ゆずれないモノ

優ちいた

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番外編「それは何と呼べばいいのか(西川&坂下)」

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それは何と呼べばいいのか







「くそっ、死ね!山野!!」

それは、新年を迎えて間もなくのこと。



亜月からメールに
綺麗な顔を般若の如く歪め、坂下は毒を吐いた。


黙っていれば美人。


まさにそんな言葉がぴったりな坂下の横顔を、
高校時代からの友人である西川は見つめた。



見た目裏切る、低音の心地よい声。

初めて聞いたときの衝撃は忘れない。




出会いは高校入学。

同学年になり、一人ひとり自己紹介をする形になり、
前に出てスッと立つ坂下の美しさに、
その場にいた誰もが釘づけになった。


そしてそれと同時に、
まるで美少女のような顔立ちからは、
想像しえないイケメンボイスに、誰もが衝撃を受け
謎の拍手喝采を浴びていたのを今でも鮮明に覚えている。


それから数日たって。



「なぁ、お前さぁ、焼却炉ってどこにあるか知ってる?」


坂下が、たまたま近くにいた西川にかけてきたそれが
二人の間で初めて交わされた言葉だった。 



この学校の清掃は、放課後の当番制ではなく、
昼休みの後に20分程時間が設けられていて、
全校生徒で一斉に行う。

当時はまだ焼却炉があり、クラスの当番が毎回
自分達で捨てにいくシステムだった。



「ついてこいよ。そのほうが早い」



たまたま前の日にゴミ捨て当番だった西川は、
説明するよりも案内したほうが早いと踏んだ。



そこに着くまでに交わしたくだらない世間話で妙に馬が合い、
それから二人はつるむようになったのだ。


不思議なことに、
まるで、昔からずっと一緒だったかのように、
 二人でいることが自然だった。


それに目立つ坂下の隣を独占できるのは、
 西川に優越感を抱かせた。



正直、クラスで一番可愛いと言われている女子より、
坂下の方が可愛いと、そう思っている男子は、
 西川だけではなかったはずだ。



だが、そんな容姿だからこそのトラブルも付き物だ。


共学であるにも関わらず、
坂下に下心を抱く男子生徒は後を絶たなかった。



そんなある日、坂下は悪評高い3年生数人に目を付けられたのだ。


 西川も助けに入ったはいいものの、
 流石に相手が悪く、

むしろ、坂下といつも一緒にいる邪魔な男ということで
激しい暴行を受けた。


そんな時、
まるでヒーローの如く、颯爽と現れたのが、
別なクラスの三条亜月だった。


西川と坂下を「助けた」というよりは、
ただ単に亜月の虫の居所が悪かったらしく、
ストレス発散に近いような感が否めなかったが。



だが、その暴れっぷりは見事なもので、
スラリとした体躯からは想像もつかない腕力で
亜月は4~5人はいた先輩たちをあっという間に
蹴散らしてしまった。 


カッコよくて、強い上に、
 自由奔放で誰にも屈しない。


そんな亜月に、二人はすっかり魅せられてしまったのだ。

その事件の後も、ボコッた先輩たちをパシリにして、
顎でこき使っていた亜月に心底惚れた。



・・・その先輩たちも、
 亜月に仕えることに悦びを感じているように見えたのは
気のせいではなかったはず・・・。


そして二人は、男惚れした亜月に
 ついて行きたいと思うようになった。



そんな憧れが、度を越した好意に代わるのに、
二人とも時間はかからなかった。



「亜月ってかわいいよな」 


そんな西川の一言から始まり、
坂下もまた、亜月のことが好きなのだと素直に告げた。



同性を好きになるのはお互いに初めてで、
普通ではないことは十分に分かっていたが、
坂下になら何でも話せた。



そしてなぜか、
同じ人間を好きになったのに
不思議と、「ライバル」という感じはしなかった。



奪い合うとか、競い合うとか、そんな感情は一切なく、
まるで宝物を「共有」するかのように
二人の亜月への一方的な想いを、大事に大事に育んできた。


それから4年。




まさか、あの亜月が
あんなブサメンオタク野郎に惚れてしまうなんて、
 思ってもみなかったが・・・。 



しかも、自分たちのことは、
絶対に下の名前で呼ぼうとはしなかったのに、
山野のことは「紅ちゃん」などと呼んでいるようで、
それを初めて聞いた時の坂下の表情は今でも忘れない。



