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側近フェリルート
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翌朝、俺は気分が優れないと言って一日中部屋にこもっていた。
使用人のマルクには、休息を言い渡していた。
あの優しい目で心配されるのが、今はどうしようもなく苦しくも思えたからだ。
胸が、焼けるように痛かった。
思い返すたびに息が詰まり、喉が締め付けられるようでもあった。
「俺なんて、すぐに捨てられるんだ」
そのような醜い思いが頭の奥でぐるぐると渦を巻いて、涙を流すことすら許されないような気がしていた。
ただひたすらに、呆然と寝台の上で過ごしていた。
しばらくして、扉を叩く音がした。
恐らく、アルフォンス様だろうか。
体調を崩した日の朝には、必ず俺の手を握りにきてくれていたのだから。
「はい」
そう返事をしたとき、俺の耳に届いたのは予想とは違う声だった。
「ルーナ様、よろしいでしょうか」
扉を開けて姿を現したのは、アルフォンス様の側近であるフェリだった。
アルフォンス様よりも少し背が高く、黒く短い髪に鋭い黒い瞳が特徴的だった。
無表情で冷静沈着、アルフォンス様の前でも決してその素顔を見せないようなフェリは、いつもアルフォンス様の影のように静かに控えているだけだった。
その背後にもアルフォンス様の姿はなくて、俺は落胆した。
「どうぞ」
と声をかければ、フェリは無言で深く頭を下げた。
そして、胸に抱えていた白い花束を俺に差し出してきたんだ。
「ご気分がすぐれない様子であると、伺いました。少しでも、お気持ちが晴れるようにと思いまして……」
その花弁は朝露を含んだように瑞々しく、受け取った瞬間に淡い香りが部屋いっぱいに広がった。
「フェリ、……どうして」
この花は、俺がかつて好きだとアルフォンス様に向けて話をしたことがあった花でもあった。
屋敷の庭には、咲いていない。
俺の生家の近くでしか、咲いていない花でもあったんだ。
わざわざ街まで降りて、探し回ってくれたのだろうか。
そうフェリの顔を見上げると、わずかに口角があがっていた。
「マルクに聞きました。以前、ルーナ様がお好きだと仰っていましたので。……少しでも、笑っていただければと」
その声はいつもよりも柔らかく、思いやりが含まれていた。
「フェリ、ありがとう」
そう精一杯の笑みを浮かべてみせると、フェリは静かに目を伏せて、そして言葉を探すように唇を開いた。
「アルフォンス様の度重なる非礼を、お許しください」
「……そんな、フェリが謝る必要なんて……」
「いいえ。あの態度は、俺も許せません。ルーナ様を傷つけたことは、何よりの罪です」
堅い声色とは裏腹に、その瞳はまるで俺を憐れむかのように揺れていた。
俺はたまらずため息をつき、フェリの肩にそっと手を添えていた。
「こうしてフェリが来てくれただけでも、嬉しいよ。ありがとう」
フェリは静かに目を見開いた後に、小さく頷いてくれていた。
その瞬間、胸の奥に積もり続けていた重たい何かがふっと少しだけ軽くなったような気がしていた。
「フェリ。よかったら……、時間ある?一緒にお茶でもどうかな、準備するよ」
椅子へと促すと、フェリは慌てた様子で首を横に振った。
「いいえ。俺はただ、花をお渡ししたかっただけですので」
「俺、これまでずっと退屈していたんだ。少しだけ、いいだろう?」
そう顔を見上げれば、フェリは渋々頷いた。
今はただ、ひとりでこの部屋にいたくなかったんだ。
「では、少しだけでしたら……」
「ありがとう」
結局フェリが熱い紅茶を淹れてくれて、他愛もない話をしていたとき。
遠くから聞こえた楽し気な笑い声に、俺の心臓は強く跳ねていた。
ルイス様と、アルフォンス様の声だった。
静かに目を伏せて、紅茶を一口飲んだ。
フェリも何かを察したのか、わざとらしく咳払いをしてからぽつりと呟いた。
