『銃で旅する異世界物語』

完龍卞

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死、それからの転生

『銃で旅する異世界物語』

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 拝啓
お父様、お母様。現在僕は異世界にて新たな人生を歩んでいます。
 
『銃で旅する異世界物語』
 
どうも、この度は閻魔様の手違いにより、異世界にて新たな人生を歩むことになりました、平山大翔(17)。高校二年生という青春真っ只中な人生を過ごしていた僕に閻魔帳の手違いにより、トラックに轢かれ死んでしまったのです。
 
「てか、僕……今どこにいるの?」
 
トラックに轢かれ、閻魔様のところへと行った僕は今回の事故は手違いによって起きたことだと知りました。
 
『すまんが、天界に言って神様に話してくれんか?ワシが行くと絶対説教喰らうからな』
 
閻魔様にそう言われた僕はそのあと天界へと向かい、始めて『神様』という人に出会いました。
 
『やあ、大翔くん』
 
『貴方が……神様……ですか?』
 
『そうだよ、ワシが神様じゃ』
 
『いや、どうみてもそこら辺にいるおじいさんみたいんなんですけど……』
 
まあ、この神様を見たら誰もが僕と同じ考えをするだろう。髪色は白くオールバックで、服装は茶色の甚兵衛というのだ。だって僕の家の近くにもこんな人は普通に近くに住んでいたもん。
 
『まあよい。さて本題に入ろう』
 
『本題?』
 
僕は首を傾げた。
 
『ああ。実はな、お主が死んだのは間違いなんじゃ』
 
『間違い……何ですか?』
 
『そうじゃ。閻魔の奴が間違えて“平内”を“平山”と書いてしまってな?』
 
『“大翔”とは書かなかったんですか?』
 
『いや、そやつも同じ名前じゃ』
 
なんという奇跡。喜んではいけないが、同じ名前の人が居たのは僕は嬉しかった。
 
『そこでじゃ。お主に新しい人生を与えようと思ってのう、どうじゃ?』
 
『どうじゃ?と言われましてもね……』
 
『なあ~に、安心せい。ちゃんとした幸せな人生を過ごさしてやるからな』
 
確かに新しい人生を過ごす……ていうのは嬉しい。
 
『わかりました。で、どうやったら新しい人生とやらが出来るんですか?』
 
『待て待て待て』
 
『ん?どうしました?』
 
『もう一つ……いや二つ?お主にプレゼントじゃよ』
 
『プレゼント?』
 
『そっちの世界はな……お主が居たような世界じゃないんじゃよ。つまり、お主が居た世界の言葉で表すと異世界って言った方がよいかのう』
 
『異世界?それってつまり、魔物や魔法、そして魔王がいる世界ってことですか?』
 
『そこでじゃ。お主が向こうで新たな人生を歩むにあたって欲しいものを言え』
 
『欲しいもの?』
 
欲しいもの……。これまでの人生、僕は何不自由に過ごしたことはなかった。いや、なかったとは言えないが……欲しいものがあればお金を貯めてかったり。友達とは仲良く遊べたり。親とも仲が良かったりと、何不自由なかった。そんな人生を送ってきた僕に何が欲しいかと聞かれても頭を抱えることしか出来なかった。
 
『そうですね……』
 
食料……は当然か。お金……もな。後は……
 
『食料とお金。それと向こうで襲われた時の武器……ですかね?』
 
『始めの二つは当然持たす。武器……に関してはそっちの世界の物でよいぞ。こっちでそれを異世界でも使えるようにするからな』
 
武器……。実は僕はクラスの中でも一番銃が好きという銃ヲタクであるのだ。お金を貯めればすぐにモデルガンなども買うし、サバゲーの装備なども全部揃えている。何でもいいなら僕は……。
 
『銃……ですかね?』
 
『銃?……わかった。銃に関しては、※ハンドガンと※スナイパーライフル、※アサルトライフル、※サブマシンガンの四つを装備として用意しておこう。後、サービスで暗視スコープも付けておこう』
 
※次からは銃のことをハンドガン=HG、スナイパーライフル=SPL、アサルトライフル=AL、サブマシンガン=SMと表します。
 
『暗視スコープもですか!』
 
『そうじゃ。向こうの世界に起きたら、お主の隣に置いといてやろう』
 
と、こんな感じで僕は異世界で新たな人生を歩むことになったけど……今立っているところが何処なのか全くわからないんというね……。
 
「どうしよう。てか、近くにあったこの袋って……」
 
僕が起きたとき、隣に置いてあったのがこの袋である。なんだろうと思ったが神様の話を思い出して、持っていくことを決めた。
 
「お金と食料は……無いしな」
 
てか、神様置いとくって言ったよな!
心の中で僕は神様に対してイライラしていた。しかし周りは誰もいなく、あるのは広く広がっている草原に後ろには森。今僕が何処に居るのかもわからなかった。
 
