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しおりを挟むバスタオルを羽織り、ぼうっと、カイは水着で行き交う人達を眺めています。
不意に、うーん、と恭一が唸り声をあげました。
「熱い...」
長旅の運転疲れでつい眠っていた恭一でしたが、暑さと喉の乾きで目を覚ましました。
「あれ?カイ、いたの」
「うん。日焼け止め塗るの忘れてたから肌が痛いし休んでる」
「そっか。なにか飲み物、買って来る」
恭一はサンダルを履くとビニールシートを離れ、海の家に向かいました。
リクとソラも入れ替わりのように、全身、ずぶ濡れの笑顔で戻ってきました。
「カイ、戻ってたんだ。タオルちょうだい」
リクに2枚、近くのバスタオルを渡すと、カイの隣に、リク、リクの隣にソラが並んで座ります。
「恭一さんは?」
ソラが尋ねると、
「飲みもん買いにいった」
何処か、カイの口調がつっけんどんです。
「なんかあった?カイ」
リクが尋ねると、別に、と正面を向いたまま真顔です。
しばらくするとビニール袋を持った恭一が戻ってきました。
リクやカイ、ソラのぶんの飲み物も購入したので、それぞれにペットボトルを手渡します。
「カイ、やっぱ、肌、真っ赤っかじゃん。慌てなくても海は逃げない、てのに」
コーラを飲みながらカイを見て、リクが言います。
「痛む?」
ソラに聞かれ、カイは頷くだけでした。
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