「ルーナ様は、お強いのですね」
その言葉に、俺は首を横に振っていた。
本当は、この耳を塞ぎたい。聞こえない振りをしていたい。
「ううん。強くなんか、ない。どうしてあんなことを言ってしまったんだろうって、後悔しているんだ」
唇を噛みしめて、静かに窓の外へと視線を逃した。
フェリにこのようなことを言っても、何も変わりはしないのに。
それでも、誰かにこの想いを聞いてほしかったんだ。
「本当はお二人が並んでいる姿を、見たくはないんだ。それに、アルフォンス様はもう……俺のことなんか……」
「いいえ。そのようなことは、断じてありません。アルフォンス様は今日も、ルーナ様のお顔を見に行こうかと俺に相談されたほどです。ですがかえって、ルーナ様を傷つけるようなことになるのではないかと判断しました。そして差し出がましくも、俺が代わりにと……」
フェリは、嘘偽りのない瞳でこう告げていた。
「そうだったんだ……」
それにしても、俺が好きな花まで探して。こうして部屋まで来てくれた。
本当に、フェリは優しい男だと思った。
そして俺は、想像する。確かにアルフォンス様がお見舞いに来ても、きっと俺は勝手に理由をつけて深く傷ついていたんだと思う。
「もう、どんな顔をしてアルフォンス様に会えばいいのか……わからないんだ」
思わず、声が震えてしまう。こらえようとしていた涙は、溢れてしまって止まらなくなっていた。
フェリは静かに、両手で俺の手を包み込んだ。
その手はアルフォンス様のものよりも少し大きく、確かな温もりがあったんだ。
まるで俺の心を落ち着かせるかのように、角ばった指がやさしく絡められていた。
「無理に、会わなくてもいいのです。何かあれば、俺が間に立ちます。……俺は、ルーナ様の味方ですから」
堰を切ったように涙が溢れて、俺はフェリの胸に顔を押し付けていた。
フェリは、動じなかった。
拒むことなく、その逞しい腕で強く俺のことを抱きしめてくれていた。
誰にも見せられない弱さを全てさらけ出すかのように、俺は声をあげて泣いていた。
落ち着いた頃には、窓の外では夕陽が沈もうとしていた。
「フェリ、ごめん。みっともなく泣いて」
泣きはらした瞼の奥で、世界が熱を帯びて揺れていた。
フェリは静かに俺の髪を撫でて、こう囁いた。
「謝らないでください。ルーナ様には、どうか笑っていてほしい」
そう言いながら、フェリの指がそっと俺の頬に流れていく。
涙の痕を辿るように、ゆっくりと触れられた。
「俺は、あなたの笑顔が好きだ」
初めてその微笑を目にした瞬間、俺の頬は一気に熱くなっていた。
気づけば、俺はその手に自らの手のひらを重ねていた。
「フェリ……」
ふっと笑って、フェリは静かに手を離す。
「明日も、見舞いに来ます。……いいですね?」
有無を言わさぬその視線に、俺は心を鷲掴みにされていた。
こくりと頷くことしかできなくて、その間にもフェリは背中を見せて去っていく。
***
次の日も、そしてその次の日も。
俺はフェリと一緒に部屋で過ごしていた。
時々マルクが様子を伺いにくるものの、フェリが一緒ということであれば安心したような顔をして静かに席を外していた。
フェリはいつも決まった時間にやってきては、夕陽が沈む前には去っていく。
アルフォンス様の仕事の補佐もあるのに大丈夫なのかと尋ねれば、今はルイス様がフェリのぶんまで仕事を手伝っているとのことだった。
「俺の仕事も、無いに等しいものへと変わりました」
そう言いながらも、今日は街で流行りの焼き菓子を俺のために買ってきてくれていた。
可愛らしい色合いの包み紙を開けば、ふわりと甘い蜂蜜の香りが漂う。
「お口に合うと、いいのですが」
「すごく美味しそう、ありがとう。フェリ」
熱い紅茶が淹れられて、俺はお菓子とともに楽しんだ。
「美味しいよ、フェリもどう?」
「いいえ。俺は、見ているだけで……」
そういう律儀なところが、好きだと思った。お礼にと何かを贈ろうとすれば、強く首を振られてしまう。