「てか、これからどうしよう……ん?」
 
途方に暮れていたとき、何処からか電話のような音が聞こえてきた。何が何なのかわからなかった僕は周りを見渡していたが音がしていたのは腰に付けていた袋だ。僕は恐る恐る袋の中に手を入れた。中をがさごそと触っているとブルブルと振動する何かが手に触れた。
 
「何だろうこれ?」
 
それをゆっくりと中から取り出すと手にはスマートフォンを持っていた。
 
「何でスマホが?」
 
僕はとりあえず振動するスマートフォンの画面を見た。そこには神様と表示されていたのだ。
神様?てか、何で僕のスマホが袋の中に?
 
「はい、もしもし」
 
『おお、繋がった繋がった』
 
「あのう、無事にここに着きましたが食料やお金は何処にあるんですか?」
 
『そう起こるな。お主今袋持ってるじゃろ?道具袋、または食料袋と頭の中で考えて少し袋を叩いてみろ。すると目の前にゲームみたいなゲージ?なんかが現れるからな』
 
僕は疑問を頭に抱えながら恐る恐る袋を叩いてみた。すると目の前に文字通りゲームステータスのようなものが現れたのだ。急なことに驚いたがRPGをよく親とやっていたお陰ですぐにどうやって操作するのかはすぐに頭が追い付いた。
 
「えーと……お金は五十万G!?」
 
『特別ボーナスじゃ』
 
「食べ物は……玉ねぎ、人参、じゃがいも、豚肉、カレーのルーってなにこれ?」
 
『カレーじゃ』
 
「はあ……作る道具は?」
 
『道具袋に入っとる。ガスコンロとガスボンベ、あとお鍋もじゃ。水は……2Lのヤツを五本ぐらいじゃな。水は生命の源、大切にしろや』
 
「あのう……銃とかは?」
 
『すまんすまん。忘れた。道具袋と食料袋の他に装備袋もあるじゃろ?選択に』
 
「あ、あります。これは?」
 
『そこに色んな種類の銃が入っている。試しに一つ、選択してみろ』
 
「それじゃ……とりあえず」
 
僕はHGを選択した。それに触れると手元に一瞬にしてHGが現れた。
 
「S&W M686!携行性と耐久性が高い人気なヤツじゃないですか!」
 
『ほう、よく知っとるのう。それと試しに撃ってみなさい』
 
僕は神様に言われるがままにHGを近くにあった木に銃口を向けた。そして僕はスマホを片手に目を木へと集中した。そして引き金を何度も引き、それと同じ数銃声が草原に鳴り響いた。
 
「……弾切れ?」
 
『リロードと言ってみなさい』
 
「リロード?」
 
僕がリロードと言うと左回りのリボルバーは一気に右へと回転した。よく見ると無くなっているはずの六発の銃弾は元通りにリボルバーの穴へと入っていた。
 
「凄い!」
 
『他のヤツも同じようにしとるからな、安心して使うがよい。それじゃ、楽しい人生を』
 
「あ、待ってください」
 
『なんじゃ?』
 
「スマホって使えるんですか?」
 
『無論、ゲームは出来んが、ワシとの電話やネットなどは見れるぞ。地図に関しては……あまり使ってほしくないのう』
 
「わかりました。地図に関しては使わないようにしますね。それじゃ、二度の人生楽しんできます!」
 
僕はそう言うと神様との電話を切った。スマホを袋にしまうと神様がくれた迷彩服へと着替え、手に持つHGを腰についているホルスターに差し込んだ。
 
「うわ……カッケェ!ちゃんとした迷彩服に帽子だ!それにホルスターもちゃんとした革製だ!それも黒!」
 
テンションが上がる僕。すみません、もう一度言いますが僕は銃ヲタクです。
 
「とりあえず……」
 
町を探すか
僕は少し歩くことにした。しかしずっと歩き続けるが町など全く見つからなかった。 
 
何処だよ、ここ……
行き場もなく開始早々途方に暮れ、森を歩き続けると目の前に馬車と数人の姿が見えた。
 
「人だ!」
 
何時間も歩いていた僕にとってあの馬車は神の使いだと思えるほどだった。
 
「道を聞くか!」
 
しかしその馬車に近づけば近づくほどその光景は天国から地獄へと成り下がった。そう遠くから見た光景は天国そのものだったが近くで見るとそれは山賊に襲われる馬車という地獄だった。
 