でも、それでも、 西川も坂下も、亜月が幸せならそれでいいのだ。



山野に振られたときの、
目も当てられない程の亜月の憔悴っぷりを思い出せば、
山野を見つめ、山野を呼び、山野から呼ばれ愛されて、
幸せオーラ全開な亜月の姿は本当に微笑ましい。


山野が亜月を受け入れてくれて
心の底から本当に良かったと思う。


他人ごとながら、感謝している。


そんな自分のことを、馬鹿だと思うが、
むしろ、それほど亜月に心酔しているのだ。



その亜月を、一度だけでも抱けた。
その思い出だけで十分だった。 


「あいつら、夏に鹿児島行くんだって」



坂下の言葉で、過去の記憶から現実に引き戻される。


どうやら亜月からの、
 『夏に紅ちゃんと鹿児島に旅行するんだ』

という内容のメールが坂下に届いたようで、
その文の後に続くハートの大群が、
坂下に「くそっ、死ね!山野!!」とう暴言を吐かせたようだ。


亜月のことになると、坂下は短気になる。



本当に死ねとは思っていないとは思うが、
ただ単に、思ったことをズバッと言ってしまう節がある。



だが、それが後を引かず、カラリとしているので、
口が悪い割に友人は多いし、信頼も厚い。



言葉とはうらはらに、実は人を思いやる気持ちがたっぷりあるのを
みんな知っているのだろう。



「ふ~~ん、鹿児島ねぇ・・・」



西川はつぶやきながら、
山野のマンションで飲んだコーヒーを思い出した。


「山野んとこのさ、あの溶岩焼きだっけ??
あれで飲んだコーヒーマジで旨かったよなぁ・・・
 あれ、現地で買いたいなぁ・・・」





「わざわざ鹿児島まで行くのか?」

 西川は驚いて尋ねた。 


あと少し冬休みが続くとはいえ、
流石に何の計画もなく、
いきなり鹿児島に行くわけにはいくまい。



「なぁ坂下、鹿児島とまではいわないでも、
どっか近くで温泉旅行にでもいかないか?」



特に理由はなかった。




綿密に計画して、
鹿児島に行くのも悪くないが、
なんとなく・・・なんとなく、
「今」「二人で」どこかに行ってしまいたい衝動に駆られたのだ。 





「失恋の痛みを癒しにいこうぜ」

「あぁ!それいいね」 


以外にも、坂下は即答だった。





思い立ったが吉日。 



西川と坂下は、ネットで空いている温泉宿を予約して、
簡単な荷物を整えて、
少しだけ都会から離れた癒しの場所へと向かった。
 








日ごろの大都会の喧騒から離れて、
整えられた庭園を眺めながら、のんびり温泉に浸かる。




美味い物を食って、
美味いビールを飲む。


互いに話す内容は、亜月のことがメインだが、
二人とも亜月のことが大好きなので、話題には事欠かない。 




酒の量も大分進み、なんとなくほろ酔い気分になってくる。




「おい、坂下ぁ・・・なんかお前、エロイ・・・」 


普段、見慣れない浴衣などを着ているものだから、
胸元の肌蹴具合とか、
下半身の肌蹴け具合に目を奪われる。




酒と、失恋と、いつもと違う環境と。



なにもかもが偶然に作用したのかもしれない。



「お前ってさ・・・ほんと綺麗だよな~」 

思わず口をつく。



「あ?何?・・・西川・・・マジ酔いしてんの?」



アーモンド形の綺麗な瞳がこちらを睨むが、
それすらもなんだか色気を帯びて見えてきた。



「・・・・ああ、酔ってる・・・」


西川がそう呟くと、
二人の視線が、熱く交わる。


これまでもずっと二人で行動してきたけれど、
坂下に対してこんなにした気持ちになるのは初めてだ。 



妖艶な坂下の姿に釘づけになる。


「・・・なぁ、俺のセックスって・・・気持ちよくなかったのかなぁ・・・」 

酔った勢いで、ずっと自分が気にしていたことを吐露する。



望んで自分とセックスをした相手が、元の相手に戻ったという事実は、
西川にとってそこそこ深い傷となっている。


亜月だって、西川に抱かれて、善がり喘いでいた。
そして絶頂を迎えていたはずなのに。



でも亜月が選んだのは、山野だった。 

西川に抱かれた上で、山野を選んだ。





「いいとか悪いとかいうより、山野との相性が良すぎたんだろ・・・?
それはもう、どうしようもないんじゃないか?」 



