スライムは仲間を呼んだ!~デバフで支援してたのに追放された俺はスライム狩りでレベル爆増!魔王を倒したら惚れられ、気付けばハーレム状態に!

藤村

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第三章 マナクルス魔法学園編

第26話 「放課後、職員室へと来るように」

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 一限目が始まって三分と経過しないうちにヤツは襲い掛かってきた。

 生物としてこの世界に存在している以上、決してそいつに抗うことはできない。

 そういう意味では、ヤツはSSSランクのモンスターを上回る程の脅威かもしれない。

 その名は睡魔。
 
 手渡された書類に目を落とすと。
 そこには【魔法薬学】と記載されていた。
 ざっと見た感じ回復薬の作り方と、調合の比率などが書かれているらしいのだが。

 こんなものを見たところで、
 俺にとっては暗号にしか思えなかった。

 古代魔法の名称がもしも古代文字で書かれていたら。
 多分俺は、今と同じ感覚に襲われることになるのだろう。

「ふわあ」

 書類を裏返し欠伸した、その途端。

 シュボァッ!!

 突如、俺の眼前で炎の玉が爆発したではないか。
 何事だ?

「貴様、この私の授業で欠伸とはいい度胸をしているじゃないか」

 なるほど。
 授業中の居眠りは厳禁。
 破った者には魔法による懲罰が科せられると。
 そういう認識で良さそうだな。

「申し訳ない。あまりにも理解不能な内容だったものでつい」
「フン。魔法の「マ」の字も知らぬ素人めが。今のはほんの挨拶代わりだ。そのフザけた態度を続けるのであれば相応の仕置きが待っていると、それを肝に銘じておけ」

 初老の男性教師。
 胸元のネームプレートにはダミアンと書かれていた。
 
 魔法使いも人それぞれ。
 誰も彼もがメアリさんのように物腰柔らかというワケではないようだ。

「気を付けます」

 素直に応じると、
 周りの席からクスクスと笑い声が聞こえてきた。

 俺の失態を喜ぶような陰湿な輩も在籍しているということなのだろう。

 だがそんなことはどうでもいい。
 俺の目的は古代魔法に関する情報。
 ただそれだけなのだ。
 カラドボルグの願いを聞き届け、女神・ヴィーナを解放する。

 全てが善意から来る行動ではない。

 無論、カラドボルグに頼まれたからというのも立派な理由の一つだ。だが、俺には求めている見返りがある。

 あれは追放を言い渡される三日前のこと。
 俺の手元に一通の文が届いた。

 文の内容によると。
 どうやら、俺の母が病に伏したようなのだ。

 だが、ただの病ではない。
 数多くのヒーラーが回復魔法をかけてくれたし、アイテムを使用してくれた。

 それでもなお母は回復せず、それどころか日に日に容態が悪化しているらしい。

 ヒーラーでもアイテムでも直せない病。
 そんな時、俺の目の前にぶら下がった希望。
 
 それが女神・ヴィーナなのだ。
 女神の力ならば母を治せるかもしれない。

 俺がカラドボルグに協力するのは、そういう打算があってのことだ。



「えー、次はこの問題を……そうだな。レイン・ロッド、解いてみろ」
「はい、分かりました」

 あからさまな嫌がらせだ。
 解けるはずがないと分かっていての指名。
 
 それを裏付けるように、
 今度はさっきよりも露骨に笑い声が響いている。このクラスの人間は随分と性格が悪いんだな。

 少し脅かしてやるとしよう。

「ん-……」

 俺は魔法によって作られた半透明のボードの前に立つ。
 
 ボードには色々な言葉とイラストが記載されていたが、やはり内容は入ってこない。
 俺には難しすぎるな。

「おい、どうしたレイン? 時間は有限。お前一人に割いてやれる時間などはないのだよ。分からないのならば「分かりません」と素直に言えばいいじゃないか」

 ダミアン先生はニヤニヤと歪んだ笑みを浮かべていた。

「えーっと」

 バリィンッ!!

 レベルが120近くまで上がっている俺の魔力は常人のそれを遥かに凌駕する。

 ダミアン先生の魔法を打ち破るくらい、訳の無いこと。

「はあっ!?」

 眼鏡の奥の目が点になっている。
 頭の上の?マークが目に見えそうなくらいだ。

「なっ、レイン貴様! なにをした!!」
「そんなに怒らないで下さいよ」

 俺は眉を八の字に曲げた。
 あくまでも「こっちが聞きたいですよ」という体だ。

「指先で軽く触れただけじゃないですか」
「指先で触れただけ?」

 俺たちのやり取りを前に、
 クラスメイトが一斉にどよめきだす。

「なんだよ今の」
「何が起こったんだ?」
「指先で触れただけ? 冗談だろ?」
「あのダミアン先生の魔法を打ち破ったのか?」
「あいつ何者だよ」

 そんな彼らにダミアン先生は喝を入れた。

「黙れいッ! このガキがいつまでも答えないからイライラして気が散っただけだ! 集中が途切れれば魔法も消える。何度も教えたはずだが、まさかそんなことも忘れてしまったのか? ああ、これは大幅減点の対象かもしれないなあ」

 脅しか。
 下らんな。
 などと思っていると、徐に一人の生徒が立ち上がった。

「申し訳ありません、ダミアン先生!」

 次いで、二人、三人と謝罪を繰り返していく。

 なんとも狂信染みた気色の悪い光景だ。
 けれど、どういうわけか、ノエルだけは席に着いたまま微動だにしなかった。

「分かればよい。確かに一見すればこのガキが私の魔法を打ち砕いたかのように見えないことも無かった、それは事実だからな。だが少し考えれば分かること。魔法の「マ」の字も知らん素人に、そんな芸当が出来ると思うか?」

 またもやあの不快な笑い声。
 このクラスか、はたまた学校か。
 いずれにせよ、腐敗している部分があるというのは間違いないだろう。

 ノエルが一人だけ立ち上がらなかったということも妙に引っ掛かる。

 とにもかくにも。
 こういうのはあまり良い気分ではないな。

「もうよい」

 一人思案に耽っていると。
 ダミアン先生が呆れた表情で吐き捨てた。

「席に戻れ。お前一人の為に未来ある大勢の者の時間を無駄にしてしまった。放課後、職員室へと来るように。編入初日で気の毒だが、お前には反省文をしたためてもらう」
「分かりましたダミアン先生。放課後に、必ず・・

 ちょうどいい機会だ。
 こいつから色々と聞き出してやろう。
 ついでに古代魔法のことも聞いてみるか?
 運が良ければさっそく成果が挙げられるかもしれない。

「フン。その素直な態度を常日頃から心掛けるように。そうすればテストの点数は悪くても内申点だけは取れるかもしれないぞ? 内申点だけは、な。フハハハッ!」

 さざ波のようだったクラスメイトの笑い声は、ダミアン先生のそれと呼応するかのように、ドッ! と大きくなった。

 中には机を叩きながら声を荒げているヤツもいた。

 目的を達成したら、
 そうした、全員まとめて俺のスキルの餌にしてやってもいいかもしれない。

 人生で一度くらい、極限の恐怖を味わっておくのも悪くは無いだろう。
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