ネコとネコ ~Afterwards~

ミヒロ

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類は部屋の前に着くと、

『着いたよ』

と、晶にLINEを送った。

晶は即座に橋口にお詫びとお礼を言い、頭を下げた。

「早く仲直りしてね。2人を見かけると、こっちまで笑顔になるんだ、微笑ましくって」

橋口が光とぶつかり、特売でようやく買えた卵が割れ、悲嘆に暮れる光に、

『スーパーに行くし、あったら買ってきてあげようか?』

と、声を掛けた理由がわかった気がした。

「....はい!」

隣の部屋から出てきた晶に類は目を丸くした。

「あ、その、相談、乗ってもらってたんです」

「そっか。とりあえず...晶は隠れて見ててくれる?晶の前だと光、どうも本心を話さないから」

「....どういうことですか?」

「晶には心配かけまいと笑ってみせたり、無理するところがあるんだよ、光」

類の言葉に呆然とした。

光を完全に理解してあげていなかった自分に気づかされた。

類が部屋を開けると、リビングで膝を抱え丸くなり、泣きじゃくっている光の後ろ姿があった。

類は一旦、玄関に入り、晶はそこにいて、とこっそり耳打ちし、光に歩み寄った。

「光。なに泣いてんの」

「て、店長...?あ、晶は....」

「わからない....何があったか、最初から説明してくれる?」

ぐすん、と光が鼻を鳴らした。

涙で既にぐしゃぐしゃな顔、また両目から大粒の涙が込み上げた。

「晶に、す、捨てられました...っ」

「何があったか話して?光」

類は泣きじゃくり止まらない光の背中を優しく撫でた。

「か、和典がっ、会いに来たんです....晶の元彼の....」

うんうん、と頷きながら光の話しを聞きながら、類は懸命に光の小さな背中を摩った。

「晶に...っ、会わせる訳にいかないって...晶に会いに来たんだと...それに、俺たちの邪魔、されたくなくって」

初めて見る、光の泣きじゃくる姿を晶は秘かに見つめ、言葉を待った。
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