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天使の国

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ここは天使の国。
天使の国は光で満ち溢れ、キラキラと輝きとても美しい。
様々な花が咲く花畑。
花畑の後方に立つ木々。

花々は、そよ風が吹く度にクスクス笑ったり、おしゃべりを楽しんでいる。

「ねぇねぇ、風さん。」
「やあ!赤い花さん、何だい?」
「もう少し優しく吹いてくれないかしら?風が強くて花びらが落ちそうよ。私の花びらは繊細だから落ちやすいの。」

赤い花は、葉で花びらを押さえながら不満そうに言った。

「それは悪い事をしたね。あまりにも嬉しくて浮かれてしまったよ。」
「何かいい事でもあったの?」

赤い花は、花冠をかしげて聞いた。

「いよいよ、あの子が生まれるらしい。」

そよ風は、喜びを抑える事ができずソワソワしている。
ウズウズしたそよ風が、嬉しさから花畑を駆け抜けると、美しく咲き乱れる花々をサワサワと揺らした。

「もう!だから、もっと優しく吹いてってば!」

赤い花は、花びらが落ちないように慌てて葉で押さえた。

「ごめん。ごめん。この喜びをどうしても抑える事ができなくてね。」

そんな、そよ風と赤い花のやり取りをニコニコしながら見ていた木々が、何かを感じスッと笑顔を消し枝葉を揺すりながら囁き始めた。

「いよいよ…いよいよだ。」
「あの子が生まれる…」
「その時が来た…その時が来た。」
「嬉しい…嬉しい…」

木々の囁きは、波のように広がりながら大きなざわめきとなり、花畑を包んでいく。
赤い花も興奮を抑えられず、花びらを更に赤くさせながらそよ風に言った。

「いよいよなのね?」
「そう…いよいよだ。さっき、誕生の部屋の天使達が話していたから間違いない。」

おしゃべりを楽しんでいた他の花々も、ピタッと話しをやめ、そよ風と赤い花の会話を真剣に聞いていた。

そよ風や花々、木々は小高い丘に立つ白く輝く美しい神殿をジッと見つめるのだった。



花畑を抜けると広場に出る。
広場の中央には大きな噴水があり、外れには子供の天使達が10人手を繋ぎ、やっと1周する太い幹の巨木がある。
その巨木の枝から長い長いブランコが幹を挟んで左右1つずつ下がっている。
この花畑や広場は、子供の天使達の遊び場となっており、沢山の子供の天使達の笑い声で溢れている。
追いかけっこや隠れんぼをしたり、噴水の水を掛け合ってはしゃぐ天使。
ブランコをどこまで高くこげるか競い合う天使。
そんな子供達を大人の天使達がニコニコと温かく見守っている。

広場から小道が続き、道の両側には果樹が立ち並んでいる。
この道は、小高い丘に立つ美しい神殿まで続いているのだった。

そして、この神殿の誕生の部屋で、男の子が生まれようとしていた。

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