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犬も喰わない!~バカップルの痴話喧嘩編~
別れ話のABC/パターンC-①
しおりを挟む智太は良く解らない所を気にしたりする。
そんなん別にいいじゃん、って思うような事を気にする。
だけどそんな繊細で優しいとこも智太の良さだから受け入れるようにしてる。
受け入れてるからこそ、傷つかないようにフォローしなきゃと頑張ったりする。
なのに、そのフォローがうまくいかなかったりもするらしい。
なんか解んないけどとにかく今日は失敗した。智太の気持ちがもうよく解んない。
「サトルさーん」
珍しい声に呼ばれて見上げる。メンバーの原田さんがニコニコ笑って隣へ腰掛けた。「ちょ、なに?」座ったかと思ったらぎゅむぎゅむと距離をどんどん詰められる。思わず笑ったところでそのまま肩を組まれて「元気ぃ?」なんて聞かれて困ってしまった。
「ハラダンは元気そうだね」
「うん。俺は元気一杯だよ!サトルさんは元気?」
「なんか最近楽しそうだよなぁハラダン、良いことあったの?」
「良いことは毎日だよ!サトルさん落ち込んでるでしょ」
「なんでそう思うの?」
原田さんはこう見えて結構鋭い。図星を突かれるとちょっと困ってしまう。
「悩み事?」なんて聞かれるとますますツライ。だってまさか、智太とうまくいかない、なんて言えないし。
「智太はさぁ、良かれと思ってだよ」
なんも言ってないのに原田さんからはそんなアドバイスされちゃって頭が上がらない。思わず苦笑い。
原田さんって見てないようでいて結構見てるんだよね。占い師かよ?
「・・・なんで智太」結局頷く事が出来なくてそんな風に言った。
「長年一緒に居るんだから解るでしょ。けっこう気にするタイプだよ」
「長年一緒に居るからハラダンも解ると思うけど、けっこう気にするタイプだしすぐ顔に出るよ」
「まぁね~アレで本人は顔に出てないって思ってるとこが可愛いよね」
「あの顔で許されてるけど振り回されてる人きっと多いよね」
「まあそれはサトルさんもじゃん?」
思いもよらない言葉を掛けられてビックリしてしまった。
「え?俺~??」
「そうだよ。サトルに振り回されてる人も多いと思うなぁ~」
「いやいや、そんな事」
「そんな事あると思うなぁ~」
「いやいや…」
むぎゅむぎゅされてるついでに頬を指先でツンツンされ始めて「ちょちょ、なにい!!」と牽制する。全然効いては無いんだけど。
「可愛いなぁサトルはぁ~」
「ちょ、やめてよ原田さん~!!」
「イヤ!!ハラダンって呼んで!」
「なんで急にオネエなの」
「ハラダンって呼んでくれなきゃやあよ!」
「ハラダンハラダン!!これでいいでしょ!!」
「サトル~~!キスしよっかぁ」
唐突だったけど、意外と良いかもしれない、なんて思ってしまった。
どうせ智太はみんなの前でキスなんかしてくれないし。遊びでだってしてくんない。ハラダンとキスでもしたら気が晴れるかも、なんて思ってしまった。
「あ」
そうして次の瞬間、されてしまった。
とは言えまぁちょっとしたスキンシップみたいなもんだしまぁいいか。
キスされたら気が晴れるかもなんて思ったのは気の迷いだったらしい。ジワっと視界が滲む。急に悲しさが溢れてきてしまった。
強めにキスしてきてたハラダンが離れようとしてるのが解って、やめたくなくて後頭部を掴んでキスを深めてみた。
さみしい。もうちょっとしてようよ
「っ…んん、」
智太なんて、こんな風にみんなの前でキスなんてしてくれない。遊びや冗談でも酔っ払っててもライブ終わりのテンション上がってる時にもしてくれない。
そう思ったら苦しくて悔しくて涙がこぼれた。
結局智太は俺との恋なんて世間にお知らせ出来ないし、してくれることもないだろう。メンバーにすら隠したいんだろうね。俺と付き合ってるってそんなに恥ずかしいことなのかな。俺ってそんなに、恥ずかしい存在かな
世界中の人すべてにお知らせして欲しいなんて思ってない。思って無いよ。
だけどメンバーの前でも仲良くするのさえ嫌がる気がするのは何でなのかな。
昔に比べたら随分みんなの前でも仲良くしてくれるようになったけど。それでも時々、智太から触るのを躊躇ってるの事に気付くと、どうしようもなく不安になるよ。
俺に触れるのを躊躇うのは何でなの?って。
ハラダンは抵抗せずに、キスを受けたまま背中をぽんぽん、ってしてくれた。
気持ちが良くて心地よくて安心する。目を閉じてもう少し、って思ったところでドアが開いた。
本当はそろそろ智太が来そうなの解ってたんだ。
「なにしてんの?」
原田さんはメンバーの中でもたぶん一番最初に俺と智太の事に気づいた人で、だからどちらかと言えば味方で。
キスをやめて声のする方を見ると智太が居た。
「なにしてんの?」
「ハラダンとキス」
「なんで?」
「智太ごめん、俺からしたんだよ」
原田さんがそう言った。確かに、する?って聞いてきたのは原田さんだ。智太は怪訝そうな顔をしてる。
「……サトル、なんで?」
「原田さんにされたから」
「いやいや、逃げろよ」
「なんで?」
なんで俺が絶対に逃げるってお前思ってんの?
なんで逃げなきゃいけないの?
お前は皆の前ではそーゆーこと出来ないじゃん。そんな気持ちを当てつけたくなる。
「……智太も今キスすれば?」ハラダンが飄々とした顔で言う。
「智太はそうゆうのしないよ」どうせ出来っこない、って思ったからそう言った。
「つーか皆の前ではスんなっつったのサトルじゃん」
「……」
そう言われて思い出した。皆の前では控えて、って言ったのは俺だ。だけどそれは本心じゃない。
だって皆の前でイチャイチャしてたら絶対イヤな顔されるし。
でも、だからと言って俺に冷たくて他のメンバーと仲良くしてるのを見るのはキツイ。
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「皆の前ではすんなって言ってても、してほしくなっちゃうのが恋人なんじゃない?」
ハラダンが飄々とした態度で言う。
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自分からするなって言ってたくせに本当はして欲しかった、なんてまさか言えなくて。
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