口の端から零れた酒を、
舌で唇をぺろりと舐め取る坂下が酷くなまめかしい。



「でもよ・・・」

正直、牡としてのプライドはズタズタだ。



「それに、別にカラダだけで選んだ訳じゃないだろうし・・・。
俺らみたいに甘やかすだけじゃなくて、
はっきり言ってくれる山野が亜月には新鮮だったんじゃない?」 



話によれば、あの亜月に「二度と話しかけるな」と
言ったらしい山野。


あれ程の容姿で、あれ程の財力で、
仲良くなっていて損はない相手の亜月に向かってだ。 


下心なしで自分に接した山野の存在は、亜月にとって
これまでにない特殊な存在だったのかもしれない。


「なぁに、西川は魅力的だよ。俺が保証する。
チンコもちゃんとデカいし、形も悪かなかったし、ね。
まぁ・・・・山野には劣るようだけどな、俺もお前も」 



「・・・・なんでまた傷をえぐるかなぁ」

 思わず苦笑いする。


亜月が手で表現していた様子から、
 想像される山野のサイズを思うと、げんなりした気持ちになってくる。




拗ねたように睨むと、
坂下はふふんと妖艶に微笑んだ。


「よし、どれどれ。
じゃあ俺がもう一回確かめてやろうか・・・?」 



「お・・・おい、坂下!?っ・・・」


浴衣の裾をめくり、
坂下は、西川のボクサーパンツを遠慮なく脱がしにかかる。



「おい、こらっ!!坂下!やめろって・・・っ」

口では咎めながらも、
実は抵抗たる抵抗はしていなかったりする自分もいる。


ぶるんと勢いよく飛び出す西川のそれを、
坂下がしげしげと見つめた。 


「・・・うん、俺からみても、十分立派だし、
かっこいいよ・・・・?」

そう言って、先端をピンと弾く。


「うっ・・・ちょっ・・・」

「つーか、もしかして、俺で勃ってんの?」


笑いながら、坂下は西川の勃起をそろりと撫でた。 


「っ・・・!」



扇情的な浴衣姿の坂下を見て、
下半身が熱くなったとはとても言えない。 


「さ・・・坂下・・・もう触るなよ・・・」

でないと、絶対に大変なことになる。 



だが、まんざらでもない西川の反応をどう受け取ったのか、
実は相当坂下も酔っているのか、
坂下は、何の躊躇もなく西川のそれを口に含んだ。



「おいっ・・・坂下っ!!!」


女性以外にされるのは勿論初めてだし、
しかもそれが坂下だと思うと、酷く興奮を覚える。




ちゅるちゅると坂下から勃起を吸われ、
生暖かい感触に、西川のソレはみるみる硬度を増していくい。



「ふ・・・っ・・うんっ・・・!おまっ・・・ウマすぎっ・・・」 



される側にしては、
 奉仕し慣れているような坂下の舌使いに疑問がよぎる。



「・・・まぁ、いつか亜月とそうなったらって・・・喜ばせてあげたいだろ・・・?
だからネットとかでやり方調べて、結構練習したよ」

「練習・・・・?・・・って、だ、誰と・・・?」 


坂下が、誰かとそういうことをしていたのかと想像すると
焦りに似た気持ちが湧いてくる。 


「はぁ?自分の指とか、バナナ食う時とかだよ。
亜月以外のなんて、気色悪くて咥えられねぇよ」 


そう言って再び西川の勃起に舌を這わせる。


「・・・でも、不思議と、お前のは平気・・・」 

「あっ・・・・!」


一番敏感な亀頭部分に、ねっとりと舌が絡みついてくる。 


なめ回され、吸い上げられ、
同時に陰嚢を優しくさすられて、
堪えようがなくなった西川は、
 思わず坂下の口の中で達してしまった。



それをペッと吐き出す坂下の口元に、精液が糸を引く。


その様子に酷く興奮し、
西川の股間はすぐに硬度を取り戻した。


「つーかお前、俺でデカくしすぎだよ」

ペロリと舌舐めずりする坂下が妖艶で、
西川は思わず唾を飲みこむ。 



「こんなことになるなんて思ってなかったからなぁ・・・
痛いのはやだしなぁ・・・やっぱこれしかないよな」


坂下は、意味不明な言葉を呟くと、
 吐き出した残滓をしばらく見つめた。


そしてそのあと、思いもよらない行動にでた。 


「坂下・・・お前・・・なにやって・・・」

「ん?何って・・・準備だよ・・・。
この雰囲気はそういうことでしょ?」 


坂下は、先ほど西川が放ったものを自らの蕾に塗り込み、
