好きになった女子が愛人にしかなる気がないと言っていたので、形だけの彼女を作って愛人として付き合ってもらった。

無自信

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第26話

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 10分ほどナツキを待っていると、女子バレー部より先に男子バレー部の部員が練習を終える挨拶をして体育館から出てきた。そのうちの数人が俺のことをにらんでいる気がしたが、俺が知っている男子バレー部の部員は同じクラスの八木だけなので、全く面識のない人からにらまれる筋合いはないから、たぶん気のせいだろうと思うことにした。

それから2,3分後に女子バレー部も練習を終える挨拶をして体育館から出てきた。体育館から出てくる女子バレー部員の中にも何故か俺をにらんでくる人や好奇の目を向けてくる人がいた。今度は確実ににらまれていたので、俺何かしたかな?と不安になってきた。

ナツキが体育館から出てきて、「着替えて来るからちょっと待ってて。」と俺に伝えて部室へ向かって行った。ナツキが見えなくなると、女子バレー部員の1人が俺の方へやってきて、「あなた本当にナツキ先輩の幼馴染なんですか?」と問い質してきた。

「はぁ?突然何だよ!」

よく見ると、さっきドアを閉めたナツキにミナと呼ばれていた女子だった。

「いいから答えてください!今まで1回も練習を見に来たことがないのに本当に幼馴染なんですか?」

ミナという女子は痛い所を突いてきた。確かに高校に入って1年以上経っているが、ナツキが練習しているところを見に来たことは1度もなかった。これではナツキの幼馴染と信用してもらうのは難しい……かな?いや、ちょっと待て!そもそもナツキ本人が俺を幼馴染だと認めているのだから、それで十分じゃないのか?わざわざこのミナという女子の信用を得る必要性はないよな?そう思うとなんかちょっと腹立ってきたな。

「幼馴染だよ!何か文句あるのか?」

俺は抗議の意味も込めて語気を強めに言い切った。すると、ミナという女子は、「そうですか。本当にただの幼馴染なんですね?それなら良かったです。」とすぐに納得してしまった。

もっと詰問されるかと思っていた俺は肩透かしを食らったような気分だった。

「なあ?俺が言うのもなんだけど、もっと俺に質問しなくていいのか?俺が『幼馴染だ。』って言っただけで納得していいのか?」

「いいんです。あなたがナツキ先輩のただの幼馴染だと分かればそれで。彼氏じゃないわけですから。いいですか!ナツキ先輩には春日先輩という相応しい相手がいるんですから、ちょっかいを出さないでくださいね!まあ、あなたじゃ到底ナツキ先輩とは釣り合わないでしょうけどね!」

「へぇー。春日先輩というのはそんなにいい男なのか?」

「そうです!カッコよくて勉強もできてバレーも上手なんですから!綺麗でスタイルも良くてバレーが上手なナツキ先輩とお似合いなんですから!」

「へぇー。そうなんだー。」

ナツキに対する女子バレー部の後輩からの評価は俺のナツキへの評価とはかなり違うらしいことに驚いた。

小さいころから一緒だから分かるが、あんながさつで女子っぽさがない(今の時代では女子っぽいとか男子っぽいとか言ってはいけないんだろうけど)性格の奴が、どうしてこうも好印象を持たれているのだろう?そういえば、綺麗でスタイルも良くてバレーが上手というのは外面のことで内面のことではないな。顔のことはよく分からないが、スポーツをやっているのでナツキのスタイルが良いことは認める。だけど、それ以外がダメ過ぎるから、俺は女子としてはあまり見てないから安心してくれ。とは口が裂けても言えそうになかった。身の危険を少し感じるからだ。

「セイ、お待たせー。ってミナ?何してるの?」

ナツキが着替えを終えて帰り支度をして俺のところまでやって来た。

「ナツキ先輩!本当にこの人、幼馴染なんですよね?」

ミナという女子は、「納得した。」と言ってた割にはしつこくナツキにナツキと俺が幼馴染か確認していた。

「そうだよ。本当に幼馴染だから安心して。」
と、ナツキも俺に対して結構ひどいことを言っていた。俺ってそんなに危なそうな奴に見えるのかな?

「分かりました。お疲れ様でした。ナツキ先輩。」

やっと納得したのか、ミナという女子は部室の方へ向かって行った。

「セイ、何か変なこと言われなかった?」

「全然。ただ俺とナツキが本当に幼馴染か聞かれただけだよ。」

俺はミナという女子があとで怒られても少しかわいそうなので、ナツキに余計なことは言わなかった。

「そっか。それじゃあ、帰ろうか?」

「そうだな。」

俺とナツキは帰宅の途に就いた。
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