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初めての戦い
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色とりどりのネオンと、ネクタイを外しながら道を行き交う人々。真上を見上げると、たくさんのビルに切り取られた暗い空。
今、俺はなぜか繁華街の真っ只中にいる。
あまりにもリアル。
こんな現実じみた街中で……
愛原さんのカラダを見たいと願ったはずの俺は、ただ一人、身体を光らせていた。
こんなに光っているのに、誰も俺のことを見ようともしない。危ない奴と目線を合わさないようにしている……というふうにも見えない。まるで気付いていない感じだ。
まるで夢。だが、これが夢ではないことを俺は知っている。
睡眠薬「ヒュプノス」を飲んで、眠りにつこうとするまでの記憶はきちんと脳に刻まれているから。そして、眠っている間だけ発動する俺の特殊能力「アストラル・プロジェクション」とやらのこともだ。
などと考え事をしながらキョロキョロしていると、真正面から歩いてくる二人組に、俺の目は釘付けになった。同時に、動悸が、息切れが、俺の身体の自由を奪う。
……愛原さん。
と、隣の奴は……見たことのない男。
すごく男前だ。細いが筋肉質で、そして背が高い。服装だってオシャレにしている。
俺は胸を握りつぶされたようになった。心臓の辺りに手をやり、かきむしる。
彼氏?
間違いない。だって、手を繋いでいるんだから。
見ていられずに二人から目をそらす。
薄々わかっていたことだ。なんら驚くことじゃない。望みが叶わないことなんて。
世の中そんな都合よくできていないんだ。今までだって、ずっとそうだったじゃないか。
そう。いつものこと……
でも。
俺だって、これから頑張ろうとしてたんだ。
神様。少しくらい、チャンスをくれたっていいのに……。
愛原さんは、俺のすぐそばを、俺を完全に無視して、これ以上ないと言わんばかりに幸せそうな顔をして通り過ぎていった。
強く目を閉じて暗くなる視界。暗幕は、心をも閉じていく。
むしろ、これが夢であってくれたほうがよかった。彼女が自分に振り向いてくれるかもしれないという幻想を、胸に抱き続けることができたから。
まるで、生きる希望まで、もがれたかのようだった。
視界に光が無くなった影響か、意識の中の子供部屋がいつも以上に存在感を強める。
そこかしこが赤く光り輝いている子供部屋にはあの少年少女二人組が立っていて、澄んだ真紅の瞳でじっと俺を見つめていた。
「……ひどいだろ? 俺、あの子のことが、好きだったんだ。明日話しかけようかなって、思ってたんだけど……もう、やめようかな」
声に出して言うと、なおのこと惨めになってくる。
そんな俺を、ルナは、じっと見つめた。
「あの子が大事なら、しばらく見ていなさい」
これ以上、何を見ろってんだ?
見れば見るほど胸が締め付けられる。
やめろ。こんな思いをするのはもうたくさんだ。
うつむいて拳を握りしめた。俺は顔を上げて、幸せそうな二人の後ろ姿を眺める。
気が付けば……
気持ちとは裏腹に、ルナの言うとおり俺は二人の後を追っていた。
二人は、大きなマンションのエントランスから中へと入っていく。俺は二人の後を追おうとしたが、寸前で閉まったオートロックの扉にガアンと衝突してしまった。
はあ? 幽体離脱した幽体が、なんでガラスにぶつかるんだよ!?