 自ら西川を受け入れる準備を施していたのだ。



くちゅくちゅと音を立て、
白くて長い指が、小さな穴を出入りする様子が卑猥すぎて、
西川の思考は停止する。



気が付いた時には、
 自ら坂下を押し倒し、全裸に衣服を毟り取り、


そして、坂下が指で解していたその秘部に、
 自らの舌を突き立てていた。



「あっ・・・西川っ・・・汚いからやめろっ」

「なんで?解さないと辛いのはお前だろ」

「でもっ・・・舌っ・・・なんて・・・」


先ほどまでの挑発的な様子とは打って変わって、
真っ赤になって動揺するのが異様に可愛らしい。


嫌だと言いながら、体の力はどんどん抜けていく。


坂下もまた、最初から抵抗なんてしていないと言ってもいい。


今日は、二人とも、どうかしていたのかもしれない。


綺麗な顔には似つかわしくない勃起からは、
先走りがだらだらと流れ、
 西川の舌と指の動きを滑らかにする。 


「あっ・・・にしかわっ・・・」

3本の指がたやすく入るようになる頃には、
坂下の瞳は潤み、ねだるように腰をくねらせる。 


舌を引き抜き、
二本の指で粘膜の筒を広げた。



十分すぎるほどに解れたそこに、
 西川は自らの猛りを押し当てると、
躊躇なく一気に腰を進めた。



「いっ・・・ああっ・・・!」 


襞を掻き分けて最奥まで自身を埋めると、
わずかに坂下が痙攣した。


「大丈夫か・・・?坂下・・・っ」 


食い千切られそうな坂下の締め付けに、西川も声が掠れる。



深呼吸を繰り返す坂下の額には、
うっすらと汗が滲んでいて、すごく辛そうだ。



「だい・・・じょうぶ・・・」


最後に大きく息を吸い、
ふぅっと吐き出して呼吸を整えると、
坂下の強張りも溶け、徐々に内壁も蠢き始める。



「大丈夫だから・・・動けよ・・・」 



その表情がこれまた挑発的で、
牡としての本能を刺激され、西川は坂下への律動を開始した。


「うっ・・・あっ・・・っ・・・!」


坂下の慣れていない感じがまた、
自分が初めての男であるという優越感を抱かせる。


ピストンを繰り返していくうちに十分に西川の形に馴染み、
摩擦にも慣れ、くちゅくちゅと音を立てる。


内壁がとろとろに潤んでくる頃には、
 坂下の声にも甘さが滲んできた。


「あっ・・・・あ・・・」 

「坂下・・・」 


「あっ!・・・そこっ・・・やっ」

ある一点を突き上げたとたんに、
坂下の声が一気に高くなる。


「ここ?」

「ひっ・・・あっ・・・」 


自分の甘い声に戸惑っている様子の坂下が愛おしい。


もっともっと気持ちよくしてあげたいという気持ちが
むくむくと湧いてくる。



「ここはほら、男ならだれでも弱い部分だ・・・。
そうなって当然だよ。亜月だってスゲー乱れてただろ?
あれ、ここをガンガンに突いたからだよ?」 


「そ・・・だけど・・・」


知識として、前立腺が性感帯だということは知っていたようだが、
まさかこれほどとは思っていなかったようだ。 


「で・・・でも・・・俺が喘いだって・・・可愛くないだろ・・・」 


そう呟いて恥ずかしげに瞳を反らす。


「そうでもないよ」


そう耳元で囁いて、
西川は坂下の前立腺への攻めを開始した。


「ああっ・・・やっ・・・っ!」 


「十分、かわいいよ、坂下っ」

「んでっ・・・・やっ・・・やぁっ」


完全に馴染みきった内壁はすでに、
西川のモノと一体化したようにドロドロで気持ちがいい。


快感に耐えながら、
必死に喘ぎ声を我慢しようとする坂下がまた西川をそそるのだ。


「ほら・・・いいよな?」

「いやぁっ・・・あっ!」


「可愛いよ坂下・・・もっと声、聴かせろよ」

「っ・・・ひっ・・・や、やだっ・・・マジ・・・
そこヤバいんだってっ・・・あっあっ・・・」


「なに・・・・そんなにいいの?坂下・・・・」 

「いいよ・・・すげぇ気持ちいいよ・・・お前は・・・?」



潤んだ瞳が西川を見上げる。 



「・・・なぁ西川・・・俺と亜月・・・どっちが・・・いい・・・?」

「・・・え!?」 


不意打ちな質問に、返答を窮する。


まさかそんなことを聞かれるとは思ってもいなかった。


(どっちがなんて・・・。)




