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欠けたシャー芯の行き先は、もう目で追わない
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パキ、折れたシャーペンの芯が何処かへ飛んで行って、瞬間、飛んだ先を見たけどすぐに見失い、そのまま相手の顔へ視線をやった。
サトルは収録の合間を使いデスクでアンケートに記入していた。それをずっと隣で智太が見てた。
わざわざパイプ椅子まで持ってきて、智太がサトルの横にいる。
智太は背の低いサトルを伺うように伏し目がちな瞳で見ていて『おぉ、優男』とサトルはドキッとする。けれど次の瞬間それを否定するように『優男』に唇を奪われた。
ちゅ、と柔らかく唇を合わせ、目を見つめたままゆっくり離れる。
「・・・ええぇ?!」
サトルが驚き、思わず仰け反ってリアクションをとると、智太の甘い声が呆れた。
「…いやいや、驚きすぎでしょ」
「智太ってそーゆーのガチでやるんだ・・・」
先日収録があったバラエティー番組でファンサービス企画をやった。女の子をキュンとさせると言う、アイドル界にはよくある企画だ。
ご丁寧にランキングまで付けられるというハードな企画。『バイト中に女の子をキュンとさせる』設定で智太の番がやってきた。
智太は、近くに先輩がいるにも関わらず、死角をつくってキスをした。(もちろん女の子とのスキャンダルはタブーなので、キスはただのフリで実際にはしていない!)
番組内では『仕事中に何してるんだ?!信じられない!ハレンチ!!』と散々MCにディスられていた。
(わーー。智太、頑張っちゃったな~~~!)
まぁこんなのタダの企画だし?ファンタジーで空想で妄想だし?実際そんなことするわけない。智太はファンサービスのつもりでやったんだろうと思っていた。が、しかし。
「マジでやるとは思わなかった・・・」
「なに・・・。こないだの企画のこと?まぁアレは確かにあれは先輩が近かったから、やりすぎたなーって思ったけど。今はホントに誰も居ないしいーじゃん。」
そう言う智太を、サトルはジっ、と見つめた。楽屋に鍵がついているわけでも無いのに、よく出来るなぁとサトルは呆れた。
しかし智太は無駄に自信たっぷりで、もはやふてぶてしいほどの態度だ。
「智太…、いつのまにか大人になって」
『ふてぶてしい態度』を『大人になった』と表現するサトルは、相変わらず智太に弱い。
褒めた言葉では無いのだが、智太はフフンと口角を上げてドヤ顔をする。
ならば俺もと、サトルも番組でやったキュンを智太にしてやろうと思った。
サトルは自分よりも背の高い智太の頭へ手を伸ばし、ポンポン撫でる。智太は眉を上げてのけぞった。
「ぅわ、恥ずっ」
「いやいやそれ智太が言う?キスした智太よりマシでしょ!」
「俺はキスより頭ポンポンのが恥ずいわ!出来ね~」
「俺はキスのが恥ずいし!」
ツッコミを入れて笑ってたら、また智太がサトルにキスをする。そして再びフフン、とドヤ顔。
サトルは呆れて、あんぐりと口を開けている。
「誰もいないからいーじゃん?」
「智太って、誰もいなかったらどこまでもヤリそうで怖い」
「やっていいってこと?」
「違うし!そんなこと言ってない!」
「誘ってんの?」
「誘ってねーよ馬鹿!!!」
どーしようもねーな、って笑いながら、仕事で提出するアンケートの続きを書く。無言でデスクに向かうサトルを智太は相変わらずジッと見ている。
「あのさあ、見られてると書きづらいんだけど。」
「そう?書いてていいよ」
「書いてていいよじゃなくてさ~」
「なに?気になっちゃう?」
「うん。気になっちゃうよ。」
「うわ恥ずっ!!」
「は?いや恥ずくねーよ。気になるって普通だろ?」
「恥ずいわ~サトルのが恥ずいわー」
「はぁ~?意味わかんね~」
じっと見つめる智太。見られながら書くサトル。
視線を感じる。チラッと覗けば伏し目がちな表情で『ん?』って小首を傾げる仕草。
(…だからさ~!そんな見られると、ねぇ?気になるに決まってんじゃん!)