このくらい、すり抜けられないのかよ。
意味わかんねー……ったく、使えねぇなぁ……
ああ、これで二人の姿はもう俺には見えない。
誰にも見られない密室で、きっとあいつらは。
俺の見えないところへ行かないで。
そんな男と、二人っきりにならないで……。
俺がそう願った直後。
マンションのエントランスを越えて廊下を歩く二人の姿が、俺の頭の中に突如として現れた仮想映画館のスクリーンへと映し出される。
俺のアバターはこうしてマンションの外にいるし、本体である肉体はもちろん俺の部屋で眠っているはずだから、そんな映像、本来なら見えるはずがないのだ。
だが、今、俺には見えている。これは一体……
「今見えているのは、マンション内に設置された防犯カメラの映像だよ」
疑問を抱く俺へ、ノアが即座に答える。
同時に、電気回路を通じてありとあらゆる機器と繋がる感覚を、俺は理解し始めた。
これは、愛原さんの部屋をのぞいた時と同じ感覚。
脳の隅々まで覚醒したかのような。そう……
繋がっている。接続されている。俺の感覚と世界が、全部。
あのマンションの中にある全ての廊下が見通せる。
全ての部屋の中の電灯が、点灯しているかどうかすらわかる。
三階の奥の部屋。今、部屋の灯りとテレビがついている。
その手前の部屋。部屋の灯りがついて、電子レンジが回っていて、スマホが充電中だ。
四階の一番手前の部屋なんて、PCでエロ動画が流れていることすら把握できるw
俺の意識が、全てと繋がっている。そうとしか表現のしようがない感覚。
愛原さんは、男と一緒にエレベーターに乗っていた。俺はその場面を二人の少し上から見下ろすように眺める。
続いて、声も聞こえてきた。
「一応いつもお酒は置いてるんだけど、俺いっつもハイボールだからさ、そんなに種類ないけど」
「私ぃ、ハイボール大好きだからぁ、ぜーんぜん大丈夫ぅ」
男の腕に抱きつく甘ったるい愛原さんの声が、俺の胸に突き刺さる。
「この音声は何によるものか?」という俺の疑問へ、今度はルナが回答した。
「二人が持っているスマホのマイクだよ」
二人はしばらくマンションの解放廊下を歩いた後、一つのドアの前で立ち止まった。男は鍵のかかっていないそのドアを開ける。
すると今度は、部屋の中と思われる映像が取得できた。
……男たちが何人かいる。いち、に、さん……どうやら三人だ。
「この視点が何か」について、俺はノア・ルナの回答を待つまでもなく瞬時に理解できた。
なぜなら、愛原さんの部屋をのぞいた時と似ていたから。すなわち、壁際の机か何かに置かれたPCのインカメだろう……と思えたのだ。
予想の通り、一人の男が俺の視点のほうへおもむろに近寄り、椅子に座ったような動作をして俺に正対したかと思うと、時折、俺──というより俺のすぐ下あたり──と、手元を交互に見る。
俺のほうを向く男の背後に、目を見開いて目線をせわしく泳がせる愛原さんが映っていた。声は相変わらずクリアに響く。
「遅えよ、ユウキ」
「悪ぃ! でも見ろよ、ジャーン! 愛原さやかちゃんでぇす!」
「すっげえ、めっちゃ可愛いじゃん! グッジョブ、ユウキ」
男たちの会話で、愛原さんの顔は引きつった。
「あ、あれ? お友達がいたのぉ?」
「……ああ、そうなんだ。まあ座ってよ、お酒、用意するからさ」
ユウキと呼ばれた男は、愛原さんの頭を撫でながら耳元で囁く。
怯えた目で男たちを順番に見ながら、彼女は言われるまま座った。
ユウキがキッチンへ向かう。それと一緒に、どうやら別の男が一人ついていったようだ。俺は、キッチンへと向かった二人の映像は見れなかったが、音声は、男たちのスマホマイクによって鮮明に聞き取れた。
飲み物をグラスに入れるような音。
その後、何か袋を破るような音。
「これ、めっちゃ効くから」
「俺、抵抗できなくするのって、ほんと好き。もうこれじゃないとダメだね」
「じゃねえと、こんなことやってねえし」
込み上げる期待感を隠せない男たちの声が、俺の感情を激しく炙り、鼓動をどんどん早くした。
部屋に入ってきた時に見た、怯えた愛原さんの表情が脳裏に浮かぶ。
さっきまでの、なんかフラれた的な絶望感はいつの間にか消え、俺は、ただ、彼女を護ることだけを考え始めていた。
すると、ユウキとは違う別の男が、彼女の身体に抱きつく。
「やっ、ちょっと……」
「さやちゃん可愛いよね。すっごい良い匂い」
愛原さんの首筋に、男が顔を近付ける。
心拍数が上がり、頭がどんどん真っ白になっていく。
どうする? どうする?
薬を飲まされたら、もう彼女は逃げられない。警察もこんなところには……。
警察?
そうだ! 通報すればいいんだ。
いや待てよ! 俺、今、電話かけれる状態?