「俺は、ルーナ様の笑顔を見ることができれば……。それでいい」
その気持ちが、純粋にとても嬉しく感じられていた。
「ありがとう」
今日も、もうすぐフェリがやってくる時間だ。
待ち遠しく思えてしまい、窓辺に飾った白い花の花弁を指でつつく。
すると、背後にかすかな重みを感じた。
「お声をかけたのですが、返事がなかったので……。勝手に、失礼します」
その言葉に、俺は笑って振り返る。
「フェリのことを、考えていたんだ」
フェリは驚いたような顔をして、けれど次の瞬間には目を細めてそっと顔を近づけた。
俺の唇はフェリの唇によって塞がれていた。
その唇はとても熱くて、俺は思わずフェリの背に腕を回していた。
「フェリ……」
吐息の合間にその名を呼べば、フェリはかすかに息を震わせていた。
「ルーナ様」
口づけはやがて深いものへと変わっていき、フェリの目にはいつも以上の鋭い光が宿っていく。
その瞳に見つめられて、強い腕にがしりと求められて、拒める人はいるのだろうか。
「フェリ、」
俺は静かに立ち上がり、フェリの大きな手を引いていた。
寝台のそばへと移動して、ゆっくりとその顔を見上げた。
「俺のこと、好き?」
そう尋ねれば、フェリはにこやかな笑みを浮かべていた。
それは何よりも優しく、何よりも穏やかな笑みでもあった。
「好き、という言葉などではありません。愛しています、ルーナ様」
その声にこの身は溶けていくようで、俺はもうこの心に逆らうことなどできなかった。
寝台へと沈み込み、フェリは俺の衣服に手をかける。
俺もまた、同じようにフェリの服を脱がしていく。
アルフォンス様とは違う、大きく引き締まったその肉体が包み込むように俺の身を抱きしめていた。
「もう、離しはしません。いいですね?」
「いいよ。俺を、フェリのものにして」
フェリは苦悶したように目を伏せて、それでも抗いきれずに俺の首筋を強く吸った。
「……っ!」
強く、荒々しく。確かに欲しがられていると感じるような口づけを、俺はその日初めて知った。
何度もその唇が押し付けられて、俺もまたそれに応えるかのようにフェリの肌に唇を寄せていた。
言葉以上に、フェリはその態度で俺への愛を示してくれた。
全身への口づけ、執拗な愛撫、そして大きく聳え立つその熱は俺の奥へと静かに埋まっていく。
「フェリ……!」
その名を呼べは、フェリは必ず口づけをしてくれた。
胸元の飾りも舐め回されて、俺はあられもない声を出してただひたすらにフェリだけを求めていた。
「ああっ、……。フェリ、フェリっ……!」
いつしか零れ落ちる涙さえもその熱い舌で舐め取られて、俺はただ熱い息を吐くことしかできずにいた。
フェリは優しく、それでも激しく俺の奥へとその身を強く打ち付けていた。
苦しそうに漏れ出る吐息に、俺はフェリの限界が近いのだと悟る。
「出して、いいから……っ!」
思わずそう口にすれば、フェリは眉を寄せて微笑んだ。
「……本当に、いいのですか?」
「いいよ。俺のなかを……っ、フェリでいっぱいにして……!」
次の瞬間には、熱い種が勢いよく噴き出していた。
どくどくと、それは終わることがないかのように長く静かに俺の奥を満たしていった。
何度かその種を吐き出した後に、フェリは俺の目元に口づけをした。
俺はフェリの腕の中で泣きながら、生まれて初めて、ただひとりの男に求められるという幸せを知った。
***
しばらくしたある日、俺はルイス様が妊娠したと聞かされていた。
屋敷中が歓喜の声に包まれて、祝福の言葉が飛び交っていた。
俺もまた、次の日にルイス様の部屋を訪ねて祝福の言葉を述べていた。
ルイス様は、美しくにこやかな笑みを浮かべていた。そしてそれ以上に、アルフォンス様の幸せそうな顔を目にした瞬間、俺の世界は音を立てて崩れていく。
「子供を産んだら、すぐにこの屋敷を去るよ」
ルイス様のその言葉に安心するものの、アルフォンス様は信じられない言葉を言い放っていたんだ。
