救う毒

むみあじ

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7月 グロリオサ

第65話

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ぐちゅぐちゅと水を口内で掻き混ぜてから、ぺっと外へ吐き出した。蛇口から出る水と共に流れていくのを見送ってから水を止め、ハンカチで口元を拭く。


「もう平気か?」


背中をさすってくれていた諒先輩が、俺の顔を覗き込んだ。大丈夫だと首を縦に振りながら微笑んで見せれば、安心したように息をついて蛇口を捻る。

ハンドソープを出して指の隙間を丁寧に洗っていくのをぼんやりと見つめながら、先程までのことを思い出した。



一度吐精させられたのにも関わらずまた勃ち上がってしまった俺の愚息を、諒先輩は優しく握った。またも性急な手淫で果てまで導く事約5回、そこでようやく熱が治まったのだ。

最後の方は精子もほとんど出ず、出ても少量、粘り気もあまりなくサラサラで、僅かに残った白っぽさが、外見として唯一精液だと証明できる、という状態になるまで搾り取られた。ホント恐ろしい。


そんな状態ではあったもののなんとか後片付けをして着替えようと動きはじめた所で、今度は攫われた時に体験したものと似たような、激しい頭痛と吐き気という症状に襲われた。心の中の○峠がなんて日だ!って叫びましたよ、勿論。

突然のことではあったが、諒先輩が副作用じゃないかと教えてくれた。だとしたら、興奮や高揚感の後に頭痛と吐き気に襲われた攫われる前のあれも副作用なんじゃなかろうか。

強烈な吐き気を、トイレまで辿り着く間耐えられるはずもなく、保健室の洗面所で何度も嘔吐した。終いには上手に吐けなくなった俺を、諒先輩は自らの手で手伝ってくれた位だ。

もんのスゲェ申し訳ないので、プリン馬鹿みたいに作ろうと思います…



「諒先輩、本当ごめんなさい」
「謝んな謝んな。悪りぃのは薬使いやがったあいつらだしな」
「でも吐かせるのとか、汚いの触らせちゃったじゃん…」
「平気だってーの。つーか汚ねぇと思ってたら手伝ったりしねーって。な?」
「…ありがと諒先輩」


ハンカチで手を拭きながらなんてことないと笑いかけてくれる諒先輩を見て安心した。優しいなぁなんて思いながらにっこり微笑めば、琥珀色の瞳を丸くする。

どうしたのかと首を傾げれば頭を掻きながらぎこちなく視線を逸らした。


「とりあえずお前今ノーパンだろ?備品にパンツもあるからそれ履けな」


あ、と思い意識を下半身にむける。一応ズボンは履いているが、ノーパンなのに変わりはなかった。

指差した先の戸棚には薬品などが入っている。恐らくガラス張りされていない下の段に下着類が入っているんだろう。開いてみればやはりその通りで、新品の下着がサイズ別に並べられていた。
その一つを手にとってカーテンに覆われたベッドの中に引っ込む。


「ちなみに備品に化粧品ってあります?」
「あるわけねーよ」
「ですよね~…顔どうしよ。リュックさえあればどうにかなるんですけど…」
「風紀に持ってきてもらうか?受け取りは外で俺がすれば顔見られねーだろ」


ビリビリと封を破き下着を取り出す。ベルトを外しながらカーテン越しに諒先輩と会話を続けた。

ワンチャンねーかなと思って化粧品について聞いてみたが、当たり前だが無かった。そりゃーね。どうしようかと考えたが、やはり諒先輩の提案に従った方が良いだろう。




「うし、んじゃあ荷物が来るまでいろいろ聞かせてもらおうか」
「ですよね~…えっと、変装の事からでいいですか?」
「ま、そっからだな」


廊下で電話を終えた諒先輩が躊躇なくカーテンを開けてベッドに座っていた俺の隣に腰掛けた。んも~俺の下半身が出てたらどうすんのさ~とかふざけようと思ったけど見られてっから今更だったわ。ガハハ。