が、迷ったのは一瞬。
当然ではあるが、ゼウスはその程度のことは当たり前のようにできる。電話機など無くとも「思うだけ」で通話できるのだから。
事件ですか、事故ですかと問いかける110番センターのオペレーターへ、俺は「思うだけ」で、思いを声へと変換し通話する。この場所のことを伝え、続けざまに、何が起こっているのかを慌てて伝えた。
「あなたのお名前と連絡先を教えてください」
落ち着いて、とオペレーターは俺をなだめる。
俺は一瞬迷ったが、今は迷っている場合ではないと判断し、自分の本名と連絡先を正直に伝えた。
「友達が、危ないんです。早く、お願いします!」
こう付け加え、俺は警察を急がせようとした。
「はーい、できまちたよー! サヤちゃん、はいどーぞ、ハイボールだよん」
「…………」
怯えた上目遣いでユウキを見て、飲み物に手を付けようとしない愛原さん。
するとユウキは、かがんで愛原さんに顔を近付け、片手で首を絞めた。
「飲めっつってんだよ。殺すぞ」
「ふぐぅ……」
彼女は、苦しそうに両手でユウキの手首をつかむ。
ユウキは愛原さんの髪を束にして握り、持ち上げて揺さぶった。
「飲め」
愛原さんは、目線をあちこちに這わせながら肩で息をしていた。
手を離したユウキは、そんな愛原さんに顔を近付けて無表情で彼女の目をのぞき込みながら、小首をかしげる。
彼女は涙を浮かべ、震える手でグラスを握った。
くそ……何か……何かないか、何か……!
PCのインカメが捉える画像をただ観察するしかない俺は、意識の中にいる二人の子供をすがるように見る。
すると、歯を噛みしめる俺へ、ノアが。
「言っただろ。お前の力は『神』の力だと」
続いて、ルナも。
「電気回路を使うものは、全部お前の支配下にある。ぜーんぶ、ね」
愛原さんの手が、グラスを口へ運ぶ。
あの柔らかそうで可憐な唇が、男たちの獣欲を満たすための毒を、自ら飲み込もうとする。
やめろおおおおっ!
パツン!
と、部屋の電気が消えた。
「おおっ?」
「なに? なんだよ、おめえ電気代、滞納してたの? 金持ちのくせにバカじゃねえの」
「んなわけねえだろ、そんなもん、親のカードに決まってんだろ! なんだよ、これ」
「電気の接触だろ! 早く別の照明点けろよ」
男たちのざわめきが響く、暗い牢獄の中──。
愛原さんは、素早く立ち上がっていた。その影は、玄関ドアに向かって一直線に動き出す。
部屋の明かりを消したのは俺だった。明かりは、俺が思うだけで、簡単に消えてくれた。
俺は、コンセントに差し込まれたタップのLEDすら、彼女を逃す闇を作るため消した。
だが、あまりにも真っ暗闇だと愛原さんが出口への道のりを把握できない。だから、俺が部屋内を現状把握する意味も多少は込めて、画面から光りを放つPCだけは電源を切らなかった。
しかし結局は、というか当然のことながら、男たちもその光で愛原さんの動きを察知する。すぐさまユウキが叫んだのだ。
「おい! 女が逃げるぞ、捕まえろ!」
俺は、シーリングライトやテレビの電気を点け、そしてまた消した。部屋にある、ありとあらゆる光を灯す機器を操作していく。
「なっ!」
「なんだよ、これ……」
「ぽ、ポルターガイスト……?」
バアン、と鳴る大きな音。おそらく、タイミング的に愛原さんが玄関ドアを開けた音だ。
案の定、廊下に設置された防犯カメラの映像には、一室のドアが勢いよく開いて解放限界位置で跳ね返り、一人の女性が駆け出すのが見えた。
同時に俺は、今現在この階にエレベーターが来ていないことを把握し、直ちに操作する。
愛原さんは裸足でエレベーターへ向かって走っていた。防犯カメラの映像が、ほんの一〇メートルほど後方から追ってくる男たちを映し出す。
「待てこらああっ」
俺は、彼女が通り過ぎたあとの電灯を、電圧を操作して順番に破壊した。彼女が通り過ぎるごとに、廊下の天井に設置された電灯は一つずつ割れていく。
「うおっ!」
「なんだこれ、やっぱやばいってソウちゃん! あの女、幽霊じゃね?」
「アホめ、とち狂ってんじゃねえ! あいつ逃したら、俺らサツに追われちまうんだぞ! 捕まえて閉じ込めんだよ!」
エレベーターに飛び込んだ愛原さんは、「閉」のボタンを連打した。
「お願いいいいっ! 閉まってえええっ」
泣き叫ぶように声を絞り出す。追いかけてくる男たちの目の前で、辛うじて扉が閉まる。
が、外で「開」のボタンに手が届けばこじ開けられてしまうかもしれないギリギリのタイミングだ。
なので、俺は外のボタンの通電だけを切ってやる。外で「開」のボタンを連打するユウキが、悪態をつきながらエレベーターの窓から愛原さんを睨みつけた。
「クソっ! ……おい! 階段だ!」
このまま階段ダッシュされた場合……多少は愛原さんが先に着くかもしれないが、彼女が逃げ切れるほどの余裕は作ってあげられないかもしれない。
エレベーターが一階に到着した。
正面エントランスの外にいる俺のアバターは、扉が開き切るのを待てずに肩を扉に当てながら強引に飛び出してくる愛原さんを視界に入れた。
同時に、階段を駆け降りてメインエントランスに進入してきた男たちの姿も補足する。
俺はその様子を食い入るように睨みながら、汗まみれになった手を握りしめていた。
……汗だって?
