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「ところで秀一くん」

「はい」

俺は早速、本題を切り出した。

「秀一くんの会社、SNSに公式サイトあるよね?」

「は、はい、ありますけど....」

「中の人はどんな人なのかな?ていうか誰かな?」

俺は秀一の背後で騒いで飲む中には男性社員も混じってはいるが、女性社員たちを目で追った。

「そ、そのなにか問題でも....?」

「ああ!大いに問題がある!」

俺をときめかせてやまない相手なのだから。

「お、俺、なにかしました....?」

明らかに狼狽える秀一がいる。

「え....?」

「そ、その....怒らせる、なにか書いちゃいましたか....?」

俺の脳は完全にフリーズ状態だ。

「....秀一くんがまさか....中の人.....?」

「....はい....」

泣き出しそうな眼差しに俺まで狼狽えた。

「じょ、女性社員かと思ってた、秀一くんだったんだね、あ、あはは....」

努めて笑顔を見せたが、秀一の表情は暗い。

「....すみません、俺なんかで....」

しゅんとなっている秀一に何故か知らないが罪悪感を覚えた。

「か、勝手に女性社員だと思い込んでたのは俺だから。てか、なんで謝るの」

励ますべく、俺は秀一の肩を叩いた。

「凄いと思うよ、秀一くんのツイート。レシピや料理も載せてたり、簡単に出来るストレッチやヨガも載せてるだろ?役に立っている人きっといるよ」

途端、秀一が満面の笑みに変わり、ドキッとさせた。

「良かった....そうだといいな。大学の友達が今、整体師だったり、ヨガの教師していたりするから、アドバイス貰ってツイートしてるんです。料理は栄養士の資格もあるので、自己流に考えてます」

俺は瞳を輝かせ語る、秀一に釘付けになった。

なんとなく、ダラダラ仕事している俺とは全然違う。

努力家の秀一がとても眩しかった。
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