スライムは仲間を呼んだ!~デバフで支援してたのに追放された俺はスライム狩りでレベル爆増!魔王を倒したら惚れられ、気付けばハーレム状態に!

藤村

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第四章 古代の魔法編②

第44話 衝撃に次ぐ衝撃

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 拝啓、レイン・ロッド様。
 そう記された封を切り、
 俺は四つ折りの手紙に目を通した。

 『やあ、こんにちは。
 始めましてではないよね? 
 僕の名前はロイス・レイウス。
 君のクラスメイト、
 ノエル・レイウスの実の兄です。

 酒場で君と出会った時のことを僕は昨日のことのように覚えているよ。

 あの時は君を殺してやりたくて仕方がなかったが、君から溢れ出る威圧感がそれを許さなかったね。

 でも、もう僕は形振なりふり構わないことに決めた。

 ノエルとこの子が友人なのは知っていたが、まさか君とも面識があったとはね。

 これは利用できる!
 そう思って、
 僕は信用できる部下の一人に彼女を誘拐させたという次第さ。

 要求は至ってシンプル。
 難しいことは何もない。

 ノエルを僕の元へと返すんだ。
 もちろん君に選択肢はない。
 この前のような邪魔立てをした暁には、この子は死ぬことになるのだからね。

 場所はこちらが指定する。
 ちなみに、僕は君の行動を全て把握している。
 
 学園内にお友達・・・がいるからね。

 時刻は明日の正午。
 僕が指定したダンジョンに君とノエルだけで来るんだ。
 
 約束を破った場合、
 やはり彼女は死ぬことになる。

 では、お互いよい一日にしよう!

       ロイス・レイウスより』

 俺は手紙を握りつぶした。
 怒髪衝天とはまさにこのこおだ。

「どうしたの? なにが書いてあったの?」
「メアリさん、サティ」

 俺は二人に呼びかけた。
 お友達というのは、
 内通者のことを示しているに違いない。

 つまり、この学園内部にロイスの協力者がいるのだ。

 現状、イニシアチブを握っているのはロイス。
 
 それは認めざるを得ない。
 であれば、こちらが打てる対抗策は一つだけ。

 二人に内通者を探し出させ、
 ロイスの弱点を探ること。
 なんでもいい。

 この状況がひっくり返るような何か。二人にはそれを見つけてもらわねばならない。

 もちろん普通の戦闘なら負けはしない。

 ロイスはカラドボルグが意思を有していることすら知らないだろうしな。

 だが、リリルが人質となっているとなれば話は別だ。俺はヤツに指一本触れることが出来ない。

 圧倒的に優位なレベルの差。
 ロイスはそれを、たった一通の手紙で逆転させてみせたのだ。

 まんまとしてやられた、
 というのが率直な感想。
 だがそれ以上に。

 なんの罪もないリリルを誘拐たこと。
 俺は何よりもそれが許せなかった。

 必ずこの報いは受けさせてやる。
 待っていろ、リリル。
 どんな手を使ってでも助け出してやるからな。

#

「あのさ~、そろそろ吐いたらどうなんだぁ~? その方が楽だぞ? 俺も、いつまでもお前みたいなゴミのため残業したくないんだがな~」

 場面は移ろいで。
 マナクルス魔法学園の地下牢である。

 魔法の効果が何重にも重複しており、
 ある特定の人物に対してはデバフを、
 ある特定の人物にはバフを施すような、
 そんな都合のいい空間だ。

 故に、いま両者の間には、
 レベルで例えるならば、
 500以上もの差が生じている状態だ。

 この場においては、
 レックは小指一本でジェイを葬り去れる。

「ぐ……、フフ。私、からは何も引き出せ、ませんよ。何故なら私は神に――」

 ドゴッ!