アバターのはずなのに。実体を伴わない、仮の姿のはずなのに。
アバターは、まるで俺の心境をそのまま表しているかのようだった。
愛原さんは、涙を撒き散らしながら必死に走る。
正面に、オートロックのドアが。俺はドアを強制的に開けた。
お願いだ。間に合って……
俺はそう願いながら、彼女が通り過ぎるタイミングを見計らってドアを閉め始める。
このまま俺が強引にドアを閉め続ければ、奴らは開けられない。これで彼女は……。
しかし、すんでのところでユウキの手が愛原さんの髪をつかんだ。
「へっ……へへへへへっ! このアマ……手こずらせやがってよ」
俺はドアを停止させる。このままじゃ、愛原さんの首が挟まれてしまうからだ。
俺はアバターである自分の手を伸ばし、愛原さんの手を掴みにいく。この幽体はガラスにぶつかったのだから、人間に触れることもできるはずだ。
案の定、ぎゅ、っと握れた。
その一瞬。
一瞬だけ、俺は、愛原さんと目が合った気がした。
俺は、そのままなんとかして彼女を引っ張り出そうとする。
が……汗で滑ったせいなのか、それとも幽体では彼女を助け出すほどの力がなかったのか、俺の手は彼女の手からズルっと離れ、ユウキは髪を引っ張って彼女をエントランスへ引き戻す。
何か手はないかと焦りながら瞬間的に思いついた案。俺はエントランスの電源を落とした。
またもや発生した謎の心霊現象に男たちがザワザワと低い声で会話する中、ユウキだけが、建物の外から差し込む照明の明かりを反射させた冷徹な瞳を光らせ、周りを警戒していた。
「……誰かがやってやがるな。さっきからタイミングが良すぎる。誰だ! 出てきやがれクソがあっ」
まるで犬の首輪の鎖を握るように、床に座り込む愛原さんの髪を束にして握るユウキ。
むせび泣く愛原さんの声がエントランスに響く。
「うるさ。おい、黙れよ」
ユウキは、握っている髪を引き上げて愛原さんを無理やり立たせ、正面から首をつかんで壁に叩きつけた。
「ぐえっ」
彼女のこんな声を、今日、何度聞いた?
彼女の声が、表情が、涙が、俺の脳の温度を限りなく上げ、自制心をゼロにしていく。
……殺してやる。
荷物を運ぶためにマンションの近くで作動したまま停車していた自動車が一台あった。俺は、その車がゼウス・システムと連携した自動運転システムを採用していることを把握する。
運転者が外に出ていたその車は俺の意思を反映して突如として動き出し、エントランスに向かって突っ込んでいった。男たちは、その車に運転手がいないことに気付いた時、戦慄しただろう。
……車の軌跡は正確にコントロールできる。大丈夫だ、彼女に当てずに奴らだけを轢き殺してやる!
