2次恋男子は鈍感純粋なようです

プロローグ

　とある高校に、ある日突然転校生が現れた。
　樫原乃々華。
　誰もが認める完璧なスタイル、無論男子がこんな好物件に名乗り出ないはずもなく、
「乃々華さん、僕と付き合ってください！」
「樫原、俺の彼女になってくれ！」
　そう口説いてくる男子は数知れず。しかし彼女は誰とも付き合わなかった。そして誰かとのスキャンダル、という話でさえも一度も出てきたことがない徹底ぶりだ。
　彼女は成績も申し分はなかった。全て満点、とはいかなくとも上位10位以内の中に入らないことはほとんどないと言っても過言ではない完璧な学力だった。
　そしてその姿を見た男子は、徐々に告白をしないようになった。
　気づいていくのだ。自分にはこの女性は合わないと。そして徐々に乃々華は［凍結の毒女］とも呼ばれるようになっていった。
　それでも乃々華のカリスマ性というか何というか、彼女についていくものは多かった。そしてもはやクラスメイト全員が彼女の配下として従順に働いていた。
　しかも相手が損しない利害関係あってだからこそ、つく人いれど離れる人はいない。そんな人物だった。
　そしてそんな乃々華にとって充実した日は、2年生になるまで続いた。
　2年生になってからは新しい男が告白をしてくる。勿論、全て断るのだが。
　この頃彼女は尋常じゃない傲慢さを誇っており、男子から告白されるのは当たり前と感じていた。しかし。
　とある男だけはやってこなかった。
　無論乃々華はそれに気が食わなかった。だからアプローチを仕掛けることにした——。