こちらの世界でも図太く生きていきます

柚子ライム

文字の大きさ
32 / 43

31.魔力持ちの平民女性

しおりを挟む




「衛生班ねぇ。僕は詰所勤務をオススメするけど。」


デレクさんを視線だけでちらりと見やって苦笑するヨルンさん。

下心を察知したようだ。



「まぁ何らかの形で騎士団に関わっておくことには僕も賛成だね。」



そして少し厳しい表情であたしを見た。



「そうですね。俺もそう思います。」



エリスさんも深く頷いている。


魔力持ちの女性は大変モテる。

貴族とかやり手の商人とかの権力者たちに。

魔力持ちな子供が生まれてくる可能性大だからね。

愛とか恋とか関係なくただ子供産ませるためだけの道具としてモテまくるのである。


男性からの遺伝はほとんどないらしいから必然的にそういった被害は女性に集中する。

貴族女性は家に守ってもらえるけど平民女性は後ろ盾もなにもないから鴨がネギ背負ってる状態なわけで。

本人の意思には関係なくお妾さんとか養女にされちゃった例がたくさんあって昔から問題になってるそうなの。


ほんとムカつくわ。

弱い立場の人たちを食い物にする連中って世界共通というか。

どこにでもわいて出てくるよね。


そういう背景があるから平民女性は魔力をもってることがわかっても隠してる。

権力者たちはどこからか情報を仕入れて見つけ出し攫っていく。

国もなかなか取り締まることができない。

っていう悪循環がいまの状況。


いまはとにかく魔力持ちの平民女性を把握しようと動いてて見つかりしだい騎士団で保護しているんだとか。

ネリアさんもお休みの日とか仕事の合間に個人的に探してるって言ってた。

たしかに相手は警戒してるだろうし女性同士のほうが話しやすいもんね。

そして把握&保護された魔力持ち女性は今のとこ全員が騎士団関係で働いているのだ。


有難い話だよね~。

後ろ盾のない魔力持ち平民女性が騎士団に守ってもらえて職も得られる。

女性たちは安心して生活できるようになるし騎士団は人手不足を解消できるしでWin-Win。


あたしもやっぱりそうなる…よねぇ。

開店の見通しもついたしお弁当屋さんやってみたいんだけどダメかしら。



「今まで隠して生活していたのだろう?」



デレクさんの言葉にうなずく。



「亡くなった両親も魔力持ちでした。その2人の血のせいかあたしはかなり魔力量が多いみたいで。なので人里離れた山奥で暮らしていました。」



なんちゃって設定がまた増えてしまった。

覚えていられるだろうか。



「そうだったんだね。もう不安に思わなくて大丈夫だよ。騎士団が君を守るから。もちろん僕もね。」



そう言って微笑むヨルンさんの背後には黒く輝く堕天使の羽。

バレたときが怖ろしすぎる(冷汗)



「そうだよ。もう大丈夫。俺たちを頼って?」 



心配そうに眉を寄せるエリスさんの後ろには後光が。

なんちゃって設定なんです。ほんとごめんなさい。



「俺の家に住めばいい。食事を作ってもらえれば家賃はいらない。」



デレクさん。下心がほんのりからだだ漏れになってるよ?

ヨルンさんとエリスさんの視線がめっちゃ冷ややか~。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/466596284/episode/5320962 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039/episode/2285646

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。 そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来? エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

番(つがい)と言われても愛せない

黒姫
恋愛
竜人族のつがい召喚で異世界に転移させられた2人の少女達の運命は?

処理中です...