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夫の癌⑤

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医師「最悪の事態を覚悟して下さい。」

私「どうしたら、よいですか?」

医師「リンパに転移しているので、オペは出来ません。検査の予約が1ヶ月後で、ベッドの空きは3ヶ月待ちです。」

 私は泣きながら言いました。

「そんな事してたら死んじゃうじゃないですか?」

医師「オペが必要な方が優先ですから。」

 私は薬や会計を待つ間、悔しくて涙が止まりませんでした。

 外来の医師は、手術時の主治医ではありませんでした。
 手術時の医師は、他の病院に移動されていました。移動先の病院を教えて頂き、電話しました。

 すると、すぐに入院して点滴での抗がん剤治療が出来るとの事でした。
 
 その後夫の会社に電話しました。夫は工事の仕事で不在でした。
 社長と奥様、職人が5人位の小さな会社です。電話には奥様が出ました。
 事情を話し、私は主人に伝える前に、奥様に言いました。

「明日から半年、抗がん剤治療の為、主人を休ませます。」

 帰って来た夫は、突然の事に驚いていましたが、素直に入院してくれました。

 入院先の病院は、老人病院と呼ばれている所でした。寝たきりの方がほとんどでした。

 二週間入院して抗がん剤を点滴し退院、二週間は自宅、又二週間入院して抗がん剤治療を半年間続けました。
 







 
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