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***ジュリ視点***
お嬢様が今だにシンさんの事を気にしていているなんて、考えもしなかった。
「何処に居るか知って、どうするつもりですかっっ!? たっ、ただの、友人だと言っていませんでしたか!?」
お嬢様は陛下の事だけを考えていればそれでいいのに。私はすっかり取り乱してお嬢様に詰めよった。
「ジュリ、ごめんね、落ち着いて。シンは友人だから、気になるのよ」
お嬢様はおどおどと答えた。
「でも、あんまりですっ! 陛下はあんなに、、 あっ、 そっか、そうでした。お嬢様はシンさんに返す物があるのでしたね。」
ふいに、以前お嬢様と話した事を思い出して、ほっとした。
ところが予想外の返事が返ってきた。
「あ、、いえ、それはもう返せたわ。」
「え! いつですかっ!?」
私の知らない間にまた何か起きたのかと焦った。
「ええと、、ほら、あの騒ぎの時、、」
「え? 騒ぎの時、ですか?」
騒ぎの時にはそんな余裕なんてなかった筈なのに。
「その、、あの時、それを口移ししたのよ。」
言いにくそうにお嬢様が言った。私はそんなお嬢様が信じられなかった。
「そっ、それは、あの時のは、くくく口付けとは違うっていう事ですか!?」
「ええと、口付け言われたら口付けでしょうけど、返す為のものというか、、」
「お嬢様っっ! そっ、その事は、陛下はご存知ですかっっ!?」
教えていないのなら、酷い。酷すぎる。
「え、ええと、言おうとはしているのよ、だけど、何だか恐くて言えないのよ。黙れって、言われちゃったし、、、」
「お嬢様っっ、、、!!」
陛下のお心を思うと悔しくて悲しくて堪らなくて、涙が浮かんだ。お嬢様はどうして陛下の事をもっと考えてくれないのだろう。
目の前であんな光景を見せられた陛下のお気持ちは計り知れない。残酷過ぎた。シンという男とお揃いのピアスを見付けた陛下の姿は、何ともいえず、私が代わりにお嬢様を問い詰めたいと思った。
けれど、私はそこまで踏みいっていい程の立場ではなくて、探りを入れるのがやっとだった。
私がお嬢様だったら良かったのにと、無駄なことを何度考えた事か、、、
「え? ジュリ? どうしたの?」
お嬢様は酷すぎる。
「陛下に、ちゃんと説明してください!」
「え? え? だから、会話もしてもらえなくて、、、」
「でもっ、、 あっ、ピアスはっ、あのピアスの事もまさか伝えていないのですか!?」
「そうだけど、、」
「あんまですっっ!!」
「え? どうして?」
どうして?、なんて。そんな風だから陛下は余計に傷つくのだ。今にも涙はこぼれ落ちそうだ。
「どうしてって、、、陛下どんな気持ちでいることか、、」
「え? え? ジュリ? な、泣かないで。」
「泣いていませんっっ!」
悔しくてそう言ったけど、大粒の涙が、ぼろぼろ落ちた。もどかしくて堪らない、お嬢様は陛下の望むままにいなくてはならないのに。
***レイラ視点
ジュリに泣きながら罵られていた私は、取り乱す彼女の首元でペンダントが揺れているのに気付いて目をとられた。いつもは服の中に入っているそれは、走った時に飛び出たのだろうか。
ペンダントには蒼い蒼い石が付いていた。蒼は陛下の目の色で、それを身に付けるジュリは、きっと陛下に特別な想いを抱いているのだと直感した。
途端に申し訳なさが込み上げてきた。私は今まで自分の事しか考えていなかったから。そばで見ていたジュリはどれだけ傷ついただろう。
私の目線が自分のペンダントに向いていることに気付いたジュリは、慌ててそれを服に押し込んだ。
「ジュリ、、それ、」
「何でもありません。」
固くなった表情が全てを物語っている。
「それは陛下の色ね、、。」
「たまたまですっ。」
「ジュリ、ごめんなさい。 、、私、気付かなくて、、」