自分がどんな顔をしていたのかは分からないが、
坂下はいたずらっこのように微笑むと、 

「意地悪しただけだから・・・答えなくていいよ・・・」


そう呟いて、
快感を追うように瞳を閉じ、心地よさげに啼きはじめた。 


先ほどの質問に戸惑い、若干萎えかけそうな西川に、
ちゃんと動けと坂下のダメ出しが下り、我に返る。



「そこっ・・・ぐりぐりして・・・もっとガンガン突けよ」 


その言葉が、西川の動揺をさらりと拭い去っていった。



一気に煽られて腰のスピードを速め、
希望通り、前立腺をガンガンに突きあげてやると
坂下は西川にしがみ付き、大きく痙攣し、
一際高い声を上げて達してしまった。



坂下の絶頂に西川も引きずられ、
強く締め付けられるままに、彼の中にそのまま熱を放った。





互いに息が上がり、
西川はそのまま坂下の上に覆いかぶさる。




「・・・やばい・・・西川・・・まじで気持ちよかった・・・・」 


「そんなに?」


「ああ、今までのセックスのなかでも最高・・・」


恍惚とした坂下の表情は、お世辞には見えない。



「あそこ・・・ガンガンに突かれんのほんっとにヤバいって」 


そう語る、坂下の顔が、
 女とのセックスでは味わえない快感を物語っていて、
西川は気が気ではない。



「そんなに・・・やべぇの・・・?」


「うん、チンコ擦るだけじゃ絶対に得られない気持ちよさ」


「そう・・・なんだ・・・」 


今までは、「抱く側」が当たり前すぎて、
そんなことを考えたこともなかった。


もちろん、男なんだから、それが普通なんだけれども。


でも、今日は、何かがいつもと違うのだ。




喧騒を離れて、
坂下と二人きりで抱き合って、
さらにそれが西川をおかしくさせた。




女性とのセックスでは味わえない快感。


その事にものすごく興味を引かれる。



再び、下肢がじゅんと疼く。

そんな西川の様子を敏感に感じ取ったのか。



「西川・・・・・・交代・・・する?」


甘い甘い、誘い。



与える側が、与えられる側になる。 


こんなことが、今までにあっただろうか。


「・・・・・・・うん・・・・する・・・」 


自分がどんな顔をして承諾したのかは分からない。 


「・・・・されて・・・・みたい・・・・」



血迷ったとか、
おかしかったとか、
理由は何だっていいのだ。

ただ自分はどうしようもなく、坂下に抱かれたいと思った。 



そしてその返事を聞くが早く、坂下は西川を組み伏せた。 


不思議とそれが、嫌じゃない。



ただ同じように、坂下は西川の秘部を舌で溶かし、
トロトロにされていく。


「・・・西川・・・入れるよ?」



怯えたのは最初だけだった。 


ぐにゅりと、坂下の熱い猛りが入ってくると、
全身に電流が走り鳥肌が立った。



「あっ・・・ううっ・・・!」


以外と自分の体は、柔軟性があるのか、
割とスムーズに坂下の抽挿を許している。


熱い杭が内壁を掻き分けて擦られていくのは、
痛いようなむず痒いような、
たとえようのない快感を西川に与えてくれた。



「んっ・・あっ、あぁっ・・・」


確かに、自分の口からこんな声が出てしまうなんて恥ずかしい。

でも、坂下にならすべてさらけ出せる。




そして西川も、坂下に突き上げられながら
あられもなく喘ぎ、存分に乱れた。



その後も、交互にもつれ合い続け、
その場の気分で、抱かれたり、抱いたりした。



でも、お互いに好きだとは言わなかった。


これが、好き、という感情かどうかも分からない。


セフレでもない。 
恋人とも違う気がする。



じゃあ、
