あいにいくよ

よこいみさと

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あいにいくよ

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ぼくはきみのともだち。
どんなことがあっても、
ずっときみのともだち。

だけど、ぼくたちの おわかれのひはちかいみたいだ。
ありがとう。だいじに、だいじにしてくれて。

おでかけするときには、いつもぼくをつれていってくれたね。
ごはんをたべるときも、よるねむるときも、ぼくたちはいつもいっしょだったね。

ふしぎだね。きみといっしょにいると、ぼくはあったかくなる。
からだのそとがわもだけど、ハートがね。

でも、ぼくはそろそろ だめになっちゃうみたいだ。

じまんのけがわは、くたくたになってるし。
からだのあちこちにわたがでてきちゃった。
このあいだ、ボタンもなくしちゃったんだ。

おもちゃやさんで きみにみつけてもらったころよりも、ぼくは ずいぶんよごれてしまった。
もう きみのそばにはいられない。
だから、さよなら。


「ほら、ばいばいして」

おわかれのひ。おかあさんがぼくをいれるはこをもってきた。
きみはいやがって、ぼくをぎゅうっとだきしめた。
ごめんね。ぼくはもういっしょにいられないんだ。

「ばいばいしたくないな」

そんなにしょんぼりしないで。ぼくもさみしくなっちゃうよ。

ふしぎだね。きみといっしょにいると、ぼくもなみだがでちゃう。
ほんとにでるわけじゃないけど、きみのなみだでね。

しってる? おわかれのあとには、またあたらしいであいがあるんだ。
きみにはきっと いいおともだちができるよ。
だから、さよなら。

でも なんでかな。おかあさんが ぼくをはこにつめるとき、きになることをいったんだ。
「じゃあ、またね」って。


まっくらなせかい。
ガタガタゆられて、はこのなか。

ぼくをはこからだしてくれたのは、
やさしいて。

「またね」の りゆうがわかったよ。
やさしいてのひとたちが、ぼくをなおしてくれるんだって。
ぼくは、きみのもとへかえれるんだって。

ふわふわのあわであらわれて、
あたらしいわたもつめてもらった。
みて。むねのボタンもついたんだ。

ぼくのけがわは あたらしくなった。
きみのしってるぼくじゃない。
でも ひとつだけ。かわらないものがあるんだ。

やさしいてとおわかれして、ぼくは またはこにつめられた。
だけど、もうこころぼそくないよ。

だって、おくりさきはきみのおうち。
こんどは ぼくからあいにいくんだ。

きみはびっくりするだろうな。
ちがうこみたいだっていうかも。でもね。

ハートはかわらないよ。
ぼくはきみのともだち。
ずっときみのともだち。
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