ジュリの目が大きく見開かれた。
「嫌です、止めて下さい。違います。」
否定する声が震えている。
「ジュリ、大丈夫だから、、、」
一度顔を伏せたジュリは、決心したように顔を上げて真っ直ぐに私を見た。瞳は濡れている。
「、、お嬢様は、陛下の事を、どう思っていますか? 本当の気持ちを、お嬢様の口から、きちんと教えてください。」
本当の気持ち、、、。戸惑ったり期待したり落ち込んだり、、原因はいつも根底にあるこの気持ちだ。つい最近になって自覚したばかりの、呟いてみるだけの事でも戸惑ってしまうこの感情を、自分以外の人に伝えるのはとても勇気がいった。
だけど、ジュリには誤魔化さずに伝えなくてはと思った。
「ジュリ、、、私、陛下のことが、好きなんだと思う。」
ふっ、とジュリが笑った。泣いたままで。
「お嬢様、私は陛下をお慕いしています。だけど、どうにかなりたい訳ではありません。
正直に言えばほんの少し、夢を見たこともありました。だけど今はそんなこと思っていません。私の望みは陛下がご自分を押し殺す事なくお過ごしになる事です。
陛下はお嬢様に出会って初めてご自分の欲を押し通しました。だから、お嬢様が陛下の事を想って下さるなら、私はもう十分なのです。」
「ジュリ、、、」
「私は今、凄く嬉しいのです。だからこれは嬉し涙です。」
「ごめんね、、」
私は腕で涙を拭うジュリを抱き締めた。
ところが抱き締めた途端に、
「お嬢様の気持ち、ちゃんと伝えて下さいね。」
と改めて言われた。
「でも、でもねジュリ、本当に陛下は私の事を?」
「お嬢様っ!」
ジュリはぷりぷり怒ったけれど、本当に自信がないのだから、、、
そして、しっかりと約束をさせられた。
そしてもうひとつ、、
「あの、、ジュリ、それで、シンは、、、」
また怒られるのを覚悟して聞いたけど、ジュリはにっこり微笑んだ。
「陛下の誤解が解けて、お嬢様が、会いたい、なんて言わなければ問題ないと思います。」
お嬢様が今だにシンさんの事を気にしていているなんて、考えもしなかった。
「何処に居るか知って、どうするつもりですかっっ!? たっ、ただの、友人だと言っていませんでしたか!?」
お嬢様は陛下の事だけを考えていればそれでいいのに。私はすっかり取り乱してお嬢様に詰めよった。
「ジュリ、ごめんね、落ち着いて。シンは友人だから、気になるのよ」
お嬢様はおどおどと答えた。
「でも、あんまりですっ! 陛下はあんなに、、 あっ、 そっか、そうでした。お嬢様はシンさんに返す物があるのでしたね。」
ふいに、以前お嬢様と話した事を思い出して、ほっとした。
ところが予想外の返事が返ってきた。
「あ、、いえ、それはもう返せたわ。」
「え! いつですかっ!?」
私の知らない間にまた何か起きたのかと焦った。
「ええと、、ほら、あの騒ぎの時、、」
「え? 騒ぎの時、ですか?」
騒ぎの時にはそんな余裕なんてなかった筈なのに。
「その、、あの時、それを口移ししたのよ。」
言いにくそうにお嬢様が言った。私はそんなお嬢様が信じられなかった。
「そっ、それは、あの時のは、くくく口付けとは違うっていう事ですか!?」
「ええと、口付け言われたら口付けでしょうけど、返す為のものというか、、」
「お嬢様っっ! そっ、その事は、陛下はご存知ですかっっ!?」
教えていないのなら、酷い。酷すぎる。
「え、ええと、言おうとはしているのよ、だけど、何だか恐くて言えないのよ。黙れって、言われちゃったし、、、」
「お嬢様っっ、、、!!」
陛下のお心を思うと悔しくて悲しくて堪らなくて、涙が浮かんだ。お嬢様はどうして陛下の事をもっと考えてくれないのだろう。
目の前であんな光景を見せられた陛下のお気持ちは計り知れない。残酷過ぎた。シンという男とお揃いのピアスを見付けた陛下の姿は、何ともいえず、私が代わりにお嬢様を問い詰めたいと思った。
