上 下
4 / 8

4

しおりを挟む

「中山さん!聞きました!?」

仕事の合間、一つ後輩の男性社員が話しかけてきた。

「なにを?」

「レボリューションさんとことの合同飲み会ですよ!」

思わず、俺は前のめりになった。

「レボリューションさんとこと!?」

「はい、係長の息子さん...娘さんだったかな...レボリューションさんのところで勤務してるとかで」

「へえ!で、いつ?」

「今週の金曜、て聞きましたよ。会社を閉めて、居酒屋はもう女性社員が予約してあるとかで」

「楽しみだな!いや、楽しみすぎる!」

「ですよね!女性社員がたくさんいそうじゃないですか」

途端、周りの女性社員たちから蔑んだ視線が痛い。

「ま、まあ、とりあえず、金曜の夜だな!」

ヤバい...ヤバすぎる!

レボリューションの中の人、と会えるんじゃないか?

係長の息子だか娘だか、なんて奇跡...!

そして、当日。

明らかに俺だけではなく、他の男性社員の仕事はこれまたスムーズで、さっさと仕事を終わらせると、居酒屋へと向かう足取りも軽い。

部長が居酒屋の扉を開けると、店内は貸し切りで、既に多くのレボリューションさんの社員たちで賑わっていた。

この中に、あの、SNSの中の人がいる!

心拍数を上げる胸をスーツ越しに押さえ、深呼吸し、息を整えた。

「きらめきさん、お疲れ様です!」

「レボリューションさん、お疲れ様です!すみません、遅くなって」

「いえいえ、私たちもさっき着いたばかりですから」

俺の勤務する、株式会社きらめき、の部長と、きっと、株式会社レボリューションの部長であろう2人が挨拶し合い、名刺交換していた。

しおりを挟む

処理中です...