「ルイス、それはいけない。この子のためにも、お前はこの屋敷に残るべきなんだ」
そしてさらに、ルイス様を正妻にするとまでアルフォンス様は言ってのけたのだ。
その言葉に、俺の心の中の最後の灯が消えてしまった。
もう何も俺の心には、何も届かなかった。
静かに礼の姿勢をとって、部屋を出た。
そして、私室へと駆け出していた。
扉が閉まる音と同時に、背後から誰かの腕が俺のことを強く抱きすくめていた。
「ルーナ様。一緒に、来てくださいませんか?」
それは、フェリの腕だった。
俺は、声をあげて泣いた。
悲しさと同時に、嬉しさも込み上げていたんだ。
もう、全てがどうでもよくなってしまう。
ここにいる意味も、アルフォンス様から愛される資格も、俺は全てを失ってしまったのだから。
その背に腕を回しながら、俺は本音をこぼしていた。
「フェリ。連れていって」
「必ず、守ります。俺の全てを賭けてでも」
涙が落ち着いたころ、俺もまた離縁を強く決意していた。
その夜、俺とフェリはアルフォンス様に申し出た。
「もう俺が、ここにいる必要はありません。フェリとともに、生きていきます」
「俺は、ルーナ様のことを愛してしまいました。どうかその身を預かることを、お許しください」
アルフォンス様は何も言わず、その言葉を静かに受け入れていた。
「……ルーナ、愛していたよ」
「ありがとうございました。俺も、愛していました」
「フェリも、これまでありがとう」
「こちらこそ、ありがとうございました」
その言葉で、全てが終わったのだ。
荷物をまとめて、俺はフェリと共に屋敷を出た。
マルクには、生家に帰ってもらうことにした。
目に涙を浮かべて別れを惜しんでいたけれど、マルクは最後まで俺の幸せを願い続けてくれていた。
「どうか、お元気で」
「マルクも、これまでありがとう」
抱きしめ合う俺たちを、フェリは静かに見つめていた。
「フェリ様。ルーナ様を、よろしくお願いいたします」
「ああ、任せておけ。必ず、幸せにする」
俺はフェリに手を引かれながら、ある小さな屋敷に足を踏み入れていた。
「俺の、生家です。といっても今は、誰もいませんが……」
扉を開ければ、手入れが行き届いた清潔な部屋が広がっていた。
「時々、掃除をしていました。いつかルーナ様を迎え入れることができるようにと、そのような夢を見て」
胸がうんと熱くなり、俺は思わずその身に抱きついてしまう。
「ありがとう、フェリ……!」
テーブルの上には俺の好きな白い花が飾られ、俺はいつも笑みを浮かべていた。
あの屋敷よりかは小さなものの、生家よりも広いこの屋敷は俺にはよく馴染んでいた。
フェリもまた、笑うことが増えていた。
決して裕福な暮らしではなかったけれど、大きな幸せがそこにはあったんだ。
貴族の義務も重圧も無いその世界で、俺は初めて自由に息を吸うことができていた。
そしてある日、この身を突然襲っためまいと吐き気に俺は蹲っていた。
フェリが慌てて医師を呼んでくれて、告げられたその言葉に俺たちは息を呑んでいた。
「妊娠されています」
フェリは俺の手を握り、その声を震わせていた。
「ルーナ……、ありがとう。本当にありがとう」
俺は泣きながら、フェリの胸に顔を埋めていた。
「俺のほうこそ、ありがとう……。こんな日が、来るだなんて……」
フェリはいつになく優しい眼差しで、俺の膨らむ腹にそっと触れてくれていた。
「絶対に、幸せにする。ルーナと、この子と。俺は、一生を賭けて守り抜く」
大きくなった腹部を撫でながら、夕暮れに染まる小窓の前で俺は囁いた。
「ねえ、フェリ。……俺、幸せだよ」
仕事から帰ってきたフェリは、静かに俺の額に唇を落とした。
「俺もだ、ルーナ。……愛している」
その瞳には、父親としての威厳のようなものもかすかに滲みでていた。
その力強い腕に抱かれながら、俺は永遠を信じていた。
この幸せを、何があっても手放しはしないと。
