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天使長候補
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私達3人はアシエルを尋ねた。
アシエルの部屋の扉には、6枚の翼と剣が描かれている。
扉には、その天使の特徴が描かれている。
アシエルは剣の達人であり6枚の翼を持つ。
天使にとって翼の枚数は、能力の高さを表し私やブランカ、ラフィは4枚の翼を持っている。
ブランカがノックすると、アシエルが扉を開け中に入るよう促した。
部屋に入ると、思いも寄らない天使が私達を待っていた。
「ザキフェル様!」
私達3人は同時に驚きの声を上げた。
なぜなら、天使長のザキフェル様が目の前に立っていたからだ。
私達は慌てて深く一礼した。
「驚かせたようで悪かった。君達に話があってアシエルの部屋で待たせてもらっていた。さぁ…顔を上げなさい」
私達3人は、ゆっくりと顔を上げた。
天使長ザキフェル様は、天使の国を治め守っている。
普段は、あまり私達天使の前に姿を現す事はない。
そのザキフェル様が目の前に立っているのだ。
気高く気品があり、知識が豊富で解決できない事はない…と言われる天使である。
(ザキフェル様が私達3人に話し…?)
私は全く検討もつかなかった。
「実は…私は、ゆくゆく天使長の座を降りるつもりでいる」
ザキフェル様の言葉に、私は自分の耳を疑った。
(聞き間違いであろうか…)
ふとブランカとラフィに目を向ける。
2人とも、目を見開き驚いているようだ。
どうやら聞き間違いではないらしい。
「そこでだ…私の後継者を、君達3人から決めたいと考えている」
ザキフェル様は、再び予想だにしない事を言い出した。
「は?今…何と仰いましたか?」
ラフィが信じられないという表情で、頭を振りながら問い掛けた。
「君達3人が次の天使長候補だ」
ザキフェル様は、もう一度ハッキリと言葉にした。
「次期天使長はアシエルではないのですか?」
私の質問にザキフェル様が眉根を寄せる。
「アシエルが天使長…?そのような話しは、どこから聞いた?」
アシエルは天使長候補ではないのか…
私達は顔を見合わせた。
「アシエルが、次期天使長候補だと噂が流れています」
ラフィが質問に答える。
「なるほど…噂が一人歩きしたのか…アシエルは天使長候補ではない。本人もその気はない。私は以前から、君達の誰が一番天使長に相応しいか考えていた。しかし…それを決定するには、君達の人となりを知る必要があると判断した。そこで、課題を出す事にした」
「課題ですか…?」
思わず問い返した私に、ザキフェル様は頷くと更に言葉を続けた。
「私は以前からこの天使の国に、子供達が学ぶ環境を整えたいと考えていた。現在は1人の大人が数人の子供達を教育している。しかし…これでは、子供達の学びに統一性がない。大人の中には、教育が苦手な者もいる。子供達の知識の習得に公平感がない事を、常々どうにかしたいと思っていた」
私達はザキフェル様の話しを黙って聞いていた。
いまだに話しの意図が見えない。
「そこでだ。君達に、子供達が公平に学べる場所を作ってもらいたい。どこに作るか、どのようなカリキュラムにするのか…それらも全て君達に任せる。なおかつ、子供達をそこで学ばせ成果を見せてもらう。私を納得させるような素晴らしい学びの場を作り、子供達にとって素晴らしい学びとなる事を期待している」
「え!ちょっと待って下さい…全て僕達が考え作り上げ、子供達に教えるのですか?」
ラフィが珍しく動揺している。
「そうだ。全て君達だけで成し遂げるのだ」
「あの…ザキフェル様に相談しても良いでしょうか?私達だけでは心許ないと言いますか…」
ブランカも突然の事でしどろもどろだ。
「いや、私はこの件については一切関わらないと決めている。全てを君達に委ねる。どのような学びの場を作り上げ、子供達にどのような学びを習得させていくのか楽しみにしている。私からは以上だ」
ザキフェル様は、優雅にニッコリと笑い、私達を見つめるのだった。
アシエルの部屋の扉には、6枚の翼と剣が描かれている。
扉には、その天使の特徴が描かれている。
アシエルは剣の達人であり6枚の翼を持つ。
天使にとって翼の枚数は、能力の高さを表し私やブランカ、ラフィは4枚の翼を持っている。
ブランカがノックすると、アシエルが扉を開け中に入るよう促した。
部屋に入ると、思いも寄らない天使が私達を待っていた。
「ザキフェル様!」
私達3人は同時に驚きの声を上げた。
なぜなら、天使長のザキフェル様が目の前に立っていたからだ。
私達は慌てて深く一礼した。
「驚かせたようで悪かった。君達に話があってアシエルの部屋で待たせてもらっていた。さぁ…顔を上げなさい」
私達3人は、ゆっくりと顔を上げた。
天使長ザキフェル様は、天使の国を治め守っている。
普段は、あまり私達天使の前に姿を現す事はない。
そのザキフェル様が目の前に立っているのだ。
気高く気品があり、知識が豊富で解決できない事はない…と言われる天使である。
(ザキフェル様が私達3人に話し…?)
