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しおりを挟むコンビニでバイトの経験はあるが、ウェイターのバイトが初めてな晶は忙しくなってきた中盤からはヘトヘトだった。
客足もまばらになり、
「光、晶、休憩いいぞ」
待ちに待った賄いの時間だ。
「わ!ロコモコだ!美味そう!」
カウンターの隅でロコモコを前に並んで座る。
人見知りな晶は笑顔は元々、少ないが、晶が疲労していることに光は即座に気がつく。
「疲れた?晶」
「うん....」
「あとひと踏ん張りだし、頑張ろ。俺も晶のフォローに回るしさ」
明るい笑顔の光が晶には頼もしい。
「ありがと、光」
「にしても、店長のお別れ会、来週だっけ、寂しくなるよね」
ロコモコにスプーンを差し込みながら、光が肩を落とす。
「だよね、まさか、こんなに早く、類さんがいなくなるなんて....」
晶も同じく肩を落とす。
どんよりとした雰囲気に、店長の類が気がついた。
「ねえ、まるで僕が死んだみたいな言い方やめてくんない?」
二人に類は苦笑した。
類の旦那、イタリア人のマフィがイタリアンレストランの物件も決まり、ビザも取得した為、類はマフィのレストランで勤務するにあたり、マフィを手伝う為に今のダイニングバーを辞めるだけのことだ。
書類関係の手伝いや一緒にメニューを決めたり、OPENまでは暫くかかるが。
「そうは言っても寂しくなるのは本当ですもん」
ロコモコを頬張りつつ、光は唇を尖らせる。
「まあ、光とはこの店で長かったし、気持ちはわかるけどさ」
二人が賄いを食べるのを見守っているうちに類は社員に呼ばれ、キッチンへと向かった。
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