俺は静かに、笑っていた。
フェリの隣で、生きていく。
それだけが、俺の選んだ答えなのだから。
END
使用人のマルクには、休息を言い渡していた。
あの優しい目で心配されるのが、今はどうしようもなく苦しくも思えたからだ。
胸が、焼けるように痛かった。
思い返すたびに息が詰まり、喉が締め付けられるようでもあった。
「俺なんて、すぐに捨てられるんだ」
そのような醜い思いが頭の奥でぐるぐると渦を巻いて、涙を流すことすら許されないような気がしていた。
ただひたすらに、呆然と寝台の上で過ごしていた。
しばらくして、扉を叩く音がした。
恐らく、アルフォンス様だろうか。
体調を崩した日の朝には、必ず俺の手を握りにきてくれていたのだから。
「はい」
そう返事をしたとき、俺の耳に届いたのは予想とは違う声だった。
「ルーナ様、よろしいでしょうか」
扉を開けて姿を現したのは、アルフォンス様の側近であるフェリだった。
アルフォンス様よりも少し背が高く、黒く短い髪に鋭い黒い瞳が特徴的だった。
無表情で冷静沈着、アルフォンス様の前でも決してその素顔を見せないようなフェリは、いつもアルフォンス様の影のように静かに控えているだけだった。
その背後にもアルフォンス様の姿はなくて、俺は落胆した。
「どうぞ」
と声をかければ、フェリは無言で深く頭を下げた。
そして、胸に抱えていた白い花束を俺に差し出してきたんだ。
「ご気分がすぐれない様子であると、伺いました。少しでも、お気持ちが晴れるようにと思いまして……」
その花弁は朝露を含んだように瑞々しく、受け取った瞬間に淡い香りが部屋いっぱいに広がった。
「フェリ、……どうして」
この花は、俺がかつて好きだとアルフォンス様に向けて話をしたことがあった花でもあった。
屋敷の庭には、咲いていない。
俺の生家の近くでしか、咲いていない花でもあったんだ。
わざわざ街まで降りて、探し回ってくれたのだろうか。
そうフェリの顔を見上げると、わずかに口角があがっていた。
「マルクに聞きました。以前、ルーナ様がお好きだと仰っていましたので。……少しでも、笑っていただければと」
その声はいつもよりも柔らかく、思いやりが含まれていた。
「フェリ、ありがとう」
そう精一杯の笑みを浮かべてみせると、フェリは静かに目を伏せて、そして言葉を探すように唇を開いた。
「アルフォンス様の度重なる非礼を、お許しください」
「……そんな、フェリが謝る必要なんて……」
「いいえ。あの態度は、俺も許せません。ルーナ様を傷つけたことは、何よりの罪です」
堅い声色とは裏腹に、その瞳はまるで俺を憐れむかのように揺れていた。
俺はたまらずため息をつき、フェリの肩にそっと手を添えていた。
「こうしてフェリが来てくれただけでも、嬉しいよ。ありがとう」
フェリは静かに目を見開いた後に、小さく頷いてくれていた。
その瞬間、胸の奥に積もり続けていた重たい何かがふっと少しだけ軽くなったような気がしていた。
「フェリ。よかったら……、時間ある?一緒にお茶でもどうかな、準備するよ」
椅子へと促すと、フェリは慌てた様子で首を横に振った。
「いいえ。俺はただ、花をお渡ししたかっただけですので」
「俺、これまでずっと退屈していたんだ。少しだけ、いいだろう?」
そう顔を見上げれば、フェリは渋々頷いた。
今はただ、ひとりでこの部屋にいたくなかったんだ。
「では、少しだけでしたら……」
「ありがとう」
結局フェリが熱い紅茶を淹れてくれて、他愛もない話をしていたとき。
遠くから聞こえた楽し気な笑い声に、俺の心臓は強く跳ねていた。
ルイス様と、アルフォンス様の声だった。
静かに目を伏せて、紅茶を一口飲んだ。
フェリも何かを察したのか、わざとらしく咳払いをしてからぽつりと呟いた。
「ルーナ様は、お強いのですね」
その言葉に、俺は首を横に振っていた。
本当は、この耳を塞ぎたい。聞こえない振りをしていたい。