パキ、再び折れた芯の音を合図に、今度はサトルから智太に不意打ちのキスをする。
智太は、ちっちゃく『うわ~』と言って驚いた。
「…思ってたよりも、恥ずいな」
「だから言ったのに。」
で、沈黙。
なんとな~く淡い空気と、ちょっと照れくさい空気が漂う。
・
・
・
シャーペンの芯をわざと折った3度目。
その音はただの合図で
お互いに解ってるように近づいてキスをした。
折れた芯の行く先は、もう目で追わない
「…智太」
智太の視線が熱い。そんな目で見つめられると、サトルのほうもとろけてしまいそうになる。だけどここは楽屋なのだ。誰もいないと言ったって、いつ帰ってくるか解らない。
〝楽屋じゃダメ〟とろけた視線を止めるように言おうとしたその瞬間、背後からガタッという音がして 高速で2人が振り返る
ソファで寝ていたらしいアオバがこちらに歩いてきて、テーブルにバン、と置く。
手の中にあったのは、ボールペン。
「これなら折れないっしょ」
「「…。」」
アオバはそう言い残し、部屋を出て行った。
「「…恥っず!!」」
まさかアオバがいたとは・・・。
やっちまった、と2人は うなだれた。
サトルは収録の合間を使いデスクでアンケートに記入していた。それをずっと隣で智太が見てた。
わざわざパイプ椅子まで持ってきて、智太がサトルの横にいる。
智太は背の低いサトルを伺うように伏し目がちな瞳で見ていて『おぉ、優男』とサトルはドキッとする。けれど次の瞬間それを否定するように『優男』に唇を奪われた。
ちゅ、と柔らかく唇を合わせ、目を見つめたままゆっくり離れる。
「・・・ええぇ?!」
サトルが驚き、思わず仰け反ってリアクションをとると、智太の甘い声が呆れた。
「…いやいや、驚きすぎでしょ」
「智太ってそーゆーのガチでやるんだ・・・」
先日収録があったバラエティー番組でファンサービス企画をやった。女の子をキュンとさせると言う、アイドル界にはよくある企画だ。
ご丁寧にランキングまで付けられるというハードな企画。『バイト中に女の子をキュンとさせる』設定で智太の番がやってきた。
智太は、近くに先輩がいるにも関わらず、死角をつくってキスをした。(もちろん女の子とのスキャンダルはタブーなので、キスはただのフリで実際にはしていない!)
番組内では『仕事中に何してるんだ?!信じられない!ハレンチ!!』と散々MCにディスられていた。
(わーー。智太、頑張っちゃったな~~~!)
まぁこんなのタダの企画だし?ファンタジーで空想で妄想だし?実際そんなことするわけない。智太はファンサービスのつもりでやったんだろうと思っていた。が、しかし。
「マジでやるとは思わなかった・・・」
「なに・・・。こないだの企画のこと?まぁアレは確かにあれは先輩が近かったから、やりすぎたなーって思ったけど。今はホントに誰も居ないしいーじゃん。」
そう言う智太を、サトルはジっ、と見つめた。楽屋に鍵がついているわけでも無いのに、よく出来るなぁとサトルは呆れた。
しかし智太は無駄に自信たっぷりで、もはやふてぶてしいほどの態度だ。
「智太…、いつのまにか大人になって」
『ふてぶてしい態度』を『大人になった』と表現するサトルは、相変わらず智太に弱い。
褒めた言葉では無いのだが、智太はフフンと口角を上げてドヤ顔をする。
ならば俺もと、サトルも番組でやったキュンを智太にしてやろうと思った。
サトルは自分よりも背の高い智太の頭へ手を伸ばし、ポンポン撫でる。智太は眉を上げてのけぞった。
「ぅわ、恥ずっ」
「いやいやそれ智太が言う?キスした智太よりマシでしょ!」
「俺はキスより頭ポンポンのが恥ずいわ!出来ね~」
「俺はキスのが恥ずいし!」
ツッコミを入れて笑ってたら、また智太がサトルにキスをする。そして再びフフン、とドヤ顔。
サトルは呆れて、あんぐりと口を開けている。
「誰もいないからいーじゃん?」
「智太って、誰もいなかったらどこまでもヤリそうで怖い」
「やっていいってこと?」
「違うし!そんなこと言ってない!」
「誘ってんの?」
「誘ってねーよ馬鹿!!!」
どーしようもねーな、って笑いながら、仕事で提出するアンケートの続きを書く。無言でデスクに向かうサトルを智太は相変わらずジッと見ている。
「あのさあ、見られてると書きづらいんだけど。」
「そう?書いてていいよ」
「書いてていいよじゃなくてさ~」
「なに?気になっちゃう?」
「うん。気になっちゃうよ。」
「うわ恥ずっ!!」
「は?いや恥ずくねーよ。気になるって普通だろ?」
「恥ずいわ~サトルのが恥ずいわー」
「はぁ~?意味わかんね~」
じっと見つめる智太。見られながら書くサトル。
視線を感じる。チラッと覗けば伏し目がちな表情で『ん?』って小首を傾げる仕草。
(…だからさ~!そんな見られると、ねぇ?気になるに決まってんじゃん!)
パキ、再び折れた芯の音を合図に、今度はサトルから智太に不意打ちのキスをする。
智太は、ちっちゃく『うわ~』と言って驚いた。
「…思ってたよりも、恥ずいな」
「だから言ったのに。」
で、沈黙。
なんとな~く淡い空気と、ちょっと照れくさい空気が漂う。
・
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シャーペンの芯をわざと折った3度目。
その音はただの合図で
お互いに解ってるように近づいてキスをした。
折れた芯の行く先は、もう目で追わない
「…智太」
智太の視線が熱い。そんな目で見つめられると、サトルのほうもとろけてしまいそうになる。だけどここは楽屋なのだ。誰もいないと言ったって、いつ帰ってくるか解らない。
〝楽屋じゃダメ〟とろけた視線を止めるように言おうとしたその瞬間、背後からガタッという音がして 高速で2人が振り返る
ソファで寝ていたらしいアオバがこちらに歩いてきて、テーブルにバン、と置く。
手の中にあったのは、ボールペン。
「これなら折れないっしょ」
「「…。」」
アオバはそう言い残し、部屋を出て行った。
「「…恥っず!!」」
まさかアオバがいたとは・・・。
やっちまった、と2人は うなだれた。
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