けれど、私はそこまで踏みいっていい程の立場ではなくて、探りを入れるのがやっとだった。
私がお嬢様だったら良かったのにと、無駄なことを何度考えた事か、、、
「え? ジュリ? どうしたの?」
お嬢様は酷すぎる。
「陛下に、ちゃんと説明してください!」
「え? え? だから、会話もしてもらえなくて、、、」
「でもっ、、 あっ、ピアスはっ、あのピアスの事もまさか伝えていないのですか!?」
「そうだけど、、」
「あんまですっっ!!」
「え? どうして?」
どうして?、なんて。そんな風だから陛下は余計に傷つくのだ。今にも涙はこぼれ落ちそうだ。
「どうしてって、、、陛下どんな気持ちでいることか、、」
「え? え? ジュリ? な、泣かないで。」
「泣いていませんっっ!」
悔しくてそう言ったけど、大粒の涙が、ぼろぼろ落ちた。もどかしくて堪らない、お嬢様は陛下の望むままにいなくてはならないのに。
***レイラ視点
ジュリに泣きながら罵られていた私は、取り乱す彼女の首元でペンダントが揺れているのに気付いて目をとられた。いつもは服の中に入っているそれは、走った時に飛び出たのだろうか。
ペンダントには蒼い蒼い石が付いていた。蒼は陛下の目の色で、それを身に付けるジュリは、きっと陛下に特別な想いを抱いているのだと直感した。
途端に申し訳なさが込み上げてきた。私は今まで自分の事しか考えていなかったから。そばで見ていたジュリはどれだけ傷ついただろう。
私の目線が自分のペンダントに向いていることに気付いたジュリは、慌ててそれを服に押し込んだ。
「ジュリ、、それ、」
「何でもありません。」
固くなった表情が全てを物語っている。
「それは陛下の色ね、、。」
「たまたまですっ。」
「ジュリ、ごめんなさい。 、、私、気付かなくて、、」
ジュリの目が大きく見開かれた。
「嫌です、止めて下さい。違います。」
否定する声が震えている。
「ジュリ、大丈夫だから、、、」
一度顔を伏せたジュリは、決心したように顔を上げて真っ直ぐに私を見た。瞳は濡れている。
「、、お嬢様は、陛下の事を、どう思っていますか? 本当の気持ちを、お嬢様の口から、きちんと教えてください。」
本当の気持ち、、、。戸惑ったり期待したり落ち込んだり、、原因はいつも根底にあるこの気持ちだ。つい最近になって自覚したばかりの、呟いてみるだけの事でも戸惑ってしまうこの感情を、自分以外の人に伝えるのはとても勇気がいった。
だけど、ジュリには誤魔化さずに伝えなくてはと思った。
「ジュリ、、、私、陛下のことが、好きなんだと思う。」
ふっ、とジュリが笑った。泣いたままで。
「お嬢様、私は陛下をお慕いしています。だけど、どうにかなりたい訳ではありません。
正直に言えばほんの少し、夢を見たこともありました。だけど今はそんなこと思っていません。私の望みは陛下がご自分を押し殺す事なくお過ごしになる事です。
陛下はお嬢様に出会って初めてご自分の欲を押し通しました。だから、お嬢様が陛下の事を想って下さるなら、私はもう十分なのです。」
「ジュリ、、、」
「私は今、凄く嬉しいのです。だからこれは嬉し涙です。」
「ごめんね、、」
私は腕で涙を拭うジュリを抱き締めた。
ところが抱き締めた途端に、
「お嬢様の気持ち、ちゃんと伝えて下さいね。」
と改めて言われた。
「でも、でもねジュリ、本当に陛下は私の事を?」
「お嬢様っ!」
ジュリはぷりぷり怒ったけれど、本当に自信がないのだから、、、
そして、しっかりと約束をさせられた。
そしてもうひとつ、、
「あの、、ジュリ、それで、シンは、、、」
また怒られるのを覚悟して聞いたけど、ジュリはにっこり微笑んだ。
「陛下の誤解が解けて、お嬢様が、会いたい、なんて言わなければ問題ないと思います。」
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