私は全く検討もつかなかった。
「実は…私は、ゆくゆく天使長の座を降りるつもりでいる」
ザキフェル様の言葉に、私は自分の耳を疑った。
(聞き間違いであろうか…)
ふとブランカとラフィに目を向ける。
2人とも、目を見開き驚いているようだ。
どうやら聞き間違いではないらしい。
「そこでだ…私の後継者を、君達3人から決めたいと考えている」
ザキフェル様は、再び予想だにしない事を言い出した。
「は?今…何と仰いましたか?」
ラフィが信じられないという表情で、頭を振りながら問い掛けた。
「君達3人が次の天使長候補だ」
ザキフェル様は、もう一度ハッキリと言葉にした。
「次期天使長はアシエルではないのですか?」
私の質問にザキフェル様が眉根を寄せる。
「アシエルが天使長…?そのような話しは、どこから聞いた?」
アシエルは天使長候補ではないのか…
私達は顔を見合わせた。
「アシエルが、次期天使長候補だと噂が流れています」
ラフィが質問に答える。
「なるほど…噂が一人歩きしたのか…アシエルは天使長候補ではない。本人もその気はない。私は以前から、君達の誰が一番天使長に相応しいか考えていた。しかし…それを決定するには、君達の人となりを知る必要があると判断した。そこで、課題を出す事にした」
「課題ですか…?」
思わず問い返した私に、ザキフェル様は頷くと更に言葉を続けた。
「私は以前からこの天使の国に、子供達が学ぶ環境を整えたいと考えていた。現在は1人の大人が数人の子供達を教育している。しかし…これでは、子供達の学びに統一性がない。大人の中には、教育が苦手な者もいる。子供達の知識の習得に公平感がない事を、常々どうにかしたいと思っていた」
私達はザキフェル様の話しを黙って聞いていた。
いまだに話しの意図が見えない。
「そこでだ。君達に、子供達が公平に学べる場所を作ってもらいたい。どこに作るか、どのようなカリキュラムにするのか…それらも全て君達に任せる。なおかつ、子供達をそこで学ばせ成果を見せてもらう。私を納得させるような素晴らしい学びの場を作り、子供達にとって素晴らしい学びとなる事を期待している」
「え!ちょっと待って下さい…全て僕達が考え作り上げ、子供達に教えるのですか?」
ラフィが珍しく動揺している。
「そうだ。全て君達だけで成し遂げるのだ」
「あの…ザキフェル様に相談しても良いでしょうか?私達だけでは心許ないと言いますか…」
ブランカも突然の事でしどろもどろだ。
「いや、私はこの件については一切関わらないと決めている。全てを君達に委ねる。どのような学びの場を作り上げ、子供達にどのような学びを習得させていくのか楽しみにしている。私からは以上だ」
ザキフェル様は、優雅にニッコリと笑い、私達を見つめるのだった。
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