落雷のような音を轟かせ、地震のような衝撃を響かせ。
車は、エントランスに突っ込んだ。
遠くの方から微かにサイレンの音がする。同時に、爆音を聞いた人々が大勢駆け寄ってくる。警察はすぐに到着し、現場は騒然となった。
エントランスの床に座り込む愛原さんは、無事に警察に保護された。
俺は愛原さんの無事を確認し、彼女の安心し切った顔を見て、アバターのくせに、なぜか目に涙が溜まってしまった。
今、俺はなぜか繁華街の真っ只中にいる。
あまりにもリアル。
こんな現実じみた街中で……
愛原さんのカラダを見たいと願ったはずの俺は、ただ一人、身体を光らせていた。
こんなに光っているのに、誰も俺のことを見ようともしない。危ない奴と目線を合わさないようにしている……というふうにも見えない。まるで気付いていない感じだ。
まるで夢。だが、これが夢ではないことを俺は知っている。
睡眠薬「ヒュプノス」を飲んで、眠りにつこうとするまでの記憶はきちんと脳に刻まれているから。そして、眠っている間だけ発動する俺の特殊能力「アストラル・プロジェクション」とやらのこともだ。
などと考え事をしながらキョロキョロしていると、真正面から歩いてくる二人組に、俺の目は釘付けになった。同時に、動悸が、息切れが、俺の身体の自由を奪う。
……愛原さん。
と、隣の奴は……見たことのない男。
すごく男前だ。細いが筋肉質で、そして背が高い。服装だってオシャレにしている。
俺は胸を握りつぶされたようになった。心臓の辺りに手をやり、かきむしる。
彼氏?
間違いない。だって、手を繋いでいるんだから。
見ていられずに二人から目をそらす。
薄々わかっていたことだ。なんら驚くことじゃない。望みが叶わないことなんて。
世の中そんな都合よくできていないんだ。今までだって、ずっとそうだったじゃないか。
そう。いつものこと……
でも。
俺だって、これから頑張ろうとしてたんだ。
神様。少しくらい、チャンスをくれたっていいのに……。
愛原さんは、俺のすぐそばを、俺を完全に無視して、これ以上ないと言わんばかりに幸せそうな顔をして通り過ぎていった。
強く目を閉じて暗くなる視界。暗幕は、心をも閉じていく。
むしろ、これが夢であってくれたほうがよかった。彼女が自分に振り向いてくれるかもしれないという幻想を、胸に抱き続けることができたから。
まるで、生きる希望まで、もがれたかのようだった。
視界に光が無くなった影響か、意識の中の子供部屋がいつも以上に存在感を強める。
そこかしこが赤く光り輝いている子供部屋にはあの少年少女二人組が立っていて、澄んだ真紅の瞳でじっと俺を見つめていた。
「……ひどいだろ? 俺、あの子のことが、好きだったんだ。明日話しかけようかなって、思ってたんだけど……もう、やめようかな」
声に出して言うと、なおのこと惨めになってくる。
そんな俺を、ルナは、じっと見つめた。
「あの子が大事なら、しばらく見ていなさい」
これ以上、何を見ろってんだ?
見れば見るほど胸が締め付けられる。
やめろ。こんな思いをするのはもうたくさんだ。
うつむいて拳を握りしめた。俺は顔を上げて、幸せそうな二人の後ろ姿を眺める。
気が付けば……
気持ちとは裏腹に、ルナの言うとおり俺は二人の後を追っていた。
二人は、大きなマンションのエントランスから中へと入っていく。俺は二人の後を追おうとしたが、寸前で閉まったオートロックの扉にガアンと衝突してしまった。
はあ? 幽体離脱した幽体が、なんでガラスにぶつかるんだよ!?
