こちらの世界でも図太く生きていきます

柚子ライム

文字の大きさ
10 / 43

9.濃ゆい1日の終わり

しおりを挟む




「忙しくてお昼食べ損ねたからすごく嬉しいお誘いなんだけど・・俺けっこう食べるんだよね。ホントにいいの?」



もちろん想定内ですよ~。

満足いくまで食べてってくださいませ。

足りないより残るほうがいいと思って4人前くらい作りましたから。

大食いチャレンジするような人でない限りは心配ご無用です。



「そう思ってたくさん作ったので大丈夫ですよ。これ食べてってくれないほうが困っちゃいます。」



そう言っていたずらっぽく笑うとエリスさんが笑いだした。



「この量をユミちゃん1人で食べきろうとしたら明日3食とも同じメニューになっちゃうね。遠慮なくご相伴に預かるよ。」



そんなこんなでエリスさんと一緒に少し早めのディナータイム。

ダメもとでお誘いしてみたんだけど"一般市民の家でごはんを食べちゃいけない"というルールはなかったみたいで良かったわ。


それにしても気持ちいいくらいの食べっぷりね~。

あたしの食べる分を気にしてたので自分用にワンプレートカフェごはん風に取り分けたらさらにスピードアップ。

4人前の料理が盛られたお皿が次々と空っぽになっていく。


忙しくてお昼を食べ損ねたと言ってたけど朝も食べてないんじゃ?疑惑が浮上。

多めに作っといてよかったよ。


線が細くて中性的な感じの人だけどやっぱり男の人なのねぇ。

食べ方がとっても綺麗だからこの人もお貴族様なのかも。



「ごちそうさま。すっごく美味しかったよ!また食べに来てもいいかな?」



旺盛な食欲をみせたエリスさん。

しっかり社交辞令を忘れずに帰っていきました。

お皿も洗ってってくれたんだよ。

ほんと紳士だよね~。



エリスさんをお見送りしたあとドアにきちんと鍵をかけて。

ダイニングの椅子にドサリと座り込む。


ふーー。

なんか気が抜けたらどっと疲れがきた。


まだ異世界1日目だよね?

ようやく落ち着いたところでそんな当たり前の事実を思い出す。

なんだかいろいろありすぎて1週間くらい居るような錯覚におちいりかけていた。

異世界定番のギルドとか市場とか騎士とかイケメンとか。

めっちゃ盛り沢山だったなぁ。

1日に詰め込みすぎでしょ。


もう今日は寝よう。

お風呂にゆっくり入ってさっさと寝よう。

そして明日こそギルドに登録しよう。

うん。そうしよう。

今日はもう動きたくない。


なんとか動けるうちにお風呂に入ろうと立ち上がりかけて。

重要なことを思い出した。


ギルドのお店に行かないとお風呂に入れないじゃん!

タオルも石鹸も替えの下着も何もないんだった。

草原に寝転んでた&1日活動して汗をかいている状態でベッドにはいるのはちょっとムリ。

汚れをおとして湯船につかって温まってから寝たい。


市場では本気で食材関係しか目に入らなかったからなぁ。

雑貨類ひとつも買ってないや。

女子としてどうなの自分。

エリスさんに笑われるのも当たり前だわ。


とりあえず必要最低限だけ買って明日また市場に行こう。

予定外でけっこう使ったから食材も買い足したいし。


ギルドで手続きしてから市場でランチ&買物して。

2時間とか3時間くらいでやれそうな依頼があればそれもやってみたい。


そうと決まったら動きますかー。

いま動かないと何もやらずに寝ちゃう可能性大だからねー。

ダラダラしたい気持ちを叱咤して部屋を出る。


そしてこの後。

ギルドショップの予想外な品揃えと質の良さに今度は雑貨熱に火がつくことになり。

濃ゆい1日はもう少し続くことになるのであった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』

宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?

処理中です...