「ううん。強くなんか、ない。どうしてあんなことを言ってしまったんだろうって、後悔しているんだ」
唇を噛みしめて、静かに窓の外へと視線を逃した。
フェリにこのようなことを言っても、何も変わりはしないのに。
それでも、誰かにこの想いを聞いてほしかったんだ。
「本当はお二人が並んでいる姿を、見たくはないんだ。それに、アルフォンス様はもう……俺のことなんか……」
「いいえ。そのようなことは、断じてありません。アルフォンス様は今日も、ルーナ様のお顔を見に行こうかと俺に相談されたほどです。ですがかえって、ルーナ様を傷つけるようなことになるのではないかと判断しました。そして差し出がましくも、俺が代わりにと……」
フェリは、嘘偽りのない瞳でこう告げていた。
「そうだったんだ……」
それにしても、俺が好きな花まで探して。こうして部屋まで来てくれた。
本当に、フェリは優しい男だと思った。
そして俺は、想像する。確かにアルフォンス様がお見舞いに来ても、きっと俺は勝手に理由をつけて深く傷ついていたんだと思う。
「もう、どんな顔をしてアルフォンス様に会えばいいのか……わからないんだ」
思わず、声が震えてしまう。こらえようとしていた涙は、溢れてしまって止まらなくなっていた。
フェリは静かに、両手で俺の手を包み込んだ。
その手はアルフォンス様のものよりも少し大きく、確かな温もりがあったんだ。
まるで俺の心を落ち着かせるかのように、角ばった指がやさしく絡められていた。
「無理に、会わなくてもいいのです。何かあれば、俺が間に立ちます。……俺は、ルーナ様の味方ですから」
堰を切ったように涙が溢れて、俺はフェリの胸に顔を押し付けていた。
フェリは、動じなかった。
拒むことなく、その逞しい腕で強く俺のことを抱きしめてくれていた。
誰にも見せられない弱さを全てさらけ出すかのように、俺は声をあげて泣いていた。
落ち着いた頃には、窓の外では夕陽が沈もうとしていた。
「フェリ、ごめん。みっともなく泣いて」
泣きはらした瞼の奥で、世界が熱を帯びて揺れていた。
フェリは静かに俺の髪を撫でて、こう囁いた。
「謝らないでください。ルーナ様には、どうか笑っていてほしい」
そう言いながら、フェリの指がそっと俺の頬に流れていく。
涙の痕を辿るように、ゆっくりと触れられた。
「俺は、あなたの笑顔が好きだ」
初めてその微笑を目にした瞬間、俺の頬は一気に熱くなっていた。
気づけば、俺はその手に自らの手のひらを重ねていた。
「フェリ……」
ふっと笑って、フェリは静かに手を離す。
「明日も、見舞いに来ます。……いいですね?」
有無を言わさぬその視線に、俺は心を鷲掴みにされていた。
こくりと頷くことしかできなくて、その間にもフェリは背中を見せて去っていく。
***
次の日も、そしてその次の日も。
俺はフェリと一緒に部屋で過ごしていた。
時々マルクが様子を伺いにくるものの、フェリが一緒ということであれば安心したような顔をして静かに席を外していた。
フェリはいつも決まった時間にやってきては、夕陽が沈む前には去っていく。
アルフォンス様の仕事の補佐もあるのに大丈夫なのかと尋ねれば、今はルイス様がフェリのぶんまで仕事を手伝っているとのことだった。
「俺の仕事も、無いに等しいものへと変わりました」
そう言いながらも、今日は街で流行りの焼き菓子を俺のために買ってきてくれていた。
可愛らしい色合いの包み紙を開けば、ふわりと甘い蜂蜜の香りが漂う。
「お口に合うと、いいのですが」
「すごく美味しそう、ありがとう。フェリ」
熱い紅茶が淹れられて、俺はお菓子とともに楽しんだ。
「美味しいよ、フェリもどう?」
「いいえ。俺は、見ているだけで……」
そういう律儀なところが、好きだと思った。お礼にと何かを贈ろうとすれば、強く首を振られてしまう。
「俺は、ルーナ様の笑顔を見ることができれば……。それでいい」
その気持ちが、純粋にとても嬉しく感じられていた。
「ありがとう」
今日も、もうすぐフェリがやってくる時間だ。
