捕獲されました。酷い目にあう前に死にたいのですが、友人が自分の命を無理やり預けて行ったので、そうもいきません。早く返してしまいたい。

ともっぴー

文字の大きさ
9 / 92

9 最後ちょこっとアリア(王妃候補)

しおりを挟む
***レイラ


美味しそうだった食事は緊張のせいで、味が分からなくなっていた。1つ飲み込めば、次が差し出される。何度か肉を食べると、今度はちぎったパンを摘まんだ手が差し出された。
指まで食べてしまいそうだと思って気を付けて食べたつもりだけれど、ご主人様の指が唇を掠めて思わず、後ろに少しのけ反った。

「なんだ?どうした。」

「あ、あの、指が、、触れて、、驚きました。」

ご主人様は、自分の指を見つめて、それから、その指で私の唇をなぞってきた。ぐっと距離が近付いて、慌てて逃れようとしたら、体が横に倒れ、片肘がソファーに付いた。
すかさず覆い被さってくる。

「これも、俺のものだろう?」

「、、は、はい、」

「その顔はいいな。いい気分になる。」

「、、、」

ご主人様は満足して離れてくれたけれど、私はとても、いい気分にはなれそうにない。

「ふん、怯えなくてもいい。触れるだけだ。」

「はい、、、」



奇妙な食事が終わり、やっと解放された私は、再び部屋に行けと言われて、部屋に戻った。
する事もないので、部屋の中をじっくり見て回ると、とても可愛らしく整えられている事に気が付いた。寝室の真ん中には天蓋付きのベッドが置いてあって、壁際には可愛いドレッサーも置かれてある。大きいクローゼットには、淡い色合いの素敵なドレスが沢山入っていた。客間という感じでもなさそうで、一体誰の部屋なんだろう、と疑問に思った。ドアがあったので開けてみると、洗面所とお風呂も付いていた。横にもう1つドアがあったので開けようとしたけれど、そのドアは鍵がかかっていた。

ふぅ、と息を付いてベッドに座ると、柔らかく私のお尻を受け止めてくれた。さっき、眠ったばかりなのに、再び目蓋が重くなる。

**

目が覚めた時、ベッドの横に女の人が立っていた。目が合うと、今日からお世話致します。と無愛想に言われた。

「い、いいえっっ、私は、自分の事はできますから」

慌てて言うと、顔をしかめられ、ピシャリと言われた。

「陛下のご命令ですから、あなたの指図は受けません。」

「、、、すみません、」

「分かれば結構です。陛下は今日は戻りませんから、夕食は一人でなさって下さい。」

パンを1つ手渡された。これだけ?と思って見つめれば、いきなり怒ってくる。

「何ですか? 足りませんか? 本当に図々しい女ですね。」

とても嫌われているようだ。

「いえ、十分です。ありがとうございます。」

「それから、部屋の物には触らないで下さいね。 この部屋はアリア様の物ですから。」

ふんっ、と息巻きながら、その女の人は部屋を出ていった。直後にがちゃりと、音がする。まさか、だよね、、と思って立ち上がると、さっき痛めた足首痛い。ひょこひょこと歩いてドアを確かめると、鍵がかかっていた。
手渡されたパンはとても固く、口の中の水分が、みるみる吸い取られていく。飲み物を飲もうとしたけれど、水差しは空だった。水を求めて洗面所に行ったけど、蛇口を捻っても水が出ない。
お風呂は、、と思って確かめるとお風呂も水が出なかった。ハッとしてトイレの水を流してみた。勢いよく流れてくれて、胸を撫で下ろした。

水を飲むのは諦めて、早めにベッドに横になった。痛む足を確認してみると、腫れの他に、足枷のせいで擦りむけていた。
落とされた時に鎖に挟まれたのか、内腿にも痛々しい跡がある。気付いてしまうと急に痛さを感じてきた。
怪我の痛さと、沢山昼寝した事が合わさって、なかなか眠れなかった。魔力が使えたら、怪我も水だって何とでもなるのに、、、仕方のないことばかりうじうじと考えていた。



翌日、朝早くに鍵の音がして目が覚めた。昨日と同じ女の人がノックもせずに部屋に入って来て、

「まさか、またベッドで寝ていたんですか!?アリア様のものです! 床で寝なさい!!」

と引きずり落とされた。足首も痛いのに、腰まで打って、動けないでいると、何かを投げつけてきた。

「着替えです。いつまでもそんなお姫様みたいな格好では困ります。」

確かにこの豪華な衣装は肩が凝るけれど、渡された着替えは、服と言っていいのか、、布袋に穴を開けただけの様な物だった。一応長さはあるので、足は隠れそうだけれど、、、

「これ、、ですか?」

と、おどおどしながら聞くと、頬を叩かれた。

「何て生意気なのっ!! アリア様に言いつけてやるわっ!」

アリア様って誰ですか、とは聞けなかった。



***アリアの部屋にて***

「待って、エミリ、あなた本当にそんなことしてきたの!?」

「当然です。あの女、本当に図々しくて嫌になりますよ。ああでも、ひっぱたいた時の顔は最高でした。アリア様にも見て頂きたかったです。」

「あぁ、駄目よそんなことしては、、陛下がお気付きになられたらどうするつもりなの?」

「大丈夫です。いいドレスを身に付けていたから少しばかり綺麗に見えてたんです。今は汚い服を着させてますから、陛下も目を覚ましますよ。それよりアリア様、お迎えする準備をしないといけませんね。」

あぁエミリ、あなたは本当に困った娘。そんな事をしてはとても庇いきれない。
でも、それなら、、

「そうね、エミリ、確かに陛下をお迎えする準備は必要ね。ありがとう。」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

処理中です...