捕獲されました。酷い目にあう前に死にたいのですが、友人が自分の命を無理やり預けて行ったので、そうもいきません。早く返してしまいたい。

ともっぴー

文字の大きさ
67 / 92

67

しおりを挟む

***リサ視点***

私達は倉庫の床に座って話し合いを始めた。パパとサイラスが向き合い、私はそれを見守る様に2人の真ん中辺りで、一歩下がって座っている。当事者の私が一歩引いているのもおかしな話なのだけど、、、。

「で、パパは少しは落ち着いた?」

「最初から冷静だ。サイラス、お前にはがっかりした。今まで目をかけてやったのに、こんなにとんでもない奴だったとはな。今すぐに出ていけ!」

「ちょっとパパ、サイラスはそんな人じゃないわ。さっきのは、、ほら、、じ、事故よっ、、ね、サイラスっ。 とにかく、サイラスは悪い人なんかじゃない。ほら、あなたも早く謝って。」

ぱっ、とサイラスを見れば、彼は真っ直ぐに私を見ていて どきり、とした。

「リサ、俺、覚悟してるっていったよな? あれは事故じゃない、だから謝る事は出来ない。 それで出ていけと言われるなら、出て行く。」

「な、何言ってんのよ!? 出て行かないでよ!」

「どうして? リサだってこんな俺、、いない方がいいだろ?」

「そ、そんな訳無いでしょっ、居て欲しいわよっっ」

咄嗟に出てしまった言葉にパパが驚いてこちらを見た。私だって びっくりだ。

「でも、ここにいたら、また同じことをするかもしれない、、、」

「ばっ、、! 止めてよっっ、」

サイラスがとんでもない事を言い出して私の顔は火を吹いた。また、って、、 一気に顔が熱くなる。

「やっぱり、リサは嫌だよな、、」

サイラスが ぺしゃん、と萎んだ。

「い、いい嫌って訳じゃないわっ」

自分で何を言ってんだろうって思う。けど、サイラスを見ていたらそう言わずにはいられなくて、、、

「本当に? リサは嫌じゃないのかっ?」

「どういう事だリサ、説明しなさい。」

2人が座り直して身体を私に向けた。

「えっ、、えっ、えっ、嫌じゃないって言ったら嫌じゃないのよっ。」

「また、してもいいのか?」

「そ、それはっ、ちがっ、えっ、、ええっ!?」

サイラスがおかしい。パパに殴られてどうかなってしまったのかもしれない。私ばかりが取り乱し、慌てふためいて振り回す手までもが真っ赤だ。

「リサ、説明しなさい。誰とでもそんな事するのか?」

「なっ、違うっ、、誰とでもこんな事しないわよっ!」

なんだか訳が分からなくなってきた。

「じゃあ、サイラスはいいのか?」

「 、、っ そんなのっ、知らないわよっ」

「さっきは嫌じゃないと言っていたぞ。」

「もうっ、何なのよ。サイラスは嫌じゃなかったわ! これでいいっっ!?」

「言ったな。よし 分かった、ではサイラスを許そう。店の事もリサの事も、宜しく頼む。」

「は? ちょちょちょ、ちょっと待って! 何の話!?」

「何って、そういう話だよ。リサはサイラスを受け入れるんだろう? だからそういう事だ。」

「う、受け入れ、、? え、、 私、結婚するの、、、?」

サイラスを見ると、信じられないといった顔で私を見つめる。私の方が余程信じられないのに。

「いいのか? リサは本当に俺でいいのか?」

「え、、 何で? え? え? 何でそう、、」

じわりじわりとサイラスが近寄ってくる。思わず後ろに仰け反った私を、ぎゅっ、と抱き締めた。硬直している私の耳元で、ありがとう、ありがとう、と繰り返すサイラスに、嫌です、なんて言えなかった。



**

「サイラス、押せとは言ったが あれはやり過ぎだ。」

「、、、すみません。」

「お前は、、  まぁいい、だが今後が心配になる。あれでも大事な一人娘だからな。」

「すみません。」

「はぁ、、、いいか、サイラス。多少強引でもいいが、雰囲気ってものがあるんだ。」

「雰囲気、ですか?」

「ああ、、、って、お前じゃ無理そうだな。せめて了承を得てから次に進め。」

「了承、、、。 分かりました。きちんと確認します。」

「、、、頼んだぞ。」

後日、パパとサイラスが2人きりでひそひそとしゃべっていたのを、私は知らない。



***マイク視点***

どうやら俺は、アリドゥラムで行われていたジェミュー迫害について詳しく知る者として、また告発者として、とても重要な立場にいるらしい。そんな俺はディクフに着いた後、訳も分からぬまま、短期間の間に色々な国に連れ回され、その都度その国で行われる会議に座らせられた。重要そうな会議に俺がいるのは正直 場違い感が凄くて居心地も最悪なのだけど、拒否権などなかった。
そして周りから聞こえてくる会話に頻繁に出てくるのは隣国リュヌレアムで、糸を引いているのはディラン殿下のようだった。
ディラン殿下は連合国を形成させているらしい。だけどとても焦っているようで、署名は集まれど中身は薄いまま雰囲気だけが盛り上がっていっている風に見えた。その盛り上がり方もなんだか異常で、間違った発言をしようものならその場で殴り殺されそうな雰囲気だった。
恐い。危険を感じた俺はどうにか機会を伺って逃げ出したいと思っていた。幸いにも盗賊にやられた足はもう、ずいぶん腫れも痛みも和らいでいる。とにかくいつでも逃げ出せるように、よく食べてよく眠った。頼れる物は走る足と体力だ。

そしてその機会は突然やってきた。
その日、俺達は再びやってきたディクフでディラン殿下と合流した。ディクフはディラン殿下をもてなす為に宴会を開き、それは大変な盛り上がりをみせていた。とにかく栄養のありそうな物を食べて飲んでいた俺は小便をもよおして会場を抜け出した訳なのだが、従順な態度の俺の事をついに信用したのか、信じられない事に見張りをつけられずに抜け出せたのだ。
これは今しかない。
足は動く 酒は飲んでいない 食事は十分とった。

入った便所に丁度いい窓があったので、迷わずそこから逃げ出した。外に出ると日は落ちかけていて、そこかしこに影が出来ていた。目立たないようにその影を通って出来るだけ遠くに離れた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

処理中です...