このくらい、すり抜けられないのかよ。
意味わかんねー……ったく、使えねぇなぁ……
ああ、これで二人の姿はもう俺には見えない。
誰にも見られない密室で、きっとあいつらは。
俺の見えないところへ行かないで。
そんな男と、二人っきりにならないで……。
俺がそう願った直後。
マンションのエントランスを越えて廊下を歩く二人の姿が、俺の頭の中に突如として現れた仮想映画館のスクリーンへと映し出される。
俺のアバターはこうしてマンションの外にいるし、本体である肉体はもちろん俺の部屋で眠っているはずだから、そんな映像、本来なら見えるはずがないのだ。
だが、今、俺には見えている。これは一体……
「今見えているのは、マンション内に設置された防犯カメラの映像だよ」
疑問を抱く俺へ、ノアが即座に答える。
同時に、電気回路を通じてありとあらゆる機器と繋がる感覚を、俺は理解し始めた。
これは、愛原さんの部屋をのぞいた時と同じ感覚。
脳の隅々まで覚醒したかのような。そう……
繋がっている。接続されている。俺の感覚と世界が、全部。
あのマンションの中にある全ての廊下が見通せる。
全ての部屋の中の電灯が、点灯しているかどうかすらわかる。
三階の奥の部屋。今、部屋の灯りとテレビがついている。
その手前の部屋。部屋の灯りがついて、電子レンジが回っていて、スマホが充電中だ。
四階の一番手前の部屋なんて、PCでエロ動画が流れていることすら把握できるw
俺の意識が、全てと繋がっている。そうとしか表現のしようがない感覚。
愛原さんは、男と一緒にエレベーターに乗っていた。俺はその場面を二人の少し上から見下ろすように眺める。
続いて、声も聞こえてきた。
「一応いつもお酒は置いてるんだけど、俺いっつもハイボールだからさ、そんなに種類ないけど」
「私ぃ、ハイボール大好きだからぁ、ぜーんぜん大丈夫ぅ」
男の腕に抱きつく甘ったるい愛原さんの声が、俺の胸に突き刺さる。
「この音声は何によるものか?」という俺の疑問へ、今度はルナが回答した。
「二人が持っているスマホのマイクだよ」
二人はしばらくマンションの解放廊下を歩いた後、一つのドアの前で立ち止まった。男は鍵のかかっていないそのドアを開ける。
すると今度は、部屋の中と思われる映像が取得できた。
……男たちが何人かいる。いち、に、さん……どうやら三人だ。
「この視点が何か」について、俺はノア・ルナの回答を待つまでもなく瞬時に理解できた。
なぜなら、愛原さんの部屋をのぞいた時と似ていたから。すなわち、壁際の机か何かに置かれたPCのインカメだろう……と思えたのだ。
予想の通り、一人の男が俺の視点のほうへおもむろに近寄り、椅子に座ったような動作をして俺に正対したかと思うと、時折、俺──というより俺のすぐ下あたり──と、手元を交互に見る。
俺のほうを向く男の背後に、目を見開いて目線をせわしく泳がせる愛原さんが映っていた。声は相変わらずクリアに響く。
「遅えよ、ユウキ」
「悪ぃ! でも見ろよ、ジャーン! 愛原さやかちゃんでぇす!」
「すっげえ、めっちゃ可愛いじゃん! グッジョブ、ユウキ」
男たちの会話で、愛原さんの顔は引きつった。
「あ、あれ? お友達がいたのぉ?」
「……ああ、そうなんだ。まあ座ってよ、お酒、用意するからさ」
ユウキと呼ばれた男は、愛原さんの頭を撫でながら耳元で囁く。
怯えた目で男たちを順番に見ながら、彼女は言われるまま座った。
ユウキがキッチンへ向かう。それと一緒に、どうやら別の男が一人ついていったようだ。俺は、キッチンへと向かった二人の映像は見れなかったが、音声は、男たちのスマホマイクによって鮮明に聞き取れた。
飲み物をグラスに入れるような音。
その後、何か袋を破るような音。
「これ、めっちゃ効くから」
「俺、抵抗できなくするのって、ほんと好き。もうこれじゃないとダメだね」
「じゃねえと、こんなことやってねえし」
込み上げる期待感を隠せない男たちの声が、俺の感情を激しく炙り、鼓動をどんどん早くした。
部屋に入ってきた時に見た、怯えた愛原さんの表情が脳裏に浮かぶ。
さっきまでの、なんかフラれた的な絶望感はいつの間にか消え、俺は、ただ、彼女を護ることだけを考え始めていた。
すると、ユウキとは違う別の男が、彼女の身体に抱きつく。
「やっ、ちょっと……」
「さやちゃん可愛いよね。すっごい良い匂い」
愛原さんの首筋に、男が顔を近付ける。
心拍数が上がり、頭がどんどん真っ白になっていく。
どうする? どうする?
薬を飲まされたら、もう彼女は逃げられない。警察もこんなところには……。
警察?
そうだ! 通報すればいいんだ。
いや待てよ! 俺、今、電話かけれる状態?