待ち遠しく思えてしまい、窓辺に飾った白い花の花弁を指でつつく。
すると、背後にかすかな重みを感じた。
「お声をかけたのですが、返事がなかったので……。勝手に、失礼します」
その言葉に、俺は笑って振り返る。
「フェリのことを、考えていたんだ」
フェリは驚いたような顔をして、けれど次の瞬間には目を細めてそっと顔を近づけた。
俺の唇はフェリの唇によって塞がれていた。
その唇はとても熱くて、俺は思わずフェリの背に腕を回していた。
「フェリ……」
吐息の合間にその名を呼べば、フェリはかすかに息を震わせていた。
「ルーナ様」
口づけはやがて深いものへと変わっていき、フェリの目にはいつも以上の鋭い光が宿っていく。
その瞳に見つめられて、強い腕にがしりと求められて、拒める人はいるのだろうか。
「フェリ、」
俺は静かに立ち上がり、フェリの大きな手を引いていた。
寝台のそばへと移動して、ゆっくりとその顔を見上げた。
「俺のこと、好き?」
そう尋ねれば、フェリはにこやかな笑みを浮かべていた。
それは何よりも優しく、何よりも穏やかな笑みでもあった。
「好き、という言葉などではありません。愛しています、ルーナ様」
その声にこの身は溶けていくようで、俺はもうこの心に逆らうことなどできなかった。
寝台へと沈み込み、フェリは俺の衣服に手をかける。
俺もまた、同じようにフェリの服を脱がしていく。
アルフォンス様とは違う、大きく引き締まったその肉体が包み込むように俺の身を抱きしめていた。
「もう、離しはしません。いいですね?」
「いいよ。俺を、フェリのものにして」
フェリは苦悶したように目を伏せて、それでも抗いきれずに俺の首筋を強く吸った。
「……っ!」
強く、荒々しく。確かに欲しがられていると感じるような口づけを、俺はその日初めて知った。
何度もその唇が押し付けられて、俺もまたそれに応えるかのようにフェリの肌に唇を寄せていた。
言葉以上に、フェリはその態度で俺への愛を示してくれた。
全身への口づけ、執拗な愛撫、そして大きく聳え立つその熱は俺の奥へと静かに埋まっていく。
「フェリ……!」
その名を呼べは、フェリは必ず口づけをしてくれた。
胸元の飾りも舐め回されて、俺はあられもない声を出してただひたすらにフェリだけを求めていた。
「ああっ、……。フェリ、フェリっ……!」
いつしか零れ落ちる涙さえもその熱い舌で舐め取られて、俺はただ熱い息を吐くことしかできずにいた。
フェリは優しく、それでも激しく俺の奥へとその身を強く打ち付けていた。
苦しそうに漏れ出る吐息に、俺はフェリの限界が近いのだと悟る。
「出して、いいから……っ!」
思わずそう口にすれば、フェリは眉を寄せて微笑んだ。
「……本当に、いいのですか?」
「いいよ。俺のなかを……っ、フェリでいっぱいにして……!」
次の瞬間には、熱い種が勢いよく噴き出していた。
どくどくと、それは終わることがないかのように長く静かに俺の奥を満たしていった。
何度かその種を吐き出した後に、フェリは俺の目元に口づけをした。
俺はフェリの腕の中で泣きながら、生まれて初めて、ただひとりの男に求められるという幸せを知った。
***
しばらくしたある日、俺はルイス様が妊娠したと聞かされていた。
屋敷中が歓喜の声に包まれて、祝福の言葉が飛び交っていた。
俺もまた、次の日にルイス様の部屋を訪ねて祝福の言葉を述べていた。
ルイス様は、美しくにこやかな笑みを浮かべていた。そしてそれ以上に、アルフォンス様の幸せそうな顔を目にした瞬間、俺の世界は音を立てて崩れていく。
「子供を産んだら、すぐにこの屋敷を去るよ」
ルイス様のその言葉に安心するものの、アルフォンス様は信じられない言葉を言い放っていたんだ。
「ルイス、それはいけない。この子のためにも、お前はこの屋敷に残るべきなんだ」
そしてさらに、ルイス様を正妻にするとまでアルフォンス様は言ってのけたのだ。
