魔物になろうズ!

鳥ふみと

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ゴブリン吉田の初仕事

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 俺の日中の移動方法が決まり、

 今回のミッションのターゲットも見つけたので。

 俺たちは軽く攻略について打ち合わせた。

 と、言っても。

 ようやく棍棒で武装できた吉田さんは

 明らかに砦攻略には戦力外だったので。

 森山さんと俺がどう立ち回るかに焦点は絞られている。



「日中は佐嶋氏が鎧の中なので、夜を待つか?」

「でも室内なら日光ないから、佐嶋君でも大丈夫じゃない?」

「なるほどな。強襲して砦内に侵入したら、鎧から佐嶋氏を放出して殲滅か」

「あの……俺たちが楽勝みたいなこと言ってますけれど、実は強いゴブリンとかいたりする可能性もあるんじゃないですか?」


 ハッキリ言えば。この世界でヴァンパイアがどれほどの存在か知らない上に。俺は、戦闘とか自信はない。せいぜいライフル銃があれば、動かない相手に命中させられるかもしれない程度だ。



「森山さんは剣道経験者とかだからともかく。吉田さんはリアルでなんか格闘とかしてたんすか?」

 ゴブリンの吉田さん、実はリアルではTUEEE設定とか……。

「いや。強いて言えば、警備員のバイトしたときに警棒の使い方とか10分間講習を受けたくらかな」

「……」

「私は、ぜんぜん不安ないかな。楽勝だと思う」


 森山さんが平然と言う。殺し合いなんですよ? 


「ミノタウロスとか戦ったけど、笑っちゃうくらい素人丸出しの動きで楽勝だったからゴブリンとかプチっかな?」

「俺みたいなゴブリン野郎は、プチっ! かよ」

「ええ、文句あるなら試して見る?」

「い、いえぇ。ありません、サーセン……」



 ……結局、夜まで待つと相手が夜行性だった場合に視覚的な不利などあると、文字通り目も当てられないので。日中に正面から攻め込むことに決定した。


「よっしゃ! そうと決まれば。このゴブリン吉田が偵察に行ってくるぜ!」

 あ。そうだよ!

 吉田さんゴブリンなんだから、砦の近くまで行ったりして偵察したり。

 上手くいけば潜入したりとかして重要な情報を事前に手に入れられるかも!



「そうよねー。事前に砦内部の構造とか知れるなら大きいわよね」

 珍しく吉田さんの発言に森山さんも肯定的だ!


「オッシ! じゃ、オイラは行ってくるぜ!」


 軽く気持ち悪いウインクをすると、吉田さんは砦に向かって走って行った……。



 ……そして10分もしないうちに、吉田さんは戻ってきた。

「?」

 早すぎないか?
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