「うおおおおっ!」

 レックによる容赦のない一撃。
 血と吐瀉物が石造りの地面一杯に散らばる。

 汚らわしい光景だが、
 不快感は皆無だ。

 魔法によって異臭を完全に排除しているからだ。ただし、レックのみ。

 ジェイは痛めつけられるだけでなく、
 常に悪臭に晒されている。
 それでもなお、
 彼の口から情報が漏れることはなかった。

「あ”~~~、クッソ怠ィな、お前」

 同じ男性として非常に気が引けるが、とうとうアレをやる時が来たようだ。

 そう思い専用器具を手にした時のことだった。

 バタンッ!!

 と扉が開かれ、
 魔法局員の友人が姿を現した。

「お~、お前にしては随分と掛かったじゃないか」
「うるせえ」

 漆黒の正装に身を纏った髭面の男は、
 地下牢に入るや否や、
 葉巻に火をつけた。

「相変わらず、ゴミみてェな場所だなここは」

 かつて彼は拷問師をやっていた。
 だが、百人あたりを殺したところで急に心が壊れた。

 メンタルを病み、
 もう死んでしまおうか?
 そう思った矢先にレックと出会ったのだった。

 レックは彼に一本の葉巻を手渡し、こう言った。

「吸ってみろ~。ゴミみてェな味がするから」
「んだそりゃ」

 なんだこいつは。
 頭がおかしいのか?
 そう思いつつ、夜景を眺めながら彼は葉巻を吸った。

 その葉巻は確かにゴミのような味がした。だが、不思議と胸がスッキリとする。

「なんだこりゃ?」
「マジックアイテム。一本300万ゴールドだ。感謝しろよ~」

 彼は驚いて目を見開いた。
 初めて出会った男。
 それなのに……。

「お前、俺の命に300万ゴールドも値段を付けるのか」
「バカか」

 レックは吐き捨てるように言った。
 言いながら、実際に唾を吐いた。

「人の命がそんなに安い訳ねェだろ」

 このようなやりとりを経て。
 彼、ブラン・ロードマンはレックの友人となった。
 
 そして、レックの頼みなら大抵のことは聞くようになった。



「何重なんてレベルじゃねえ。何千にも積み重ねられた魔法防御プロテクトが履歴の復元をほぼ不可能な状態にしてやがったんだ」
「何千って。どんだけだよ~」
「ああ、相当にクレイジーだ。だが相手が悪かったな。魔法局の人間が本気になれば解除できない魔法防御プロテクトなんてものは存在しねぇ」

 レックは例の葉巻を一本取り出し、口に咥えた。
 
 超高級品のマジックアイテム。
 精神的ストレスを一瞬で抹消する効果がある。

「拷問は疲れる。お前、よくもまあ百人もやったもんだぁ~。尊敬するよ」
「今その話はいいだろ。それよりだ。いいか、落ち着いて聞け」

 ブランは神妙な面持ちで、
 レックの双眼を見据えた。
 レックはマイペースに、
 ふわ~と煙を吐いていた。

「履歴からヤベェ人間の名前が出てきた」

 ブランが言うと同時に、
 ガタガタッ!
 と音が響く。
 椅子に縛り付けられたジェイが暴れているのだ。

「貴様!! ハー、はーっ……。余計なことを、喋ったら殺す!! 殺すぞッ!!」

 そレックは「やれやれ」と肩を竦めた。

「おい、ゴミ。次喋ったらマジで殺すぞー?」

 ベリッ!
 
 レックは、微塵の容赦もなく、ジェイの爪を剥がした。

「ッ!! ぐっ、ギャワヮアアアアアアアアッ!!」

 あまりの激痛に失神するジェイ。
 そんな彼を背に、レックはブランに問いかけた。

「で? ヤバイ名前ってのは?」

 ブランは、一筋の汗を流しながら答えた。

 震えるブランの右手が、事の重大さを物語っていた。
 
「……それ、マジ?」

 レックの右手も同じように震えだす。
 恐怖ではない。
 あまりの驚愕によるショック反応だ。

「ああ、マジだ」

 ブランはレックにスマホウ・フォンを手渡した。

 スマホウ・フォンの履歴の欄には一つの名前が記されていた。

  ――ヴェルモンド・スーラ、と。
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