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しおりを挟む「次ティティアに近づいてみろ殺してやる…」
そう物騒に吐き捨てる少年はクレメル。長い黒髪に黄金の瞳は知的で魅力があるものの、片目は前髪で隠れており、眼鏡をかけているからか野暮ったさは拭えない。
クレメルはチッと舌打ちをすると、ポケットに両手を突っ込み不機嫌そうにパーティホールに戻った。
「メル~~!!どこ行ってたの~!」
パタパタと駆け寄るのは金髪碧眼の派手目な容姿の少女。
「ものすごいデカイ虫がいたから追い払ってたんだよ…てか、メルってやめてくれる?」
「メルも私の事ティティって言うくせに…」
「な…っ!お、俺は二人でいる時しか言ってないじゃん!」
「え?二人の時ならいいの?なんでここじゃダメなの??」
「~~っもぉ~!ウザっ!君のそういうトコまじムカつく」
頭をガシガシを掻いて苛立ちを見せるクレメルに、しばらく疑問符を浮かべるティティアだったが、そんな諍いはすっかり忘れたかのようにパーティ会場での出来事を話し始めた。
「んね、メル…私って不細工なのかな?」
「はぁ?何でそう思うわけ?」
「分かんない??令息令嬢、誰も近寄ってこないんだよ?わたし一応、伯爵家の娘なのに…考えられる理由なんて私の顔に問題があるとしか…」
(本気で言ってるのかコイツ…)
一般的な目から見てもティティアの容姿はかなり整っている。
まだ、あどけなさは残るがあと何年かすれば傾国と謳われたっておかしくない。
しかしそんな事、口が裂けても言えたってしないだろう。
「……べ、別に見れない顔じゃない。ま、まぁ、俺の顔よりは酷くないでしょ」
「メルはカッコいいよ」
「……は?」
「髪で顔の右半分隠してアレ、見えないようにしてるんだろうけど、垂れ目で優しそうだし、髪の毛サラサラだし…メルが自分の見た目嫌いなの知ってるけど、私は──」
「そこまでっ…!それ以上は、ヤメテくんない…???」
クレメルはティティアの口を自分の手で覆った…と思ったら直ぐに引っ込めた。
その一連の流れに、理解できないと首を傾げるティティアはクレメルの心情など一ミリも分からないのだろう。
クレメルの少し骨張った手にティティアの柔らかな唇が触れたのだ。
たったそれだけの事が彼にとっては刺激的で恥ずかしいことなのである。
元々、気質は根暗で内向的。人との接触自体好まないクレメルである。
真逆と言っていい性質を持つティティアにいろんな面でドキドキしてしまう。
他の異性であれば、こんな気持ちにはならいだろう。
そもそも、こんな広い世界に連れ出してくれやしなかった筈だ。
「メル、ちょっと様子おかしくない?体調悪いの?」
「い、いや、大丈夫」
「でも目の下も真っ黒だし、顔の色も悪いよ」
「それはいつものこと…」
「私水と、食べられそうなもの取ってくるね」
そう言うと、ティティアは返事も聞かずに人混みの中に入って行ってしまった。
(はぁ、情けない)
深いため息をついて、俯きがちだった顔を上げると、げっ!と声が出た。
「こんにちは、モグラさん?相変わらず辛気臭い顔ですね。」
「…」
「無視ですか。つれませんね」
「…」
「好きな子に告白する勇気が持てず、周りを牽制するだけで一杯いっぱいのクレメr」「マジで黙れしゃべんな。本当お前キライ」
ニコニコと嘘くさい笑いを浮かべる少年は、先程までティティアが座っていた席に図々しくもドスリと腰掛けた。
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