幸せの翼

悠月かな(ゆづきかな)

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ミーティングと賑やかな花畑

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翌朝、私はラフィの部屋を訪れた。
扉の前に立ち、ノックをしようと拳を上げた瞬間、ふと視線を感じ振り向いた。
しかし誰もいない。
私は首を傾げながら、そのままノックした。

「ラフィ、私だ」
「その声はサビィだね。入っていいよ」

ラフィの軽快な声を耳にすると、私は部屋に入った。
ブランカは既に来ていて、2人は談笑している。

「サビィ、おはよう」
「ブランカ、おはよう」
「サビィ、適当に掛けてよ」

ラフィの言葉に私は頷き、ソファに目を向けた。
2人は向かい合わせに座っている。
一瞬、どこに座るか考える。
ブランカを瞳に映したい…私はラフィの隣に座る事にした。

「さて…早速だけど、子供達の生活の場所はどうしようか?」

ラフィが切り出すと、ブランカが身を乗り出し目を輝かせ言った。

「私、考えたんだけど…ツリーハウスを作るのはどうかしら?」
「ツリーハウス?」

私とラフィは、ブランカの言葉に首を傾げた。

「そう!木の上に小屋を作るのよ。日常生活はその小屋で過ごすの。素敵だし楽しそうじゃない?」
「なるほど…それは面白そうだね。子供達は喜ぶんじゃないかな」

ラフィは笑顔で頷き答えた。

「それは面白い。それなら、最初の学びとして子供達に自分達が住む小屋や、部屋を作らせてみてはどうだろう?」

私が提案すると、ブランカは嬉しそうに顔を輝かせた。

「素敵!きっと子供達も楽しみながら作るわ。楽しく学べて一石二鳥ね」
「うん。サビィ、良いアイディアだね。生活の場所はそれで決定だね。あと、子供達の食事はどうする?」

ラフィの言葉に私達は考えた。 
子供達全員が食事をとる場所となれば、かなりの広さが必要になる。

「別な場所に食堂を作るのはどうかしら?例えば神殿の中とか…」

ブランカの提案に私は頷いた。
するとラフィが腕を組み、思案顔で言った。

「調理係も必要だよね…そうだ!確か、料理が得意の天使がいたよね?」

その言葉に私は考えを巡らせた。
すると、1人の天使の姿が頭に浮かんだ。
赤い頬が特徴の天使だ。

「ファンク…だな?」
「そう!ファンクだ。彼に調理係を頼んでみるのはどうだろう?」
「そうね。ラフィ。彼なら引き受けてくれそうだわ!」

ファンクは、料理が得意で修行を終えたばかりの天使だ。
修行を終えた者は、どのような仕事に従事したいか考え、希望をザキフェル様に伝える事になっている。
その後、ザキフェル様やアシエルで検討し、仕事先が決定される。
本人の希望が優先される為、ほぼ希望の仕事に従事する事になる。
ファンクは、料理に関係する仕事を希望してたはずだ。

「では、調理係はファンクに頼むとして…次は学びのカリキュラムについてだ」

私は、ラフィとブランカを交互に見ながら言った。

「うん…これは色々と考えないといけないね。僕はカリキュラムについて調べてみようと思う」
「そうね…私も考えてみるわ」

ラフィとブランカは頷きながら答えた。

「それでは、カリキュラムについてそれぞれ考え、次回話し合う事にしよう」

私が提案すると、ブランカがハッとした表情をした。

「あ!それから、次回はツリーハウスを作る場所を決めましょう。」
「そうだね。次回は場所も決めよう」
「私も候補地を考えてみる」

どうやら課題は山程あるようだ。

「やっぱり、なかなか大変な作業になりそうだね…」

ラフィの呟きに私とブランカは頷いた。

「これは、早速考え始めなければ…」

私の呟きに2人は頷き、私とブランカはラフィの部屋をあとにしたのだった。




ラフィの部屋を出た私は花畑に来ていた。
ツリーハウスの候補地に、この花畑の後方が最適かもしれないと思い付いたからだ。

「あら?サビィじゃない?珍しいわね。」

足元の花が私を見て話しかけてきた。

「本当だ。サビィだ。」
「珍しい。」
「どうしたの?」

ここの花達はお喋り好きで、誰かが言葉を発すると他の花達も一斉に話し出す。

「どうしたの?」
「何があったの?」
「教えて?」

花達が一斉にざわめき始めた。

ーーザワザワザワザワーー

もはや、何を話しているか分からない。

「皆で一斉に話したら何を言っているのか理解できない。誰か代表で話してくれないか?」

私の言葉に花達はピタッと黙り静寂が戻る。

「サビィ。私が代表して聞くわね。どうして花畑に来たの?」

ピンク色の花が、私を見上げ尋ねた。
私は花達を傷付けないように気を付けながら、ソッとしゃがんだ。

「実は、子供達の生活の場所を作ろうと考えている。」
「生活の場所?」
「ああ、そうだ。沢山の木を植えてツリーハウスを作ろうと考えている。この花畑の後方はどうかと思い見に来たのだ。」
「まぁ!子供達がここに来るの?素敵!ツリーハウスも何だか楽しそうね!ねぇ、みんなそう思わない?」

ピンク色の花の言葉を聞いた花達が、再び一斉に話しだした。

「素敵!」
「子供達が来る!」
「嬉しい!」

ーー嬉しい…す…て…き……たの…し…み…ーー

ーーザワザワザワザワーー

まただ…私は、苦笑すると花畑を見渡した。

「まだ、検討中だ。ラフィやブランカの意見も聞かないといけない。」

私は、花達に聞こえるように声を張り上げた。

花達はピタッと黙り、私を見つめている。

「これから場所については話し合う。花畑に決まった時は、知らせるから待っていてくれ。」


ーー分かった…分かった…たの…し…み…ーー

ーーザワザワザワザワーー

花達の言葉を背に受けながら、私は花畑を後にした。
 



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