その言葉に、俺の心の中の最後の灯が消えてしまった。
もう何も俺の心には、何も届かなかった。
静かに礼の姿勢をとって、部屋を出た。
そして、私室へと駆け出していた。
扉が閉まる音と同時に、背後から誰かの腕が俺のことを強く抱きすくめていた。
「ルーナ様。一緒に、来てくださいませんか?」
それは、フェリの腕だった。
俺は、声をあげて泣いた。
悲しさと同時に、嬉しさも込み上げていたんだ。
もう、全てがどうでもよくなってしまう。
ここにいる意味も、アルフォンス様から愛される資格も、俺は全てを失ってしまったのだから。
その背に腕を回しながら、俺は本音をこぼしていた。
「フェリ。連れていって」
「必ず、守ります。俺の全てを賭けてでも」
涙が落ち着いたころ、俺もまた離縁を強く決意していた。
その夜、俺とフェリはアルフォンス様に申し出た。
「もう俺が、ここにいる必要はありません。フェリとともに、生きていきます」
「俺は、ルーナ様のことを愛してしまいました。どうかその身を預かることを、お許しください」
アルフォンス様は何も言わず、その言葉を静かに受け入れていた。
「……ルーナ、愛していたよ」
「ありがとうございました。俺も、愛していました」
「フェリも、これまでありがとう」
「こちらこそ、ありがとうございました」
その言葉で、全てが終わったのだ。
荷物をまとめて、俺はフェリと共に屋敷を出た。
マルクには、生家に帰ってもらうことにした。
目に涙を浮かべて別れを惜しんでいたけれど、マルクは最後まで俺の幸せを願い続けてくれていた。
「どうか、お元気で」
「マルクも、これまでありがとう」
抱きしめ合う俺たちを、フェリは静かに見つめていた。
「フェリ様。ルーナ様を、よろしくお願いいたします」
「ああ、任せておけ。必ず、幸せにする」
俺はフェリに手を引かれながら、ある小さな屋敷に足を踏み入れていた。
「俺の、生家です。といっても今は、誰もいませんが……」
扉を開ければ、手入れが行き届いた清潔な部屋が広がっていた。
「時々、掃除をしていました。いつかルーナ様を迎え入れることができるようにと、そのような夢を見て」
胸がうんと熱くなり、俺は思わずその身に抱きついてしまう。
「ありがとう、フェリ……!」
テーブルの上には俺の好きな白い花が飾られ、俺はいつも笑みを浮かべていた。
あの屋敷よりかは小さなものの、生家よりも広いこの屋敷は俺にはよく馴染んでいた。
フェリもまた、笑うことが増えていた。
決して裕福な暮らしではなかったけれど、大きな幸せがそこにはあったんだ。
貴族の義務も重圧も無いその世界で、俺は初めて自由に息を吸うことができていた。
そしてある日、この身を突然襲っためまいと吐き気に俺は蹲っていた。
フェリが慌てて医師を呼んでくれて、告げられたその言葉に俺たちは息を呑んでいた。
「妊娠されています」
フェリは俺の手を握り、その声を震わせていた。
「ルーナ……、ありがとう。本当にありがとう」
俺は泣きながら、フェリの胸に顔を埋めていた。
「俺のほうこそ、ありがとう……。こんな日が、来るだなんて……」
フェリはいつになく優しい眼差しで、俺の膨らむ腹にそっと触れてくれていた。
「絶対に、幸せにする。ルーナと、この子と。俺は、一生を賭けて守り抜く」
大きくなった腹部を撫でながら、夕暮れに染まる小窓の前で俺は囁いた。
「ねえ、フェリ。……俺、幸せだよ」
仕事から帰ってきたフェリは、静かに俺の額に唇を落とした。
「俺もだ、ルーナ。……愛している」
その瞳には、父親としての威厳のようなものもかすかに滲みでていた。
その力強い腕に抱かれながら、俺は永遠を信じていた。
この幸せを、何があっても手放しはしないと。
俺は静かに、笑っていた。
フェリの隣で、生きていく。
それだけが、俺の選んだ答えなのだから。
END
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