が、迷ったのは一瞬。
当然ではあるが、ゼウスはその程度のことは当たり前のようにできる。電話機など無くとも「思うだけ」で通話できるのだから。
事件ですか、事故ですかと問いかける110番センターのオペレーターへ、俺は「思うだけ」で、思いを声へと変換し通話する。この場所のことを伝え、続けざまに、何が起こっているのかを慌てて伝えた。
「あなたのお名前と連絡先を教えてください」
落ち着いて、とオペレーターは俺をなだめる。
俺は一瞬迷ったが、今は迷っている場合ではないと判断し、自分の本名と連絡先を正直に伝えた。
「友達が、危ないんです。早く、お願いします!」
こう付け加え、俺は警察を急がせようとした。
「はーい、できまちたよー! サヤちゃん、はいどーぞ、ハイボールだよん」
「…………」
怯えた上目遣いでユウキを見て、飲み物に手を付けようとしない愛原さん。
するとユウキは、かがんで愛原さんに顔を近付け、片手で首を絞めた。
「飲めっつってんだよ。殺すぞ」
「ふぐぅ……」
彼女は、苦しそうに両手でユウキの手首をつかむ。
ユウキは愛原さんの髪を束にして握り、持ち上げて揺さぶった。
「飲め」
愛原さんは、目線をあちこちに這わせながら肩で息をしていた。
手を離したユウキは、そんな愛原さんに顔を近付けて無表情で彼女の目をのぞき込みながら、小首をかしげる。
彼女は涙を浮かべ、震える手でグラスを握った。
くそ……何か……何かないか、何か……!
PCのインカメが捉える画像をただ観察するしかない俺は、意識の中にいる二人の子供をすがるように見る。
すると、歯を噛みしめる俺へ、ノアが。
「言っただろ。お前の力は『神』の力だと」
続いて、ルナも。
「電気回路を使うものは、全部お前の支配下にある。ぜーんぶ、ね」
愛原さんの手が、グラスを口へ運ぶ。
あの柔らかそうで可憐な唇が、男たちの獣欲を満たすための毒を、自ら飲み込もうとする。
やめろおおおおっ!
パツン!
と、部屋の電気が消えた。
「おおっ?」
「なに? なんだよ、おめえ電気代、滞納してたの? 金持ちのくせにバカじゃねえの」
「んなわけねえだろ、そんなもん、親のカードに決まってんだろ! なんだよ、これ」
「電気の接触だろ! 早く別の照明点けろよ」
男たちのざわめきが響く、暗い牢獄の中──。
愛原さんは、素早く立ち上がっていた。その影は、玄関ドアに向かって一直線に動き出す。
部屋の明かりを消したのは俺だった。明かりは、俺が思うだけで、簡単に消えてくれた。
俺は、コンセントに差し込まれたタップのLEDすら、彼女を逃す闇を作るため消した。
だが、あまりにも真っ暗闇だと愛原さんが出口への道のりを把握できない。だから、俺が部屋内を現状把握する意味も多少は込めて、画面から光りを放つPCだけは電源を切らなかった。
しかし結局は、というか当然のことながら、男たちもその光で愛原さんの動きを察知する。すぐさまユウキが叫んだのだ。
「おい! 女が逃げるぞ、捕まえろ!」
俺は、シーリングライトやテレビの電気を点け、そしてまた消した。部屋にある、ありとあらゆる光を灯す機器を操作していく。
「なっ!」
「なんだよ、これ……」
「ぽ、ポルターガイスト……?」
バアン、と鳴る大きな音。おそらく、タイミング的に愛原さんが玄関ドアを開けた音だ。
案の定、廊下に設置された防犯カメラの映像には、一室のドアが勢いよく開いて解放限界位置で跳ね返り、一人の女性が駆け出すのが見えた。
同時に俺は、今現在この階にエレベーターが来ていないことを把握し、直ちに操作する。
愛原さんは裸足でエレベーターへ向かって走っていた。防犯カメラの映像が、ほんの一〇メートルほど後方から追ってくる男たちを映し出す。
「待てこらああっ」
俺は、彼女が通り過ぎたあとの電灯を、電圧を操作して順番に破壊した。彼女が通り過ぎるごとに、廊下の天井に設置された電灯は一つずつ割れていく。
「うおっ!」
「なんだこれ、やっぱやばいってソウちゃん! あの女、幽霊じゃね?」
「アホめ、とち狂ってんじゃねえ! あいつ逃したら、俺らサツに追われちまうんだぞ! 捕まえて閉じ込めんだよ!」
エレベーターに飛び込んだ愛原さんは、「閉」のボタンを連打した。
「お願いいいいっ! 閉まってえええっ」
泣き叫ぶように声を絞り出す。追いかけてくる男たちの目の前で、辛うじて扉が閉まる。
が、外で「開」のボタンに手が届けばこじ開けられてしまうかもしれないギリギリのタイミングだ。
なので、俺は外のボタンの通電だけを切ってやる。外で「開」のボタンを連打するユウキが、悪態をつきながらエレベーターの窓から愛原さんを睨みつけた。
「クソっ! ……おい! 階段だ!」
このまま階段ダッシュされた場合……多少は愛原さんが先に着くかもしれないが、彼女が逃げ切れるほどの余裕は作ってあげられないかもしれない。
エレベーターが一階に到着した。
正面エントランスの外にいる俺のアバターは、扉が開き切るのを待てずに肩を扉に当てながら強引に飛び出してくる愛原さんを視界に入れた。
同時に、階段を駆け降りてメインエントランスに進入してきた男たちの姿も補足する。
俺はその様子を食い入るように睨みながら、汗まみれになった手を握りしめていた。
……汗だって?
