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(6)それぞれの想い
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「お待たせです~。」
車のウインドウを下げて挨拶してくれたのは、なんと女の人
洋食屋さんに行ったあの日は、この人居なかった気がする
「初めまして、小井川歩夢と言います。
今日は宜しくお願いします。」
「いえいえ、こちらこそお願いします。
私は足立菜々(あだちなな)です。
早く昼組に合流して、楽しもうね。」
ニコニコしてて感じが良い人
それにお団子頭にピンクのマウンテンパーカーが可愛い
礼央さんと車に乗り込むと、
(僕は後ろの席)
「ラジオと音楽どちらにします?」
聞かれて礼央さんがすかさず、
「選ばせてもらえるなら、UKロックでもいい?」
「もちろんですよ。
礼央さんと言ったらイギリスですもんね 笑。
私、礼央さんの影響でこのへん興味持っちゃって。
ここ一年でアルバムたくさん買っちゃた♩」
そう言うと昔懐かしのCDケースにUKロックがズラリ
「今若い人ってなかなかCDで聞かないみたいだけど、俺はやっぱりディスクで持っていたい派だから、足立さんのこういうコレクション見ると嬉しくなっちゃうな。」
礼央さんと足立さんの会話が弾む
「歩夢、この中から選んでいいよ。
どれかけたい?」
と聞かれるも、こういうのに疎い自分は何が何だか
ジャケットで選ぶか…
「正直全然分からないんですけど、じゃあこれかな。」
なんとなく夜のドライブに合いそうな表紙
「あ、良いチョイス。
これかけよう。」
「ほんと、良いですね。
私も横目でそれ選んで~って念じてた 笑。
小井川君、ナイス!」
運転しながら後ろの席に向かって親指を立ててくれた足立さん
選んだ音楽は良い感じで、楽しいドライブに
「あの、足立さんと礼央さんってどういう知り合いなんですか?
足立さんはレストランの方…?」
「あ、えっとね、私あのレストランの中にいるの。
料理人だから。」
「作ってるほうの人だったんですか。
だからこの前行った時に足立さん見た記憶がなかったんだ。
でも女の人であんな本格的な店でご飯作ってるって、すごいですよね。」
「えーそんなことないよ。
今は女性の料理人も増えてるし、特にあの店はプロ意識高い人ばっかりだから、仕事をきっちりこなしていれば差別されることもないし。
ただどんな職業でもそうだけど、真面目に真剣に日々勉強
が必須だけどね。
私ももう30だから、甘えや言い訳もできないゾーンに入ってきてるから。」
「うわー…。
足立さんに礼央さんに、僕より少し歳上ってだけなのに、こんなにしっかりと生きてるの立派すぎます。
僕はなんとなくサラリーマンで、なんとなく頑張る。
みたいな。」
すると礼央さんが口を挟む
「でもさ、そのなんとなく入った会社でも、ちゃんと毎日出勤して、真面目に仕事してる訳でしょ?
それだって十分立派だよ。
それに歩夢、俺にぶつかったあの日、ゴミ拾いがどうの…
とか言ってなかった?
しかも休日にも関わらず、プライベートで。」
「休日にゴミ拾いしてるの?!
公共の場を?!
それこそなかなか出来ないことだよ。」
と菜々さん
「いやあれは、そんな大袈裟なものでなく、趣味というか遊びが目的というか…。」
2人の前だと自分のこの話は小さすぎて恥ずかしい 泣
「それより、礼央さんと足立さんの関係は?」
「あ、ごめんごめん。
私達は普通に料理人とお客さんだよ。
ただ彼は常連でオーナーと仲が良いから、あの店の従業員ともよく話すっていう。
で2、3回、何人かで飲みにも行きましたよね?」
礼央さんも
「そうそう。
なんか通っているうちにみんなと話すようになっちゃって。
俺みたいな個人事業だと、普通の会社と違ってなかなか友達もできにくいし。
助かってます 笑。」
ふざけながらペコリと頭を下げる礼央さん
「でもねー、聞いてよ小井川君。」
「なんですか?」
「この人さぁ、もう知り合って数年、しかも結構色々な話もしてきてるのに、今だに私のこと名前で呼んでくれないんだよ?
職場ではみんな、菜々って言うのに。
彼だけはいっこうに足立さんって。
それがなんか悲しいなーって。
小井川君、これどう思う?」
「え、えーと…。
彼女でもないし、礼央さんにとっては職場の同僚ってわけでもないし、苗字で呼ぶのが礼儀というか普通じゃないんですかね?」
「そうだよな、歩夢!
俺からしたらまさにそれなんだけど。」
「えー私は納得いかないな。
本人が望んでるのに。
そして小井川くんの、彼女でもないのにってちょっとグサッときた 笑
今は違うかもだけど、そうなりたいって私は思ってるかもしれないじゃん?
ね、礼央さん。
これにはどう答える?」
「…あーもうバカなこと言ってないで前見て!
