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ふたりでおでんを食べるだけ。
しおりを挟むサトルはグループの兄のような存在だ。そんなサトルは仕事の時は厳しいけれど、一度心を許すと急にコロッと甘くなる。
弟キャラでゴールデンレトリバーと呼ばれる年下の智太は、甘くなった兄のサトルをペロッと美味しく頂いてしまった。
一度頂いてしまえばあとはチョロい。簡単に家に上げてくれるし、おでんだって取り分けてくれる。普段の厳しいサトルからは考えられない。年功序列に厳しい兄だから、おでんを取り分けるのは弟の仕事だって怒るだろう。
サトル兄はズカズカ家に上がった智太に『座れば』と促して、わざわざ俺におでんの白滝をよそおうとしてくれている。そんな兄に俺はまったく気兼ねすることもなく、好き勝手に自由人キャラを出せるってわけ。
サトルが箸で白滝を掴んだものの、今にも落っこちそうになって智太が思わず声を出した。
「あーあーあーサトル!もう、いいから」
智太に注意されてサトルの手の動きは止まる。そしてチラと智太を見上げた。
「なんだよ」
「なんだよじゃなくて、あっホラホラホラ落ちるって、しらたき!」
「え?っあ」
器に盛りかけていた白滝が鍋の中へ戻ってボチャンと落ちる。
跳ねた汁が多少飛び散ったが二人には掛からなかった。ので、汁についてはとりあえず二人は見てみぬフリをすることにした。
「だからねぇサトル兄さん……、まぁいいや、ちょーだい」
「結局年上のおれがやるのかよ!」
「ひゃっひゃっひゃっ」
サトルは年功序列に厳しい兄なので、年上がよそってあげるなんてホントは怒りたいところだろう。しかしゴールデンレトリバーの俺には甘い。甘いというかもはやチョロい。俺がこうして笑えば簡単に許してくれる。
「お~~~い~~~~!!!もう、トモタぁああ!」
「あーさんきゅさんきゅ」
「軽いなぁ~~」
簡単に許してくれる・・・、どころではない。もはや甘い。甘々のデレデレで骨抜き。年功序列はどこへやら。
智太の持つ自由人で憎めないキャラクターにほだされて、呼び捨てにされてもサトルは怒りが湧かない。むしろ愛おしいとすら思ってしまう。サトルは智太にデレデレだ。
「あっ、うまーい!大根もちゃんと煮えてるよー。ほらほら、サトルも食べな?」
促されてサトルも大根を口に頬張る。
美味しいと味の感想を言う前に、目の前にいる男前の智太に「うまい?」と柔らかい表情で聞かれて思わずサトルは笑った。
「うまい!うまーい!!」
急に甘えスイッチが入ったサトル。こうなってしまっては年上の兄の尊厳などもはや無い。ウマイと連呼しながら智太の横へイソイソ近づき、智太のあぐらの足へと寝転んだ。
ちょろい。チョロすぎる。
「おおおっ!なになに!?サトル兄!あぶないから!」
「ははっ、大根おいしーい!」
「はいはいそーすか、良かったねぇ」
「トモ好きぃ~~!」
いつもなら飲んで酔っ払ってる2人だが、今日は珍しく飲んでるワケでもなく酔ってるワケでも無い。シラフで言う『好き』の言葉は結構強い。甘々でふざけているサトル兄だが、智太はドキッとしてしまった。
だってベッドの中でばかり聞く言葉だから。
智太のあぐらの中に収まるサトルの頭。サトルは無言のままジッと智太を見つめる。
智太は、その目が要求してるものを理解すると、かがんで唇にキスを落とした。
自由人の年下ゴールデンレトリバーだけれども。男としての要求はちゃんと汲み取れます。メンバーに大型犬って思われても別にいいや。俺の男の部分はサトル兄に全部注いでるから。
「ン……」
お辞儀から戻るように体勢を戻す智太。カチ、カチ、と時計の音だけが静かに響く。
なんだかじんわりとした空気になってしまった。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
そのまま、無言のまま数秒。
「……スる?」とそっぽを向きながら頭を掻くサトル。
「しますか~」と何となく床を見ながら呟く智太。
年功序列をすっ飛ばした関係は勇気が必要で、照れくさくて、恥ずかしくて、幸せになれる。
恥ずかしさを忘れて求め合うまでにだいたい1時間。
その頃には、ふたりはベッドの中で世界で一番甘い時間を過ごす。
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