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第一章
第38話 【冒険者活動・2】
しおりを挟むその後、死体を回収した俺は王都へと戻って来て冒険者ギルドで報酬を受け取った。
「クリス君、おめでとうございます。ランクが上がりました」
達成報告をした俺に対して、リンさんはそう告げた。
冒険者のランクは下から〝F、E、D、C、B、A、S〟の7つに分かれており、今回俺はDランクに昇格した。
ランクは7つに分かれているが、冒険者としてDランクはようやく初心者を抜けたと言う意味にもなる。
Dからは中級者扱いとなり、少し危険性のある依頼も受けられるようになり、Bになるとそれこそ指名依頼も受けられるようになる。
そして一番高いSランクに関しては、冒険者としての貢献度もそうだが実力も無いとそのランクにはなれない。
その為、多くの上級冒険者はAランクで留まりそのまま生涯を終える事の方が多いらしい。
「ようやく初心者を抜けたのね。おめでとう」
「はい。色々と忙しくて、後回しにしていた分、ここ数日頑張って依頼をしたおかげです」
その日の夜、俺は自分へのご褒美として少し豪勢な夕食を用意した。
それらを見て、アリシアさんは「どうしたのこの料理?」と不思議がっていたので、俺がランクアップした事を伝えた。
「クリス君の実力なら、直ぐにでも上級冒険者になれると思うわよ」
「えへへ、ありがとうございます」
アリシアさんに褒められた俺は、笑みを浮かべてそう言った。
そして翌日、俺は初心者を抜けたお祝いとして新しい装備を購入してゴルドフさんのお店へとやって来た。
「あれから大分経つが、装備を買い替えに来たって事は冒険者としてちゃんとやれてるみたいだな」
「はい。ようやく昨日、Dランクに上がったので装備を新しくしようかなと、前のは大分きつくなってきたので」
「確かに、前と比べるとクリスの体格はかなり変わったな。成長期だから、大きめに作っておいたがこんなに成長するとは、今時の若者は凄いな」
それからゴルドフさんに、装備制作の為に測定をしてもらって作ってほしい装備を伝えた。
今回、元々は防具だけを変えようと思っていたが、武器も新しいのを作っておいて前のは予備として使おうと決めた。
「今回のは少し時間が必要だな、三日後に取りに来るんだ」
「分かりました。お願いします」
今回の装備は、前よりも金を掛けて作るので時間が必要だと言われた。
三日間なら、前の装備を使いつつ待てばいいと思ってそう返事をした。
その後、装備が出来るまで数日あるなら冒険者活動を一旦休もうかと考えつつ、冒険者ギルドにやって来ていた。
「クリス君、いい所に来てくれました! 鑑定の仕事、お願いできますか?」
「その慌てようですと、かなり忙しいみたいですね」
そんな姿を見たら断るにも断れないと思い、俺は鑑定の仕事を受ける事にした。
そして数時間、俺はロンさんと共に鑑定の仕事を行った。
「今日はどうしてこんなに素材が来てるんですか?」
「遠出してた複数のパーティーが戻って来たみたいで、その中に大きいアイテムバッグを持ってる冒険者が居たみたいで大量の素材が持ち込まれたんだ。正直、クリスが来なかったら俺は徹夜を覚悟してたよ」
「それは来てよかったです。新しい装備を頼みに行って、今日から暫く冒険者活動を休もうかなと考えていたんですよね。ただ最近の日課で、冒険者ギルドに来ていたからかいつの間にかギルドに来たので、本当に偶々でした」
「ハハッ、それは俺の運が良いって事だな。取り合えず、今日は本当に助かったよ。昼食は勿論、まだだろ? 俺が奢るから一緒に食べよう」
そうロンさんから言われた俺は、一緒に少し遅めの昼食をとる事にした。
「それにしても、本当に最近は忙しいんだよな……王都に人が増えた事で、冒険者も多くなって鑑定が追い付かないんだよな。一応、俺以外も鑑定使いは何人かいるけど、クリスみたいに不定期で来る奴等だからな」
「そうなんですか? 人を増やしたりはしないんですか」
「したい所だけど、鑑定って意外と珍しい寄りのスキルだからな……習得も中々難しいから、人員の確保が難しいんだよ。不定期の奴等も、本来は商業ギルド所属だったりする奴や、他の街で主に活動してる奴等だから」
ロンさんからそう教えて貰った俺は、装備が出来るまでは鑑定の仕事を手伝った方がギルドとして助かるのかな? と考えた。
そうして俺は昼食を食べ終えた後、その考えをレインさんに伝えにギルドマスター室へと向かった。
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