変な空気は誰も得しないからやめよ。
CDの音量上げるよー。」
あ…
足立さんて礼央さんの事本気で好きなのかな
さっきも礼央さんの影響でUKロック集めたとか言ってたし…
礼央さんはうまくかわしてたけど、僕がいたからこういう反応したのかな
本当はどう感じてるんだろう…
なんか
胸がキュッとする
昨夜さっちゃんに電話で指摘されたとおり、僕は礼央さんに恋してるんだろうか
車のウインドウを下げて挨拶してくれたのは、なんと女の人
洋食屋さんに行ったあの日は、この人居なかった気がする
「初めまして、小井川歩夢と言います。
今日は宜しくお願いします。」
「いえいえ、こちらこそお願いします。
私は足立菜々(あだちなな)です。
早く昼組に合流して、楽しもうね。」
ニコニコしてて感じが良い人
それにお団子頭にピンクのマウンテンパーカーが可愛い
礼央さんと車に乗り込むと、
(僕は後ろの席)
「ラジオと音楽どちらにします?」
聞かれて礼央さんがすかさず、
「選ばせてもらえるなら、UKロックでもいい?」
「もちろんですよ。
礼央さんと言ったらイギリスですもんね 笑。
私、礼央さんの影響でこのへん興味持っちゃって。
ここ一年でアルバムたくさん買っちゃた♩」
そう言うと昔懐かしのCDケースにUKロックがズラリ
「今若い人ってなかなかCDで聞かないみたいだけど、俺はやっぱりディスクで持っていたい派だから、足立さんのこういうコレクション見ると嬉しくなっちゃうな。」
礼央さんと足立さんの会話が弾む
「歩夢、この中から選んでいいよ。
どれかけたい?」
と聞かれるも、こういうのに疎い自分は何が何だか
ジャケットで選ぶか…
「正直全然分からないんですけど、じゃあこれかな。」
なんとなく夜のドライブに合いそうな表紙
「あ、良いチョイス。
これかけよう。」
「ほんと、良いですね。
私も横目でそれ選んで~って念じてた 笑。
小井川君、ナイス!」
運転しながら後ろの席に向かって親指を立ててくれた足立さん
選んだ音楽は良い感じで、楽しいドライブに
「あの、足立さんと礼央さんってどういう知り合いなんですか?
足立さんはレストランの方…?」
「あ、えっとね、私あのレストランの中にいるの。
料理人だから。」
「作ってるほうの人だったんですか。
だからこの前行った時に足立さん見た記憶がなかったんだ。
でも女の人であんな本格的な店でご飯作ってるって、すごいですよね。」
「えーそんなことないよ。
今は女性の料理人も増えてるし、特にあの店はプロ意識高い人ばっかりだから、仕事をきっちりこなしていれば差別されることもないし。
ただどんな職業でもそうだけど、真面目に真剣に日々勉強
が必須だけどね。
私ももう30だから、甘えや言い訳もできないゾーンに入ってきてるから。」
「うわー…。
足立さんに礼央さんに、僕より少し歳上ってだけなのに、こんなにしっかりと生きてるの立派すぎます。
僕はなんとなくサラリーマンで、なんとなく頑張る。
みたいな。」
すると礼央さんが口を挟む
「でもさ、そのなんとなく入った会社でも、ちゃんと毎日出勤して、真面目に仕事してる訳でしょ?
それだって十分立派だよ。
それに歩夢、俺にぶつかったあの日、ゴミ拾いがどうの…
とか言ってなかった?
しかも休日にも関わらず、プライベートで。」
「休日にゴミ拾いしてるの?!
公共の場を?!
それこそなかなか出来ないことだよ。」
と菜々さん
「いやあれは、そんな大袈裟なものでなく、趣味というか遊びが目的というか…。」
2人の前だと自分のこの話は小さすぎて恥ずかしい 泣
「それより、礼央さんと足立さんの関係は?」
「あ、ごめんごめん。
私達は普通に料理人とお客さんだよ。
ただ彼は常連でオーナーと仲が良いから、あの店の従業員ともよく話すっていう。
で2、3回、何人かで飲みにも行きましたよね?」
礼央さんも
「そうそう。
なんか通っているうちにみんなと話すようになっちゃって。
俺みたいな個人事業だと、普通の会社と違ってなかなか友達もできにくいし。
助かってます 笑。」
ふざけながらペコリと頭を下げる礼央さん
「でもねー、聞いてよ小井川君。」
「なんですか?」
「この人さぁ、もう知り合って数年、しかも結構色々な話もしてきてるのに、今だに私のこと名前で呼んでくれないんだよ?
職場ではみんな、菜々って言うのに。
彼だけはいっこうに足立さんって。
それがなんか悲しいなーって。
小井川君、これどう思う?」
「え、えーと…。
彼女でもないし、礼央さんにとっては職場の同僚ってわけでもないし、苗字で呼ぶのが礼儀というか普通じゃないんですかね?」
「そうだよな、歩夢!
俺からしたらまさにそれなんだけど。」
「えー私は納得いかないな。
本人が望んでるのに。
そして小井川くんの、彼女でもないのにってちょっとグサッときた 笑
今は違うかもだけど、そうなりたいって私は思ってるかもしれないじゃん?
ね、礼央さん。
これにはどう答える?」
「…あーもうバカなこと言ってないで前見て!
変な空気は誰も得しないからやめよ。
CDの音量上げるよー。」
あ…
足立さんて礼央さんの事本気で好きなのかな
さっきも礼央さんの影響でUKロック集めたとか言ってたし…
礼央さんはうまくかわしてたけど、僕がいたからこういう反応したのかな
本当はどう感じてるんだろう…
なんか
胸がキュッとする
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