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第五章 女神解放編
第51話 カラドボルグ・解放20%
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やはりロイスは起き上がってきた。
しかも、俺の攻撃によって受けた傷は、当然のように消滅していた。
なんというか、
普通に気持ち悪いな。
まるでゾンビみたいだ。
けれど、それなら。
「再生のスキルを持っているのか。それなら誤って殺してしまう、という心配はなさそうだな」
俺はカラドボルグを鞘から引き抜いた。
仮にもノエルの兄だし、
憲兵に引き渡すため殺すわけにはいかない。
そう思っての素手の攻撃だった。
だがもう、その心配は必要なさそうだ。
「カラドボルグ!!」
叫ぶと、彼女は「はーい!」と元気に返事をした。
「まずは3%で様子を見る。頼むぞ!」
「了解ッ!」
ズォォオッ!!
俺の全身を稲光するオーラが駆け巡る。
ただ立っているだけで、
この【螺旋の白亜塔】全体が激しく揺らぐ。
「うっわ、マジ?」ロイスが驚く。「喋る剣とか初めて見たよ~。それ、もしかして聖書に記されてたりするレベルのヤツ? だとしたら結構ピンチだなぁ。でも、君のパンチを受けて思ったよ。アレは本気のパンチだろ? それであの威力。つまり、僕と君のレベル差は大体3~5倍といったところか。ならさ、無理なんじゃない?」
ロイスはニタァと歪な笑みを浮かべた。
半月のように吊り上がる口角は不気味としか形容できないものだった。
「その武器の本領を発揮するの。全力を出しちゃったらさ、君の体が持たないだろ」
「口だけは達者だな」
ドッ!!
俺は大地を蹴り、
ロイスに急接近。
瞬く暇も無い、
まさしく神速の早業でロイスを両断した。
ズバアァッ!!
大量の血液が周囲一帯に飛び散り、半分になったロイスは床に倒れ伏した。だが。
ズズ……、ズズズ……。
「やはりな」
「ああ、そんな。レイン君! これどうなってるの? バカ兄貴はどうなっちゃったのよ!」
「再生スキルにしては異常な回復力。……これは増強剤だ」
「ドー……ピング?」
ノエルが首を傾げると同時に、ロイスがズズズ、と立ち上がる。
切断部は瞬く間に結合し、
あっという間に元通り。
恐るべき再生能力だ。
「正解~! 僕たちが上流貴族足り得る所以は増強剤と付与剤のお陰だからね。スキルと魔法の効果を底上げする増強剤、そして……スキルを持たない人間に能力を付与するスキル付与剤。これらを闇市場にばら撒くことでレイウス家は栄えてきたのさ!」
ロイスが自慢げに語る傍らで、
ノエルは目を真っ赤にして口元を抑えていた。
きっと知らなかったのだろう。
だから、事実を聞かされショックを受けているのだ。
「嘘……でしょ? それ、じゃあ、二年前の冬の事件って……」
今から二年前の冬。
全身を白ローブに包んだ何者かが王都にて暴れた。
そして、Sランク冒険者を含む一千人以上もの人間が惨殺された。
現場から発見された何者かの血痕を魔力鑑定したところ、ある薬剤の存在が明るみになった。
それが増強剤と付与剤。
故に、その存在を知らない人間はいない。あまりにも大きく、そして凄惨な事件だった。
「ノエル、君が居なくなってから半年近くは実験の日々が続いたよ。あの薬は負担の大きい代物だからね、まあ、自分の身体なんてどうでもいい。ただただ力が欲しいって輩には山のように売れたんだが……」
ロイスはジェスチャーを交えながら嬉しそうに、時に自慢げに語る。
ケラケラと、
ヘラヘラと。
「まあそんなことはどうでもいい。なにはともあれ、第一実験の開始日があの冬の日だったというわけさ! 効果は覿面!! 驚くほどの殺傷能力を持った化け物が誕生したってわけさ。もちろん武力を求めていたわけじゃない。僕たちが求めていたのは、ノエル……君の力さ!!」