アバターのはずなのに。実体を伴わない、仮の姿のはずなのに。
アバターは、まるで俺の心境をそのまま表しているかのようだった。
愛原さんは、涙を撒き散らしながら必死に走る。
正面に、オートロックのドアが。俺はドアを強制的に開けた。
お願いだ。間に合って……
俺はそう願いながら、彼女が通り過ぎるタイミングを見計らってドアを閉め始める。
このまま俺が強引にドアを閉め続ければ、奴らは開けられない。これで彼女は……。
しかし、すんでのところでユウキの手が愛原さんの髪をつかんだ。
「へっ……へへへへへっ! このアマ……手こずらせやがってよ」
俺はドアを停止させる。このままじゃ、愛原さんの首が挟まれてしまうからだ。
俺はアバターである自分の手を伸ばし、愛原さんの手を掴みにいく。この幽体はガラスにぶつかったのだから、人間に触れることもできるはずだ。
案の定、ぎゅ、っと握れた。
その一瞬。
一瞬だけ、俺は、愛原さんと目が合った気がした。
俺は、そのままなんとかして彼女を引っ張り出そうとする。
が……汗で滑ったせいなのか、それとも幽体では彼女を助け出すほどの力がなかったのか、俺の手は彼女の手からズルっと離れ、ユウキは髪を引っ張って彼女をエントランスへ引き戻す。
何か手はないかと焦りながら瞬間的に思いついた案。俺はエントランスの電源を落とした。
またもや発生した謎の心霊現象に男たちがザワザワと低い声で会話する中、ユウキだけが、建物の外から差し込む照明の明かりを反射させた冷徹な瞳を光らせ、周りを警戒していた。
「……誰かがやってやがるな。さっきからタイミングが良すぎる。誰だ! 出てきやがれクソがあっ」
まるで犬の首輪の鎖を握るように、床に座り込む愛原さんの髪を束にして握るユウキ。
むせび泣く愛原さんの声がエントランスに響く。
「うるさ。おい、黙れよ」
ユウキは、握っている髪を引き上げて愛原さんを無理やり立たせ、正面から首をつかんで壁に叩きつけた。
「ぐえっ」
彼女のこんな声を、今日、何度聞いた?
彼女の声が、表情が、涙が、俺の脳の温度を限りなく上げ、自制心をゼロにしていく。
……殺してやる。
荷物を運ぶためにマンションの近くで作動したまま停車していた自動車が一台あった。俺は、その車がゼウス・システムと連携した自動運転システムを採用していることを把握する。
運転者が外に出ていたその車は俺の意思を反映して突如として動き出し、エントランスに向かって突っ込んでいった。男たちは、その車に運転手がいないことに気付いた時、戦慄しただろう。
……車の軌跡は正確にコントロールできる。大丈夫だ、彼女に当てずに奴らだけを轢き殺してやる!
落雷のような音を轟かせ、地震のような衝撃を響かせ。
車は、エントランスに突っ込んだ。
遠くの方から微かにサイレンの音がする。同時に、爆音を聞いた人々が大勢駆け寄ってくる。警察はすぐに到着し、現場は騒然となった。
エントランスの床に座り込む愛原さんは、無事に警察に保護された。
俺は愛原さんの無事を確認し、彼女の安心し切った顔を見て、アバターのくせに、なぜか目に涙が溜まってしまった。
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