「助けた方がいいのかな?」
 
どうしたらいいかまたしても途方に暮れる僕だったが悲鳴を聞いて決心した。
 
「女の子の悲鳴!?」
 
僕は走り出した。馬車で言う左側、そこから三メートル付近の草むらに僕は身を潜めた。ホルスターからゆっくりとHGを引き抜き、馬車から一番遠く、それも一人の山賊に銃口を向けた。
 
「これでもサバゲーでは店員さんからお墨付きだから、これを当てるなんてお茶の子さいさいってね」
 
僕は躊躇無く引き金を引いた。銃声と共に狙っていた山賊は放たれた銃弾に当たり、その場に倒れた。馬車を囲んでいた山賊は銃声と倒れた仲間を目の前にしてすぐさまに散らばり、剣を構えていた。
 
「散らばってくれた方が好都合だな……よし!」
 
まあ、後はついさっき撃ち抜いた山賊同様、皆さん僕に撃たれたのである。僕は山賊が全員倒れたことを確認すると馬車の扉を開いた。するとそこには鎧を着た女性と小さな女の子が座っていた。女の子の方は涙を流していた。
 
「誰だ、貴様!」

「ああ、ごめん。僕は平山大翔、十七歳。えっと……貴女は?」
 
「私か?私は“紫の白鯨”副団長、ネイス・キルギスタンだ。そしてこちらがアーレンド王国、アメリス王女だ」
 
「王女!?」
 
「なんだ貴様、知らないで助けたのか?それにその服装見たことないな……どこの出身だ!」
 
「え……!」
 
ヤバイ。追求されたら絶対バレる!
ネイスになんて答えたらいいかで頭を抱える大翔に一人の女の子が助け船を出してくれた。
 
「いいです、ネイス。この人が困っているでしょう?誰にだって答えられないことがあります。どうみてもこの人はどこの生まれなのかは聞いてほしく無いようです。なら聞かないのが得策ではないですか?」
 
「も、申し訳ありません。……すまない、つい興味を持ってしまってな。しかし最後にお主が使ったその武器の名前を教えてくれないか?」
 
「ああ、これは銃と言ってね。簡単に言うと鉄の弾が飛ばされて敵を撃ち抜くんだよ」
 
「つまり、矢と同じ飛び道具ということか?」
 
「はい」
 
「あのう、大翔……さん?」
 
「ああ、呼び捨てでいいですよよ?それで何ですか?」
 
「今回、助けられたご恩に一緒に来ませんか?。護衛の兵士も山賊の襲撃により、ネイスしか居なくなってしまったので。どうか、ご同行お願いできます?」
 
(ここで一緒に行けば助かる……よし!)
 
僕は心の中で頷き、アメリスの手を握った。
 
「わかりました。護衛は任してください!」
 
こうして大翔はアメリス王女との出会いにより、森を出ることに成功した。しかし今王国にて何が起きているのかはこのとき、大翔は全く知らなかった。
 
・・・
 
どうも完龍卞です。
久しぶりの投稿ですがどうですか?
異世界という舞台で書きましたがおもしろかったと言われると私は物凄く嬉しいです!
ここはおまけ、またはあとがきと考えて結構です。毎回ここで新しく出てきたキャラクターの説明をいれるのでよろしくお願い致します。※ネタバレが嫌な人は見なくても良いですよ。
 
“キャラクター設定”
・平山大翔
十七歳。高校二年生という青春ど真ん中な人生を送っているというときに閻魔様の間違いで死ぬという可愛そうな男の子。
男主人公でよくある鈍感というスキルを持ち、性格もよい。生前、色んな人に優しくするばかり、女子には優しすぎる草食系男子と噂されるほどだ。しかし大翔は好きな人や彼女などに全く興味が無く、ただ男友達が多い。友達と一緒に『リア充爆発しろ!』とクリスマスの集まりで言っている。
 
・神様
神様。年齢は測定不可能。仕事と言ってもただ現世を見るだけの傍観者でしかない。大翔に新たな人生を与えた神様だが、他にも色んな神様がいる。

・ネイス・キルギスタン
二十一歳。“紫の白鯨”副団長を務めており、アメリス王女の護衛として王女自らが指名した。剣の達人で大翔とは接近戦なら勝てる。

・アメリス・グレナラス
十二歳。グレナラス家の嫡子で次期当主。父、ジェーン・グレナラスはダイヤモンド王国の国王である。
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