ちょっとした現実逃避をしながらも意識を切り替えるために垂れていた髪を左耳にそっとかけた。


「あの、まずはこの変装、完璧には解いてはいません」
「は?まだなんかあんのか?」
「目がカラコンなんで。…見る?」
「見る。……けど、後でだな。それより説明が聞きてーんだよ。何で黙ってたんだ?久道は知ってんのか?」

食い気味に見ると答えられた。紫の瞳は俺も気に入ってるから存分に見てもらって構わないんだけど、そんな気になる?
何故黙っていたかの理由を求められる、が…ちょっと眉間に皺が寄ってるし、正直に答えたら怒られそう。覚悟しとこ…


「まず、風紀委員長がどんな人なのか知らなかったから。もしかするとケツ狙われるかもだし、ほら、俺ってすっごい美形じゃん?どっちかわかんない状態で顔晒すのはリスクが高いなって…」


言い訳をペラペラ並べると僅かに諒先輩は目を細めた。嘘ついてんじゃねーよな?の視線を受けながら、ついてないついてないと首を横に振る。


「確かになぁ…でもすぐにストレートだって分かったろ?」
「そうなんですよね。それでバラそうかな~って考えたんだけどさ…そのぉ…どうせバラすならアホほど驚かせたほうが楽しいかな~って」


えへ♡なんて言って笑うと、諒先輩の眉がピクリと動き更に眉間に皺が寄った。口元は薄く笑みを浮かべているが、眉間の皺のせいで普通に怖い。やっぱ怒りますよねぇ…


「で、久道は知ってんのか?」
「は、はい。知って、ます」
「…久道は知ってて、俺は知らなかったのか……ふーん、そうか」
「あの、でも千秋にバレたのは風呂場でバッタリっていう昨今の青年漫画でもやらねーような事故のせいであってですね…」


諒先輩は無言だ。千秋に変装がバレた経緯を説明していくうちにますます表情は険しくなってしまった。その事故がなければ諒先輩に真っ先にバラしてましたよ?ってアピールのつもりだったんだけど、ダメっぽい

というかまず何故怒るのか分からない。だって面白い方いいじゃん!先輩だってそういうの好きな癖に!

悪態をつきつつも怒っている理由を思考する。諒先輩は友達に隠し事はなし、何でも話す事!なんて馬鹿げたこと考えるような人ではないし…だとするなら、千秋は知ってて諒先輩は知らないって状態が嫌だったんだろうか?


「諒先輩は、千秋は知ってて諒先輩だけ知らないって状態が嫌だったんですか?」
「……まー、そうだな。俺の見込みでは、まだあんだろ?そういうの」


図星です。勘が鋭いでござるな…


「別に、それを話せとは言わねーよ。そのかわり、俺も久道と同じ状態になりてーんだ。そうすりゃほら、平等だろ?」


平等…平等、か、なぁ…?

まぁ諒先輩がそれでいいなら、俺に異論はない。つまるところ諒先輩は千秋と同じように諒先輩と俺しか知らない事実が欲しいようだ。

3人で仲良くいたいのに、俺と千秋だけ仲良く秘密なんかつくったらハブってるみたいになるから、だろうか?ま、よくわかんないけど、とにかく秘密を教えればいいのかな?それ自体は全然構わないのだが…

千秋が知らない秘密…そもそも明かしてもいい秘密自体少ないし…



「あ、」


なんだ、全然あるじゃん。秘密。


「どうした?」
「諒先輩は、もう、俺の秘密知っちゃってますよ」


隣にいる諒先輩の耳元へ顔を近づけて、そっと囁いた。




「俺がちゃんとオナニー出来ない事、諒先輩しか知らないよ?」



───────────────────
吐精2回目以降のお話は番外編で書こうかと思っています。脳みその中にある文章が、自動で書き起こされていくハッピー道具が欲しいです。出してよ、タ○ピー。
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