斬った。
斬って斬って斬って斬って斬りまくった。
だが、こいつの口が減ることは無かった。
もはや再生なんて次元じゃない。
不死身の領域に片足を突っ込んでいるのだろう。
「お兄ちゃんの……お兄ちゃんのバカぁっ!!」
ノエルは涙を宙に舞い散らせながら叫んだ。
あまりにも悲痛で痛々しい声。
聞くに堪えない、そんな声だ。
「一体……一体どれだけの人が犠牲になったと思ってるの!! 私の力……いつもそう! いつもいつも、アンタたち家族は私の力のことばっかり!!!」
「当然じゃないかっ!!」
今度はロイスが叫んだ。
俺はこの間にも攻撃の手は緩めていない。それでも尚、ロイスは延々と喋り続けていた。
「ノエルの持つ解読能力は唯一無二の力なんだよ! スキルですら顕現しないと言われる伝説……いや、神話クラスの権能だ!! ノエルが【エイミュの書】を解読してさえくれれば、かつて圧倒的な力を有したという古代魔法をレイウス家が掌握することになる、それはすなわち世界を手中に収めるも同義なんだ! ノエル、君はどうしてそれが分からないんだ!!」
「分かりたくもないよ、だってどうでもいいもん! 古代魔法とか世界とか、そんなことに興味なんてない! 私はただ昔みたいに普通の家族になりたいだけなのに!! 分かってないのはお兄ちゃんの方でしょ!?」
「もういい!」
これ以上は聞くに堪えない。
ロイスみたいな人間に言葉は通じない。
直接体に覚えさせる。
それ以外に、この歪んだ化け物を矯正する術はないんだ。
心苦しいが、
こればかりは仕方のないことだ。
「カラドボルグ!! 20%だ!!」
「はあーー!? ちょっと、そんなことしたら――」
「黙れ!」
「ごめんなさぁい。それじゃ、いきますヨー?」
カラドボルグ解放・20%!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!!!
バチッ!
バチチッ、
バヂヂヂチチッ!!
流石に負担が大きすぎたようだ。
体の節々がミシミシと音を立て、
骨が悲鳴を上げているのが分かる。
さらに、関節部からは出血も。
「ほらァ~! まだ耐えられる身体じゃないんだから!」
「いや、これでいい」
俺はロイスを睨みつけ、断言した。
「完膚なきまでに叩きのめしてやる」
しかも、俺の攻撃によって受けた傷は、当然のように消滅していた。
なんというか、
普通に気持ち悪いな。
まるでゾンビみたいだ。
けれど、それなら。
「再生のスキルを持っているのか。それなら誤って殺してしまう、という心配はなさそうだな」
俺はカラドボルグを鞘から引き抜いた。
仮にもノエルの兄だし、
憲兵に引き渡すため殺すわけにはいかない。
そう思っての素手の攻撃だった。
だがもう、その心配は必要なさそうだ。
「カラドボルグ!!」
叫ぶと、彼女は「はーい!」と元気に返事をした。
「まずは3%で様子を見る。頼むぞ!」
「了解ッ!」
ズォォオッ!!
俺の全身を稲光するオーラが駆け巡る。
ただ立っているだけで、
この【螺旋の白亜塔】全体が激しく揺らぐ。
「うっわ、マジ?」ロイスが驚く。「喋る剣とか初めて見たよ~。それ、もしかして聖書に記されてたりするレベルのヤツ? だとしたら結構ピンチだなぁ。でも、君のパンチを受けて思ったよ。アレは本気のパンチだろ? それであの威力。つまり、僕と君のレベル差は大体3~5倍といったところか。ならさ、無理なんじゃない?」
ロイスはニタァと歪な笑みを浮かべた。
半月のように吊り上がる口角は不気味としか形容できないものだった。
「その武器の本領を発揮するの。全力を出しちゃったらさ、君の体が持たないだろ」
「口だけは達者だな」
ドッ!!
俺は大地を蹴り、
ロイスに急接近。
瞬く暇も無い、
まさしく神速の早業でロイスを両断した。
ズバアァッ!!
