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序章 〜私の忘れ物〜
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これは昔々の話。
何かを忘れた者がやってくる
忘記駅。
そんな駅が、存在していたらしい。
私の祖母が、そう言った。
今となっては、誰も知らない話。
私も、忘れかけていた。
…はずだった。
夕暮れの神社は、秋の紅葉が
散りゆく中赤く染まっている。
何気ない平凡な日常。
何も起きない、平凡な日常。
夕陽が沈み、月に変わる瞬間。
それが忘記駅へ行ける条件。
そんなことも忘れて、ぼーっと
その場に立ち尽くす。
当たりが暗闇に包まれた瞬間。
私は、雲の上に立っていた。
「え…?」
驚きを隠せないまま、
声を出してしまった。
「ようこそいらっしゃいました。」
どうしようか彷徨っていると
ふと後ろから声をかけられる。
「え、え…あ…。」
急に話しかけられて
戸惑ったままの私は、
考える暇もなく声を出してしまった。
「須崎 藍花様
ですね?」
何で私の名前を知っているのだろう。
戸惑いと混乱が入り混じった様子が、
相手にも伝わっているのであろう。
「はい…私です…。」
少しでも安心させようと、
声を振り絞って答えた。
「…お待ちしておりました。」
まるで本当に待っていたかの様な
声でそう言った。
「え…?」
「ここは忘記駅。
何かを忘れた者が集う駅です。」
祖母から聞いた通りの駅。
でもそれと同時に、
私が、何かを忘れている、
という事が判明した。
「忘れ…物…?」
何かを忘れた者がやってくる
忘記駅。
そんな駅が、存在していたらしい。
私の祖母が、そう言った。
今となっては、誰も知らない話。
私も、忘れかけていた。
…はずだった。
夕暮れの神社は、秋の紅葉が
散りゆく中赤く染まっている。
何気ない平凡な日常。
何も起きない、平凡な日常。
夕陽が沈み、月に変わる瞬間。
それが忘記駅へ行ける条件。
そんなことも忘れて、ぼーっと
その場に立ち尽くす。
当たりが暗闇に包まれた瞬間。
私は、雲の上に立っていた。
「え…?」
驚きを隠せないまま、
声を出してしまった。
「ようこそいらっしゃいました。」
どうしようか彷徨っていると
ふと後ろから声をかけられる。
「え、え…あ…。」
急に話しかけられて
戸惑ったままの私は、
考える暇もなく声を出してしまった。
「須崎 藍花様
ですね?」
何で私の名前を知っているのだろう。
戸惑いと混乱が入り混じった様子が、
相手にも伝わっているのであろう。
「はい…私です…。」
少しでも安心させようと、
声を振り絞って答えた。
「…お待ちしておりました。」
まるで本当に待っていたかの様な
声でそう言った。
「え…?」
「ここは忘記駅。
何かを忘れた者が集う駅です。」
祖母から聞いた通りの駅。
でもそれと同時に、
私が、何かを忘れている、
という事が判明した。
「忘れ…物…?」
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