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第33話 結婚

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あれから五年が経った
あのあと、圭歌は全て連絡先を消し、美雨の前からも姿を消した


友達に戻ろう、その言葉は嘘
美雨はしばらく立ち直れなかった
圭歌の思い通り、嘘で美雨を失望させ、姿を消し忘れてもらう

それが圭歌のできる最後の「美雨のため」だった
忘れてもらって、普通に誰かと出会って幸せでいてくれたら十分、そう思った

「圭歌!久しぶり!」
「おぉ~、司!」
「会うのはいつぶりだ?」
「うちが海外行ったりバタバタしてたから、その前に会ったぶりじゃないかな?」
「そっかそっか、じゃああれだね。美雨さんと別れた後ぶりか笑」
「おいおい、そんな具体的に出さないで笑」
「あんなに弱ってる圭歌は初めてだったからな~、でもこんなに立派になって笑」

司にはすべて話していた
美雨に嘘をついてまで別れたこと、もう会わないこと

「運よく仕事が忙しくなったからね、乗り越えられたよ。
 ま、本題に入りましょう!」
「そうだね!」

カフェに入りパソコンを広げる

「じゃあこの日までにこの書類を記入して役所まで送ってくれる?」
「うん、了解!
 今度スピーチする機会があるんだ、海外のゲストも呼んで!これに役所も巻き込めないかなって思ってて」
「うん、いいね。すごい世界が広がる感じがするよ!」
「お?ならこの依頼も提出してよきですか?笑」
「ぜひぜひ!笑」

いま、何をしているか
司は就職した役所のまま、圭歌もモデルの活動をしている
この五年でそこに変化が訪れた

司は役所で、同性婚や様々な人の生活をよりよいものにするために働く部署に移動した
圭歌はモデルの活動をしながら、昔からの目標だった自分らしくいられる世界を目指し海外や日本でスピーチをしたり多様な愛の形をもった方々のコミュニケーションの場を作っている

もう自分と同じような考えで幸せを手放す人をなくしたい
来世で自分らしく生きられるように、この人生仕事に懸けることにした

【ガチャ】

「ただいま~」

誰もいない静かな部屋、それももう慣れた
実家にはたまに帰るが細心の注意を図っている
たまっていた、郵便物に目を通した

すると

「結婚式の招待状?」

開けてみると、美雨だった

「(そっか、よかった。ちゃんといい人に出会えたんだね。
  でも結婚式には行けないよ笑
  これでも元カレなので)」

元気にしてるんだろうな
本当によかった、ほんとうに

【ピコン】

【お母さんからメッセージ】

「なんだろ」

【圭歌、美雨ちゃん結婚するんだって。
 ごめんね、美雨ちゃんのお母さんに聞かれて、住所を教えました。
 あなたがどんな思いで美雨ちゃんと離れる決心をしたのも知ってる、だから迷ったんだけど、今度はあなた自身も区切りをつける時が来たんじゃないのかな?
 親としては、あなたにも幸せになってほしい。
 話さなくていいし、少しだけでもいいから美雨ちゃんをお祝いしておいで】 

「なんだ、お母さんだったのかよ。誰が教えたのかとびっくりしたよ笑」

「区切りか、、」
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