術。

集合場所に待ち合わせという事だったが、予定より30分早く着いてしまった。
しかし同じようにリンクリングを身に着けた人がちらほら居るのが見てわかる。
小晴は辺りを見渡すと、それに気づいたのかリンクリングを付けている人達が近寄ってくる。

「予定よりは早いけど、全員いますね」

声を掛けた人物は帳簿らしき物を取り出し、写真と人物を照らし合わせている。
その人はリンクリングを付けておらず、私服だ。

「あれ、一人足りませんね。集合時間までまだあるのでもう少し待ってみましょうか」

しかし、予定時刻の時間になっても足りないであろう人物は現れなかった。
参加する人の名前は明かしてはならない。
足りないながらも、予定通りに運びましょうという事で、通う学校へと案内される。

「ここが、君達が通う予定の高校です。現時点で一部の教師のみがリンクリングの存在を知っており、今君達以外のリンクリングを身に着けた生徒は居ませんのでご安心ください」

その他諸々の説明と案内を済ませ。取り敢えずは一旦解散。
後日、編入手続きなどを済ませる手筈である。
帰宅後、小晴は着替える事なくベッドで寝てしまうのだった。
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