捕獲されました。酷い目にあう前に死にたいのですが、友人が自分の命を無理やり預けて行ったので、そうもいきません。早く返してしまいたい。

ともっぴー

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**レイラ

いつもの様にお昼を陛下と過ごしていた。
今日は熱々のグラタンで、スプーンですくわれたグラタンが、熱々のまま口の前に差し出された。息を吹き掛けてしまったら陛下の顔にまで掛かりそうで、じっと冷めるのを待っている。

「そうだレイラ、レイラと同じジェミューの女が捕まったと聞いた。」

気付いてくれたのか、グラタンは一度下ろされ、今度は野菜を刺したフォークを私の口へと運びながら、陛下が言った。

「え!?」

ドキンと心臓が跳ねた。

「く、詳しく、分かりますか?」

声が震えた。冷や汗が出てきた。

「若い女だと言っていたな。隣国に連れて行くのだと。」

自分が捕まった時の恐怖を思い出していた。捕まってしまったのが知っている人だったらどうしよう、、、カタカタ震えた。

「レイラ、どうした? 恐いのか? 震えている。」

陛下がフォークを置き、両手で顔を包んだ。
コクコクと頷くと、目に溜まった涙がこぼれた。

「恐い思いをしたか?」

また、コクコクと頷くと、空気が変わって、はっとした。

「誰が恐い思いをさせた?」

陛下の様子が変だ。陛下の方が恐くて、涙が引っ込んだ。

「、、、あ、あの、知っている人だったらと思うと悲しくて、、」

「マイクか?」

「いいえっ マイクは親切にしてくれました。そ、それよりも、ぶ、無事かどうかは、分かりますか?」

私は慌てた。確かに恐い思いはしたけれど、個人をどうにかして欲しい訳じゃない。それにマイクは親切だった。

「マイク、か、、、、気になるのなら調べておこう。」

「ありがとうございます。」

私に、何か出来ることがあったらいいのに、、

「、、、あの、どうして、私達はこんな目にあうのでしょうか、、?」

ふと思った事が、口から出た。言った後で、あっ、と思ったけど、陛下は怒ったりせず、静かに私を見た。

「レイラは今も、辛いのか?」

「え? ええと、、私は、今は、安全だと思っています。」

どきっとした。事情を話したら手を貸してくれるのだろうか、、、この人は、私達の味方になってくれるのだろうか、、見つめられると、取り込まれてしまいそうだ。

「以前、死ねない、と言ったな。」

「、、私には、やることがありますので。」

「シン、とは誰だ?」

急に名前を出されて動けなくなった。
揺らぎ掛けた気持ちを押し止める。いけない。信用してしまいそうになっていた。私が今ここにいることが何よりの事実だ。シンまで巻き込めない。私は捕まって、ここで飼われている。

「友人ですが、私の事ではないので言えません。」

「ふん」

置いていたフォークがまた、口に運ばれてきた。不機嫌に見えて、急いで食べた。
毎回のことだけど、凝視されながら食べるというのは慣れない。録に噛めずに飲み込んだ。
ごくり、と喉が鳴る。
陛下の、延びてきた冷たい手が喉を撫でた。

「やること、が終わったらどうなる?」

「ひっ、、、」

喉を触られるのは恐い。聞かれた質問を理解するのに時間がかかった。
そして、理解して、、返事が、出来なかった。以前は命を返して死ぬことばかり考えていた。
今は、、、

「死にたいと思うのか?」

「、、、わ、分かりません、、」

ここで生きる意味はない。けれど、命を投げるほどの苦痛はない。けれど、、、けれど、、、考えれば考える程、本当に分からなかった。




「ねぇジュリ、私、図書館の事、諦めたほうがいいのかしら。」

仕事に行く陛下を見送った後、ジュリの顔を見て図書室のことを思い出した。

「陛下にお聞きになったのですか?」

「いいえ、聞けなかったの。ただ、私はここで飼われてるんだって、思い出しちゃって。図書館に行ってみたいだなんて、言えそうもないわ。」

「お嬢様は陛下の前で緊張し過ぎではないですか? もっと甘えてみたらお喜びになるんじゃないでしょうか?」

「甘えるだなんてとんでもない。喜ぶ訳ないでしょう。だってこれは監禁よ。いろいろ言える立場じゃないわ。」

「ふふ。監禁というよりは、陛下はあまりお嬢様を他人に見せたくないみたいですね。独占欲でしょうか?」

「独占欲?」

「だって、お世話係の私ですら嬢様のお名前を呼ぶのを禁じられていますし。」

「え?」

「気付いていませんでした? 以前、オリバーさんのお店から来た従業員が、お嬢様の事を呼び捨てにしたとかって、すごく怒っていたらしいですよ。それに、エミリさんも、、、あ、ごめんなさい、それは駄目でしたね。ええと、とにかく、その直ぐ後にお世話係を決めるってなって、みんな恐がっちゃって、いつの間にか私が押し付けられました。あ、内緒です。」

独占欲、、、確かに奇妙な食事や夜中の観察等、思い当たる事もある。けれど、珍品を手にして一時的に執着してるだけにも思えた。

「飽きたら殺されるのかしら、、、」

ぽろりと出た言葉にジュリが反応していたのだけど、私はシンの事を考えていた。

「飽きる以前に、今まで興味を持たれる物がありませんでしたから。」


***シン視点***

ジェミューは幻の様に思われているが、全く出歩かない訳ではない。気付かれないようにする術は持っている。
都合の良いことに、俺は昔から手先が器用で、特に偽装と細工には自信があった。

レイラを追って王宮の前まで辿り着いた俺は、近付く為の策を考えていた。

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