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姪っ子

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今日は柴原さんに会うために午後休暇を取った。
思ったよりあっさり話が終わり、あっさり追い出されてしまった私は手持ち無沙汰になる。

すずのお迎えには時間が早いし、このムカムカした気持ちのまますずに会うのはよくないと思った。
ストレスを発散させるためカフェにでも入ってゆっくりしよう。

ゆったりとコーヒーを飲みながら椅子に深くもたれ掛かると、柔らかなクッションに体が沈んでいくようだった。

こんな時間は久しぶりだ。
一人は気楽でいい。
邪魔するものは何もない。
ただ自分のことだけ考えていればいい。

これが当たり前の生活だと思っていたのに、なぜこんなことになったのだろう。

姉は依然として行方不明。
父親である柴原さんは冷徹。
私の母は他界している。
父は健在だけど遠くに住んでいるし、何より確執がある。

頼れるものは自分自身のみ。

私はコーヒーを一気に飲み干すと、天井を仰いだ。
もう、覚悟を決めるしかないのだろうか。
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