大量の血液が周囲一帯に飛び散り、半分になったロイスは床に倒れ伏した。だが。
ズズ……、ズズズ……。
「やはりな」
「ああ、そんな。レイン君! これどうなってるの? バカ兄貴はどうなっちゃったのよ!」
「再生スキルにしては異常な回復力。……これは増強剤だ」
「ドー……ピング?」
ノエルが首を傾げると同時に、ロイスがズズズ、と立ち上がる。
切断部は瞬く間に結合し、
あっという間に元通り。
恐るべき再生能力だ。
「正解~! 僕たちが上流貴族足り得る所以は増強剤と付与剤のお陰だからね。スキルと魔法の効果を底上げする増強剤、そして……スキルを持たない人間に能力を付与するスキル付与剤。これらを闇市場にばら撒くことでレイウス家は栄えてきたのさ!」
ロイスが自慢げに語る傍らで、
ノエルは目を真っ赤にして口元を抑えていた。
きっと知らなかったのだろう。
だから、事実を聞かされショックを受けているのだ。
「嘘……でしょ? それ、じゃあ、二年前の冬の事件って……」
今から二年前の冬。
全身を白ローブに包んだ何者かが王都にて暴れた。
そして、Sランク冒険者を含む一千人以上もの人間が惨殺された。
現場から発見された何者かの血痕を魔力鑑定したところ、ある薬剤の存在が明るみになった。
それが増強剤と付与剤。
故に、その存在を知らない人間はいない。あまりにも大きく、そして凄惨な事件だった。
「ノエル、君が居なくなってから半年近くは実験の日々が続いたよ。あの薬は負担の大きい代物だからね、まあ、自分の身体なんてどうでもいい。ただただ力が欲しいって輩には山のように売れたんだが……」
ロイスはジェスチャーを交えながら嬉しそうに、時に自慢げに語る。
ケラケラと、
ヘラヘラと。
「まあそんなことはどうでもいい。なにはともあれ、第一実験の開始日があの冬の日だったというわけさ! 効果は覿面!! 驚くほどの殺傷能力を持った化け物が誕生したってわけさ。もちろん武力を求めていたわけじゃない。僕たちが求めていたのは、ノエル……君の力さ!!」
斬った。
斬って斬って斬って斬って斬りまくった。
だが、こいつの口が減ることは無かった。
もはや再生なんて次元じゃない。
不死身の領域に片足を突っ込んでいるのだろう。
「お兄ちゃんの……お兄ちゃんのバカぁっ!!」
ノエルは涙を宙に舞い散らせながら叫んだ。
あまりにも悲痛で痛々しい声。
聞くに堪えない、そんな声だ。
「一体……一体どれだけの人が犠牲になったと思ってるの!! 私の力……いつもそう! いつもいつも、アンタたち家族は私の力のことばっかり!!!」
「当然じゃないかっ!!」
今度はロイスが叫んだ。
俺はこの間にも攻撃の手は緩めていない。それでも尚、ロイスは延々と喋り続けていた。
「ノエルの持つ解読能力は唯一無二の力なんだよ! スキルですら顕現しないと言われる伝説……いや、神話クラスの権能だ!! ノエルが【エイミュの書】を解読してさえくれれば、かつて圧倒的な力を有したという古代魔法をレイウス家が掌握することになる、それはすなわち世界を手中に収めるも同義なんだ! ノエル、君はどうしてそれが分からないんだ!!」
「分かりたくもないよ、だってどうでもいいもん! 古代魔法とか世界とか、そんなことに興味なんてない! 私はただ昔みたいに普通の家族になりたいだけなのに!! 分かってないのはお兄ちゃんの方でしょ!?」
「もういい!」
これ以上は聞くに堪えない。
ロイスみたいな人間に言葉は通じない。
直接体に覚えさせる。
それ以外に、この歪んだ化け物を矯正する術はないんだ。
心苦しいが、
こればかりは仕方のないことだ。
「カラドボルグ!! 20%だ!!」
「はあーー!? ちょっと、そんなことしたら――」
「黙れ!」
「ごめんなさぁい。それじゃ、いきますヨー?」
カラドボルグ解放・20%!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!!!
バチッ!
バチチッ、
バヂヂヂチチッ!!
流石に負担が大きすぎたようだ。
体の節々がミシミシと音を立て、
骨が悲鳴を上げているのが分かる。
さらに、関節部からは出血も。
「ほらァ~! まだ耐えられる身体じゃないんだから!」
「いや、これでいい」
俺はロイスを睨みつけ、断言した。
「完膚なきまでに叩きのめしてやる」
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