癒やしの小児科医と秘密の契約

あさの紅茶

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12.宣戦布告

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「どう、慣れてきた?」

「まだまだですね。毎日が勉強というか」

「だよね、私も。でもさ、拓海くんが看護師になってて、本当にびっくりしたよ。なりたいって言ってたのに大学辞めちゃうから」

拓海くんとは学年が違うけれど、テニスサークルで先輩後輩入り乱れてよく将来の話をしていた。男子学生が少ないからか、拓海くんはみんなに可愛がられていたっけ。そんな拓海くんが突然大学を辞めると言って、天地がひっくり返るほど驚いたことをよく覚えている。

「実はあのとき両親が離婚して学費が払えなくなったんですよ。でも心和さんが看護師になりたいんじゃなかったの?って聞いてくれて」

「えっ、そんな事情があったのに、無神経なこと言っててごめん」

「いや、その言葉にハッとさせられたというか。看護師になりたくて勉強して大学入ったのに、これじゃバカみたいだと思ったんです。それで、辞めるんじゃなくて休学して、必死でバイトしてお金貯めてやり直したんですよね」

「すごい、頑張ったんだね」

「だから、ずっとお礼を言いたかったんです。まさかここで会えるとは思ってもみませんでしたけど。本当にあのとき、ありがとうございます」

拓海くんは箸を置いて、体ごとこちらを向いて丁寧に頭を下げるものだから、焦って私も手をパタパタと振る。

「私は何もしてないよ。拓海くんが頑張ったから今があるんだよ。すごいね、見直しちゃった。いろいろ大変だけど頑張ろうね」

「はい、これからもよろしくお願いします」

ふふっと笑い合う。本当に、こんな偶然があるだろうか。拓海くんの家の事情を知らなかったとはいえ、あのときの私は浅はかだった。失言だったかもしれないのに拓海くんの胸には響いていたなんて、申し訳なさも相まってちょっぴりむず痒い感じがする。

お弁当を食べながらしばらく大学の思い出話に花を咲かせていると、突然休憩室のカーテンがシャッと開く。ひょっこり顔を出したのは佐々木先生だ。

先生は私の隣にどっかり腰を下ろすと「二人でご飯?」と尋ねてくる。

「はい、今日は忙しくってようやくありつけてます」

「そう、大変だったね」

佐々木先生がじっとこちらを見るので、なんだろうかと首を傾げる。
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