特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第24話 【店の準備・4】

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「遂に、明日。開店日か」

 人を雇って一週間が経ち、俺はその間に店の開店準備を超特急で行った。
 商品の生産は特に苦労はなく、半日あればかなりの量が作れるようになっていた。
 難しかったと言えば、人の指導だろう。
 大人組でも貴族相手にするメンバーには、暇な時間があれば作法を教え。
 孤児院組には子供でも出来る仕事から、雑用を主に学んでいってもらった。

「一月は掛かると思ってたが、かなり早い期間で店を開けるんだな」

「はい。噂が出回っていて、ノアさん経由で知ったんですが今出さないと色々と危ないらしいので……」

「王妃様も気に入った物を自分も使いたいと思うのは分かるが、そこまでなのか?」

「見たいですね。出所を探す為、王都には人が増えましたから……」

 ここ数日、王都の人口は急激に増えた。
 理由としては俺の〝せっけん〟の噂が出回り、それが他国まで行ったみたいだ。
 その結果、他国の貴婦人が手に入れる為、人を王都に送り出してるみたいだとノアさんから教えて貰った。

「確かに最近、王都の人が増えたな……だとしたら、最初に出す商品の数は調整するのか?」

「そのつもりです。そうしないと、折角平民用で全員が使えるようにしたのに他国の人がその分も買って、結局使えなかったら準備した意味が無いので」

「ふむ、それはいいが自分の健康も気にするんだぞ? 以前よりも顔色が悪く見えるぞ?」

「最近、ちょっと寝る時間が遅くなってたので今日はゆっくりと寝て体力回復します」

 エドガーさんの言葉に俺はそう返し、商業ギルドを出た俺は店に寄った。
 店では明日からの開店準備の為、休憩室として使う予定の二階も荷物でパンパンになっている。

「オーナー、この在庫どれくらい持ちますかね?」

 店に着くと、大人組の採用者の中で全体のリーダーに決めて男性、リオルドさんが話しかけて来た。
 リオルドさんは元々、エドガーさんの部下の一人で俺の事業の内容や、俺の事を知ってエドガーさんに頼んで俺の店に来てくれた人。
 管理能力が高く、俺の補佐役兼副店長の様な立場となっている。

「予想は一月は持つように作ってましたけど、他国の人の事も考えると一週間持つか分からないな……」

「オーナーにしかあの〝せっけん〟は作れませんし、あまり無理しないでくださいね。オーナーが倒れたら、それこそ作れなくなって大変な事になりますから」

「大丈夫ですよ。今日は早めに寝るつもりですから」

 リオルドさんからの忠告に俺はそう返し、店で最後の開店前作業を行った。
 そうして作業を終えた俺は、明日の事を考えて早めに帰宅して夕食の準備を行った。
 それと最近、アリシアさんは早めに家に帰ってくるようになった。
 料理の勉強はまだ時間的に厳しいが、少しでも今から覚えたいと言われて簡単な事から教えている。

「う~ん。やっぱり、私にはまだ料理早かったのかな……」

「そんな事はないですよ。最初に比べたら、物凄く上手くなってますよ」

「そ、そう? でも今日だって、煮込んだ野菜がこんなにボロボロになってるし……」

 アリシアさんはこれまで、飯は他の人が作った物を食べていたからか料理をした事が無かった。
 そのせいか最初は調味料を間違えたり、包丁で指を切ろうと色々と大変だった。
 しかし、最近はかなり上達してきており、俺はアリシアさんの成長を感じている。
 そして今日、最初から最後まで一人で野菜スープを作る事が出来た。

「野菜がボロボロでも、味は美味しいですよ」

「本当? だったら、良かった」

 ホッと安心した様子のアリシアさんは、自分で作ったスープを飲むと「美味しい!」と笑みを浮かべながらそう言った。
 その後、夕食を食べ終えた俺はシャワーを浴びて明日は開店準備もあるので早めに寝る事にした。
 翌日、俺は朝早くに起きて家を出た。

「……既に並んでる」

 今日が開店日という張り紙をしていたが、既に店には長い列が出来ていた。
 そんな中、俺は裏口から店の中へと入り開店準備を行った。
 少ししてからメンバーが出勤して来て、俺と同じように開店準備をして遂に時間となった。

「皆さん、気合入れて一日頑張りましょう」

「「はい!」」

 俺の掛け声に皆はそう返事をして、俺達は店を開けた。
 店を開ける前から長蛇の列だったので、人が大勢来る事は分かっていた。
 各自持ち場を決めていたので、それ通りに接客を行った。
 開店日と言う事で、昼休憩は無しで挑んだがその結果、朝から夕方まで休む暇なく働き続けた。

「お、オーナー、終わりましたか?」

「は、はい。今日はこれで閉店です。皆さん、お疲れさまでした……」

 予想を超える人の数に、俺達は体力の限界を突破して働き続けた。
 そのおかげか、俺は新たに【接客】というスキルを得てたった一日でスキルレベルは3まで上がった。

「皆さん、ここから夕食の準備は難しいと思うので今日は俺が用意したのがあるので、是非食べて帰って下さい。体力をつける為、お肉は沢山入れてきました」

「お、オーナーの料理!」

「「ッ!」」

 俺の言葉にルナさんが反応すると、他のメンバーも反応した。
 店の準備をしてる際、俺は何度か皆に料理を振舞った事がある。
 その結果、全員俺の料理を食べて美味しさのあまり感動していた。
 そんな事件もあったからか、夕食を用意して来たと言うと疲れて倒れていたメンバー達は協力して、食べる準備を終えた。
 その後、俺は料理を【異空間ボックス】から出して全員に振舞い、なんだかんだ帰る頃には体力が回復していた。
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