自分たちは、いったいどういう関係になるのだろう。



二人の関係を、なんと呼べばいいのだろう。


互いに、視線だけでそう問いかけ合う。

でも、それも無意味だと知る。


自分たちという関係を、
世間一般のカテゴリーに当てはめる必要なはないのだ。 




「好き」とか「愛」だとか、そういう感情だけでは処理できない。


そんな、例えようのない特別な気持ちがそこにはある。


ただ、交わるのが自然な気がした。
だからセックスをした。


何度も何度も、時間の許す限り、
 西川と坂下はセックスをし続けた。





朝、目を覚まし、互いの目が合った。



変な気恥ずかしさも、 照れも、気まずさも、 驚くほど微塵もなかった。



「おはよ」

「うっす、おはよ」



互いに、ごく自然に挨拶をする。


ただ、今までと違うのは、互いの唇が触れ合う。


本当に、ごく、自然に。 




「そういや、昨夜は散々ヤッたのに、一度もキスしなかったよな」

「あ、そういやそうだな~」 


そして互いに見つめ合う。 



じゃあ、改めてキスしよう、なんて口にはしないけれど、
二人同時に、互いの唇のむさぼるように求めた。



「俺、また坂下を抱きたいな・・・・」



思わず呟く。



「ん?べつにいいよ?俺もお前抱きたいし、抱かれたいし・・・」



 綺麗に微笑む坂下に心を奪われていく。 


これまでほとんど亜月が占めていた心の割合が、
若干、坂下が増えたことは誰にもナイショだ。 


「どっちかってーと、 俺は坂下を抱きたい・・・。
 女役も悪かないけど・・・でも俺は、 坂下・・・・お前を抱きたい・・・」


そう告げると、見知った顔が不敵に微笑む。



「そうだな・・・俺はどっちでもいいよ」

お前が相手なら、と、そう付け加えて。



そんな潔いところは、
 本当に男前なやつだと感心しながら、
西川は再び、坂下の唇を喰らうようにむさぼった。


(終わり) 2013/09/20 HP掲載


【お約束の当時の後書き↓】 
いや~~~

ついに書くことができましたよこの二人!

この二人ねぇ・・・


受攻どっちがどっちか迷いましたが、
 若干、西川攻め寄りのリバップルに落ち着きました。


きっとこれからも普段は西川が攻だけど、
なんか弱っているときとか、
なんか坂下がイケイケの時には西川が受にまわるんでしょうね(*´▽`*)


普段、アンアン言わしてる西川が、
アンアン言わされるんです(*´▽`*)ハァハァ


 いや~~書いててとても楽しかったです。


***************************

■そして2025年11月現在のあとがき■
あらためて、このような読みにくい文章を読んでくださり、
本当にありがとうございます。
10年以上経つんですね…💦
表現も古いですしね(笑)

おかしな所は、少しずつ校正してまいります。→(2025/11/15 一通り校正済)





当時、スランプで絵が描けなくなって、でも「創作」に対する
熱だけはどうしても冷めなくて、文字だけでも…!と挑んでおりました。

文章での創作は想像以上に難しく、これはこれで本当に学びに
なったと思っておりますし、文字で物語を紡がれる方への
尊敬の念が深まったことを今でも覚えております。


この小説を、あたらめてここへ投稿したのは、
マンガ「おつおつ」にも登場するキャラがいる為です。

近いうち、この話をコミカライズする予定です。
その際はどうぞ宜しくお願い致します!

2025/11/05 優ちいた


 
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