父と息子

ミヒロ

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慰安旅行の最終日。

ようやく、明日からいつも通り、僕達、親子は日常に戻れる、と僕はホッとしています。

せっかくだから、と父は旅館の懐石料理を頼んでくれました。

父が宴会でいないのは寂しいけれど、豪華な食事はとても美味しい。

お腹いっぱいになり、父が部屋に来てくれるのを待ちました。

深夜すぎても父が来る気配はなく、LINEの既読も付きません。

「酔っ払って寝ちゃったか...」

あまりお酒の強くない父ですから致し方ない。

朝には父たちはマイクロバスで、僕は父の手配してくれた列車とで帰路に向かいます。

慰安旅行が終わり、自宅に戻ったら、またたっぷりイチャイチャしよう、そうしよう、そうして僕は1人、眠りにつきました。

僕と父が対面したのは夕方でした。

「一緒に露天風呂に入れたし、なかなか楽しかったね、お父さん」

自宅で僕は父に微笑みかけました。

ペアのビッグサイズのトレーナーに互いに着替えながら、

父は、そうだな...、とだけ答え、背中を向けて着替えています。

違和感を感じました。

「どうしたの?お父さん。なにかあった?」

もしかしたら、会社の人と揉めたのかもしれない、と僕は思ったのです。

「奏斗...」

「うん?」

「...怒らない、て約束してくれるか....?」

「怒る、てなにを?」

僕はきょとんとなり、そして笑いました。

なにを怒るというのだろう。

僕の考えは浅はかでした。

「....同僚と寝た....」

唖然となりました。

同期でもあり仲の良い同僚と2人で飲み直ししているうち、互いに酔い、父は同僚とキスをし、しまいにはフェラをしてしまった。

最終的にアナルまで使ったと聞き、僕は怒りが込み上げてきました。

だから、昨夜、部屋にも来ず、LINEの既読すらなかったはずだ...。

「...許せない」

僕は切ない表情の父を見上げ、睨みつけました。

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